新技術

宅配ロボの力やいかに - 宅配ピザのコスト構造

昨今、ドローンによる荷物の配達が計画されていますが、それとは別に、ピザを宅配するためのロボが開発されたそうです。

米宅配ピザチェーン大手ドミノ・ピザのオーストラリア系列店は19日までに、温かい料理や冷たい飲み物を運ぶ自動運転の配達用ロボットを開発し、今月初めに最初の運用実験を実施したと発表した。
>>ピザ宅配のロボット開発、世界初を誇示 ドミノの豪州系列店

ピザ宅配ロボット

これは日本でも早く導入されて欲しいですね。
日本の宅配ピザ単価は世界一なので、特に劇的な効果がありそうです。

自分で作ったり、冷凍ピザを買ってきてもいいのですが、宅配ピザは実際美味しいので、世界一高いとわかっていても、時々食べてしまいます。
そんな自分としては、早く実用化して欲しいものです。

店と配送先がそれなりに近くないと無理だとは思いますが、それでも都心とかだとそれなりに意味があるのではないでしょうか。

宅配ピザ価格の国際比較

GiGazine日本のピザはどれだけ高いのか?世界のピザ価格調査

宅配ピザのコスト構造を考えると、大きいのは配送費です。
今回ロボを開発したドミノピザですが、広告を見ると持ち帰りに限り、1枚買うともう1枚無料と謳っています。

なぜそんな事が可能なのかと言うと、ピザの原価より宅配のスタッフを雇う方が高いから
持ち帰りで済ませられるのなら、1枚おまけしてもおつりが来るのです。

宅配ピザのコスト構造

GLOBIS:攻めるワンコインピザ、宅配ピザは生き残れるのか
livedoorNEWS:宅配ピザ 原価率が低いも値段を高くせざるを得ない理由とは

特に、お客が宅配ピザを頼むシチュエーションとして、台風の時とかクリスマスとか、バイトが嫌がったり集まり難かったりする時が屡あるので、時給も実質的なおまけが必要になります。

そう考えると、宅配ロボは配送費をカットできる、正確に配送できる、文句を言わない、費用も一定等のメリットがあります。
支払とかの問題で限界もあるのでしょうが、このロボットの価値は意外と高そうです。

宅配ピザに限らず、自販機へのジュース配送とか、他にも配送がコスト増になっている分野もあるでしょうから、そこでも使えそうです。
地味ながら案外いいかもしれませんね。

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マッハ24で飛ぶ飛行機

超音速旅客機と言えばコンコルドは有名ですが、それを遥かに超える超音速旅客機のコンセプトが提示されました。

工業デザイナーのチャールズ・ボンバルディア氏は、マッハ24で空を飛ぶ超音速旅客機のコンセプトを発表した。地球の真裏を意味する「アンティポード」と名付けられたこの旅客機。10人の乗客を乗せ、英ロンドン―米ニューヨーク間を11分で結ぶという。
>>NY―ロンドン間を11分 夢の超音速旅客機誕生か

アンティポード

Antipode

IMAGINACTIVE:Antipode : A supersonic business jet

ニューヨーク-ロンドンで11分はすごいですね。
ヒースロー入国審査の方が長い位でしょう。
前に行った時は1時間半待たされましたし…。
ちなみにビジネスとかファーストで行くと、10分で通れるそうです。

マッハ24と言うと、第一宇宙速度となりますから、飛行機と言うよりスペースシャトル的なものと言えます。
人を乗せるより衛星を乗せて、大気圏ぎりぎりで放り出す方が人類に貢献しそうです。

塊素第一情報区画:さまざまな単位の資料

これをデザインしたのはチャールズ・ボンバルディアさんだそうですが、航空機メーカーのボンバルディア創業者のなのだとか。
一族で航空機をやっているのですね。

この機体で最も気になるのは動力です。
スクラムジェットエンジンという、大気中の酸素を通りこむ事で、必要最低限の燃料を最大限に活かして速度を保つ仕組みの様です。
以前、スペースプレーンの話でありましたね。

スペースプレーン

Wikipedia:スペースプレーン

酸素を消費する事から、ロケットと異なり大気圏外には出られません。
日本でも開発していましたが、ジェットが意図せず逆噴射したりして開発が難航していたと記憶しています。

