アイディア

劣後債を活用する② - 遊休現預金を活用する

シリーズ後編です。
途中おまけを挟みましたが、三菱商事ハイブリッド債を例にとり、具体的にどの様に劣後債を活用できるのか考えてみます。

理経済:劣後債を活用する① - コーラブル債と劣後債
理経済:劣後債を活用する①+0.5 - 三菱商事のハイブリッド債について

まず確認しておく点は、コーラブル劣後債を発行する事のメリットです。
メリットは主に下記の3点あります。

  1. 格付けなどの際には、一部を資本としてカウントできる点
  2. 発行体が自由に返済時期を決められる
  3. 通常の社債等と比べ、利回りが高い

これを発行体サイドと投資家サイドの視点で見てみましょう。

一つ目は、三菱商事が公言している事であり、普通に社債を発行するよりも自社の信用力に有利に働きます。
既存の株主を傷つける事もないので、三菱商事側にメリットが多くなります。
また、投資家に株券を持たれないという利点もあり、大株主などの議決権比率が変動しません。

二つ目は、発行体にとって都合の良い権利となりますが、見方を変えると投資家にもメリットがあります。
普通の投資家にはあまり関係ないのですが、例えばグループ会社であれば、その現金需要を見て償還する事もできます

そして三つ目は利回り(スプレッド)が通常より高い点です。
発行体にとっては高い金利を払う事になる為、デメリットが大きくなりますが、投資家から見ると、色々特約は付いているものの、収入を増やせます。

また、現預金などが余っている場合、それの運用ができます
溜まった預金を預ける事で通常預金や当座預金よりも高い利回りで運用できるというメリットがあります。

もしグループ内の企業で現金が余っているのなら、これを元に社債を買ってもらえば、グループ内の遊休資産が減って、全体としてはプラスになります

さらに現金を移し変える事で他の債務に対するデフォルト確立を減らす事ができます。
グループ内のある会社では現金が無くて破綻しそうなのに、別の会社は預貯金を無駄に大量に持っているという状況をなくす事ができ、言わば倒産確率の平準化ができるわけですね。
グループ全体としての平均信用力が上がるわけです。

と言うわけで、上記の内容をまとめると、こんな↓感じにこの債券を活用できるのではないでしょうか。

劣後債の活用

ちなみにグループ会社はこちらをご確認ください。

三菱商事は商社なので流通系が強い会社です。
コンビニやレストランなど、BtoC型の会社はキャッシュフローが安定しており潰れにくく、売れている会社では現預金がかなり余ります。

また、クレジットカードなどの未収金もあったりしますが、製造業と違い、まとまった金額のデフォルトは発生しにくいという特徴もあります。
※勿論破綻しかかっている会社は余ってません。

例えば工場だと、数百万円とか数千万円の支払手形が、1社の都合でデフォルトしたりする事があります。
これにより企業だと連鎖倒産があったりするのですが、個人の場合、精々1件数万円程度で数も多いため、期待損失率が安定しています
だから手許に多額の現金を置く必要も無くなり、現金が余るというわけです。

この余った現預金について、利息はほぼつきません。
それでいて収益を生むかと言うと必ずしもそうでもなく、また国内市場の停滞があるため、収益率も下がっています。
例えば、コンビニもそこらじゅうにあるわけで、今更1店舗2店舗増やした所で昔の様な収益は期待できません。

ダブついた現金を、投資に回す事で利益を得られれば、コンビニ等の利益が増し株価の上昇も望めるのですが、そうは言ってもハイリスクな商品には投資できません。
グループ内貸付もできますが、利回りの面で問題があります。

その点、親会社の債券ならば持ちやすいでしょうし、利回りも一定程度確保できるでしょう。
発行する親会社も、株をもたれず資金を調達でき、グループ全体の現金稼働率を上げられ、自身の信用力にも寄与します
これらすべてを達成するにはグループ内貸付や株券の発行では足りないわけです。