現在も開発は続けている様ですが、細々と言った状態の様です。
他の所にも使えそうな技術なので、国内で作れると良いのですが、完成自体、当分先になりそうです。

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イタリアからも燃料電池レーシングカーが登場

以前、韓国のヒュンダイからFCVタイプのレーシングカーが公開されましたが、イタリアのメーカーからも登場する様です。

イタリアのカロッツェリア、ピニンファリーナは3月1日、スイスで開幕したジュネーブモーターショー16において、『H2スピード』を初公開した。…(中略)…車名の「H2」が意味する通り、水素燃料電池パワートレインを載せたレーシングカーを提案した。…(中略)モーターは2個で、最大出力503hp/13000rpmと強力。このおかげで、0-100km/h加速3.4秒、最高速300km/hの性能を実現する。…(中略)…車両重量は1420kgとした。
>>ピニンファリーナ、「H2スピード」発表…503馬力の燃料電池レーサー

H2スピード H2スピード2

理経済:現代自動車が燃料電池レーシングカーを発表

503hpaですか…。
う~ん、すごい数字だとは思うのですが、ヒュンダイが670hp(アシスト含まず)だった事を考えると、ちょっと見劣りします。

また、車体も1.4tと重め。
ヒュンダイは972kgですし、レーシングカーで1t越えってどうなのでしょう。
水素電池車とガソリン車は違うので、現在のレーシングカーと比べるのはどうかとも思うのですが、それにしても重く感じます。

最高速度も馬力の割にはといった感じ。
重さの所為ですかね。
肺活量も低そうですし、デザインもヒュンダイの方がいい気がします。

FCVが増えるのはうれしいですが、う~ん。
まだまだ改良の余地は多そうですな。

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燃料電池搭載型のハイブリッド飛行機が誕生

イギリスのLCCが、ハイブリッドカーならぬハイブリッド飛行機を導入したそうです。
電池にはリチウムイオン電池等の通常の電池だけでなく、燃料電池を使う様です。

イギリスのLCCイージージェットが、排出物ゼロ(zero emissions)の燃料電池を使用したハイブリッド・タキシング・システムを導入する…(中略)着陸のブレーキング時に運動エネルギーを回生、充電するとともに、水素を燃料とする燃料電池で発電し、その電力でタキシングプッシュバックを行います。…(中略)…使用される燃料の約4%がタキシングに使用
>>イージージェット、ハイブリッド・タキシング・システムを開発

ハイブリッド・タキシング・システム ハイブリッド・タキシング・システム2

理経済:なぜトヨタは燃料電池車の特許を開放したのか③ - ハイブリッド技術の拡張

ハイブリッド型の飛行機は、アイデアとして以前考えてみたのですが、自動車と異なり速度の加減速が少なく、言う程発電されないでしょう。

着陸の際には逆噴射や主翼の抵抗を最大化させる等、あの手この手で減速します。
回生による発電は、止まる時より減速する時の方が効率的に発電してくれますから、急ブレーキが普通である飛行機の場合、それ程メリットがないと思ったからです。
飛行するだけの電力は得られないでしょう。

今回は地上で使う為の発電だそうですが、削減できる燃料は4%分と、それ程大きくありません。
電池を積む事による重量増・高燃費化と、発電による低燃費化のバランスがどの程度になるか注目です。

もう一つ興味深いのは、プッシュバックの牽引車が不要となる事で、地上に留まる時間がどれ程減らせるかという点です。

LCCはそのビジネスモデルから、空港での飛行機の駐機時間を短くする事で、飛行機の回転率を上げています
正確な統計はありませんでしたが、通常の空港使用時間は60分のところ、LCCは30分なのだとか。

富国生命保険:日本の空は視界良好 PDF
格安航空会社LCC研究所:なぜ安くできるのか〜空港での工夫〜

また、空港によっては離着陸が多い程着陸料が割安になる場合があります。
駐機時間の短縮はLCCにとって至上命題という訳です。

マカオ国際空港の利用料

マカオ国際空港:飛行機駐機料

このハイブリッド・タキシング・システムで、どの程度の時間短縮が可能なのか注目です。

ちなみに、日本は離着陸回数が多くても(公式には)割引は無い様です
この辺りからしてLCC向きではなく、差分は回り回って消費者が負担する事になります。
最近は改善する動きも見られる様ですが、全国的に実施されるのは暫く後でしょうな。

easyJet plc

Google Finance:easyJet plc (LON:EZJ)

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LGが丸められるディスプレイの商品化に成功 - 丸まるディスプレイの活用法