まとめるとこんな↓感じです。

劣後債の活用2

本文に書いた以外にもグループ内で示しをあわせる事で、コーラブル条項による繰上償還も可能です。
新株も子会社に買わせる事が無いので、親子関係の変化や持合も回避できます。

一方で、三菱商事は高い利息を払う事となりますが、海外への投資で賄えるかどうかが鍵となります。
また、劣後債なので、親会社が倒れるとグループ会社には通常以上のしわ寄せが行くことになりますから、そこもリスクとして織り込む必要があるでしょう。

この様に、劣後債、できればコーラブル条項付きの社債を活用する事で、新たなリスクは発生するものの、グループ全体の収益力に資する事ができます
うまい事使いこなせると、便利そうなのですが、このアイデアはいかがでしょうか?
現預金が有り余っているグループ企業の親企業の方は、検討してみてはいかがでしょう。

ちなみに、子会社に直接社債を売りつけたりすると優越的地位の濫用とかになりかねない為、法律上の問題をクリアする必要がありますが、今回の様な公募方式とかだと濫用規定の例外項に該当したりするので、やるやらないは兎も角、できるできないだと意外と論点は少なそうですが、どうなんですかね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

劣後債を活用する① - コーラブル債と劣後債

天下の三菱商事が巨額の社債を発行するそうです。
しかも普通の社債ではなく劣後債、さらにコーラブル条項までついた、てんこ盛り社債となっています。

三菱商事は8日、6月にも償還期間が60年のハイブリッド社債を発行すると発表した。格付け会社から調達額の50%について資本として認められる見通しで、財務の健全性を保ちながら投資にあてる資金を調達する。
同期間の借り入れも実施し全体で3000億円を調達する計画で、うち社債は1000億円以上とする。社債には5年後に返済する権利が付く。利率は14年に発行した18年債(1.518%)と同程度となる見込み。
>>三菱商事、ハイブリッド債発行 期間60年

三菱商事:ハイブリッド社債(劣後特約付社債)の発行に関するお知らせ
EDINET:E02529:三菱商事株式会社 S1004MPJ:訂正発行登録書

期間は驚きの60年。
40年とかは見た事がありますが、60年とは凄まじいですな。
その割にはあまり利回りが高くない(詳細後述)と言う残念仕様です。
海外だと100年債とかあるんですけどね。

また、一般投資家向けとは言うものの、余程の金持ちか財団法人などの法人系一般投資家を指しているのでしょう。
普通の個人投資家が買える様にするとは、銘柄的にちょっと考え難いですな。
まあ、最近はANAや電力会社も個人向け社債を出しているので、一概には言えませんが。

さて、本シリーズはこの社債を例にとって、うまい事ハイブリッド債を活用する方法について考えていきます。
三菱商事の目的としては、記事や他の人が言う様に、株式を発行せずにうまい事経営指標を改善し、格付けを維持する為のものでしょうが、それだけだと少しつまらないので、もっと面白い使い方について考えてみました。

NEWS PICKS:三菱商、ROE改善に繰り出した秘策

使い方を考える前に、まず劣後債及びコーラブル債とは何かについて見てみましょう。

まずは劣後債から。
劣後債を用語解説等で調べると、「一般無担保社債と比べて、元本および利息の支払い順位の低い社債」となります。

野村證券 証券用語解説集:劣後債

名前のとおり、返済が"劣後"する社債の事で、事由にもよりますが、その会社が破綻したりした際に、まず普通社債が返済され、残ったお金で劣後債が返済されます
リスクが高い分利回りも高い事が特徴で、ソフトバンクが好んで使う債券です。
個人投資家向けにも発行されています。

劣後債

楽天証券:初めての劣後債投資

弁済順位が低いという事は、極論すると「返さなくても良いお金」となるため、あたかも株を発行したかの様に、会社が自由に使えるお金が増える為、格付けや財務状況にマイナス影響を与えにくい事になります。