韓国LG電子が、丸められる有機ELディスプレイの開発に成功した様です。
今度行われるディスプレイの展示会で展示を出来る程、完成した物だそうです。

The Vergeは3日(現地時間)、米国で間もなく開幕を迎える「CES 2016」において、韓国LGが紙のように丸められる18インチ有機ELディスプレイを展示すると報じています。同様のコンセプトを採用する試作品のデモ展示は昨年にも行われていましたが、今回はより完成版に近い製品が展示されることになる模様です。
>>LG、丸められる18インチ有機ELディスプレイを展示へ ―CES 2016

丸まる有機ELディスプレイ

動画で見るとそのしなやかさに驚きます。
激しく丸めたり伸ばしたりする事には、まだ耐えられないのでしょうが、これだけ曲げられれば十分です。

問題は、曲がる事でどんなメリットがあるのかという需要側の話ですが、これは売り方や使い方の工夫でかなりあると思います。
一般的には「臨場感のあるテレビが作れる」という話だけですが、私はもっと可能性があると考えています。

一つ目は携帯電話。
約10年前にノキアが見せた、折りたたんだり柄を好きに変えたりできる、未来の携帯電話の完成に近づく事となります。

理経済:LG電子が時計型携帯を発表

ノキアは競争に負けて、携帯事業から撤退してしまいましたが、彼らの夢や予想は決して誤りではありませんでした。
実物はここ数年で見る事が出来そうです。

もう一つは自動車。
ディスプレイとして模様を映し出せるのであれば、自動車全体を覆う様なディスプレイを作れば、自動車の模様や色を好きな時に好きな様に変える事ができます

今まではディスプレイの発光を維持する為の、大量の電力を確保できなかったので、特に動力面で実現は難しかったでしょうが、ここは燃料電池でカバーできるでしょう
1枚のディスプレイで覆えない場合は、複数枚をつなげ、画像処理で継目がなくなる様にすれば擬似的に対処可能でしょう。

燃費は下がりますが、今日は赤がいいかなとか、暑いから青系で川の流れをイメージした柄にしようとか、運転手の好きに変えられるのは結構魅力だと思います
電源がオフの時は黒い自動車に見えると、映していない時の不自然さも消えます。

画面が内側に向いていれば、中も外も気分次第というのも良いですね。
速度があがると色が変わるとか、音楽に合わせて変わるとか、応用範囲も広そうです。

問題としては耐久性がどの程度なのかという事や、公然わいせつとか逃走用とか犯罪に使われる可能性があると言う事でしょうか。
耐久性はコーティングで対処できそうな気もしますが、どうなのでしょう。

とはいえ、実現できれば需要創出に繋げられるでしょう。
価格競争の激しいディスプレイ市場とは一線を隔した高付加価値商品が作れそうです。
今後が楽しみですな。

そして、LGの対抗馬だったソニーは有機ELから撤退してしまいましたが、日本勢はこの分野で巻き返せるのか心配になります。

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圧縮機なしで水素の高圧圧縮が可能に - コストも圧縮

2週に一つ位発表されるすごい水素関連技術ですが、また興味深い技術が発表されました。
なんでも圧縮機を使わずにガスを圧縮できるそうです。

ギ酸を水素と二酸化炭素に分解する化学反応によって、圧縮機を使わずに簡単に40 MPa以上の高圧水素を連続的に発生できる。…(中略)…理論上化学反応だけで200 MPa以上の高圧水素が得られるので、燃料電池自動車等への高圧水素(70 MPa)の供給も十分可能で、将来、水素ステーション構築の大幅なコストダウンが図れると期待される。…(中略)…水素の圧縮に用いる圧縮機は、設備費の約30 %(蓄圧機を含めると約45 %)を占めるうえ、水素の圧縮にかかるコストは、供給する水素価格の約50 %に達する。
>>圧縮機を使わない高圧水素連続供給法を開発

高圧水素連続供給法 高圧水素連続供給法の概略図

水素供給のコストカットができるのは大きいですね。
こちら↓は水素ステーション設置コストの内訳です。

水素ステーションの設置コストの内訳

経済産業省:水素・燃料電池戦略ロードマップ PDF

水素ステーション設置における費用は4、5億円(ガソリンスタンドは7、8千万円)程度ですが、その内3割強は圧縮機費が占めますから、この技術の開発で圧縮機が要らなくなれば、ステーション設置費用は3億円程度まで下がります
これは大きいです。

また、この技術は他の気体にも使えるでしょうから、関連する産業にも波及しそうです。
技術の進歩が早く、なんともワクワクします。

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