劣後債についてはこれ位です。
色々種類がありますが、大枠で言うと、名前のとおり返済が普通よりされにくい債券で、それ程複雑に考えなくとも大丈夫です。

少々聞きなれないのは次のコーラブル債でしょう。
コーラブル債とは、借りている人(発行体)が、契約条件の元、好きなタイミングで繰上返済できる社債です。
詳細な説明としてはこんな感じ。

コーラブル債は、「期限前償還条項付債券」とも呼ばれ、債券の発行体が予め決められた特定日(償還可能日)に、債券を投資家から買い戻すことにより繰上償還できる権利が付いた仕組債のことをいう。これは、債券の発行体が償還可能日に繰上償還する権利を有している代わりに、同期間の債券よりも利率(クーポン)が高くなっているのが特徴である。
>>コーラブル債

市場金利はいつどの様に変化するかわかりません。
金利が低くなった時に借換ができる様に、予めそういう条項をつけておく訳です。
投資家から見ると、高い金利が突然償還されると言う不確定な要素(リスク)が増える事から、金利は少し高めに設定されます

個人と異なり、企業は勝手な繰上返済はできませんから、低金利になったからと言って返済する事は中々できません。
銀行からお金を借りて、発行済社債を買うと言う方法もありますが、相対取引となる為、相手の言い値で買わねばならない可能性もあり、思ったよりもコスト負担が減らない場合があります。
なのでそういう条項を盛り込む場合があるというわけです。

イメージとしては、銀行などで住宅ローンの貸手がこれに相当します
個人の住宅ローンは借換も繰上返済も自由です。
銀行からすれば、いつお金が返済されるかわかりません。

例えば、せっかく金利3%・35年ローンで貸せ、35年間3%分収入が見込めると思っていても、金利が下がり、1%の住宅ローン(借換用)が出てくれば、借りている人達はそちらに乗換えてしまい、銀行は当初思っていた収入が入らない事になります。
これの企業版(の社債)がコーラブル債という訳です。

さらに詳細な説明と金利感応度については、こちら↓のサイトに説明されていますので、興味のある方はどうぞ。
そっち方面のテストだとたまに出る図です。

コーラブル債

1ランク上の生命保険と資産運用の話:コーラブル債が魅力的になるとき

ポイントは、契約に定められたタイミングの中で、発行体(この場合は三菱商事)が自由に返済できると言う点です。
今回の三菱商事のコーラブル劣後債は、5年後以降、利払いのタイミングで任意に繰上返済宣言が可能(訂正発行登録書「償還の方法」2.(1).イを参照)です。

60年債とは言っていますが、それはあくまで最長の場合の話で、実際はどこかのタイミングで繰上返済されると思われます。
金利が思ったよりも低め予想なのも、この辺りが原因でしょう。

では、これを使って何かできないか考えてみます。

続く…

理経済:劣後債を活用する①+0.5 - 三菱商事のハイブリッド債について
理経済:劣後債を活用する② - 遊休現預金を活用する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アメリカにお米を売るには

先日、東京MXテレビのゴールデンアワーという番組で、「世界に通用する日本の庶民の味とは?」という特集をやっていました。

9チャンネル:世界に通用する日本の庶民の味とは?

タイトルにあるとおり、各国に持って行ってもうけそうな食べ物や調味料が、外国人パネリストも交えて議論されていました。
想像通り、日本の食文化は極めて発達しており、世界的に見ても美味しいそうです。

理経済:納豆を売り込む人々

話された体験談で面白かったのは、インド人が「家の嫁のカレーはインド一だ」と言って、客人を招いてはご馳走していたそうです。
しかし実はそのカレーは日本で普通に市販されているカレールーを使った、日本では誰でも作れる普通のカレーだったそうです。
日本のカレールーは偉大ですね。

また調味料も人気で、日本のマヨネーズは味がいいと評判だそうです。
米国にもマヨネーズはあるそうですが、油っぽくてとても食べられないそうです(パネリストのアメリカ人談)
またソースも、発祥は外国でありながら日本で独自の発展を遂げ、アメリカでバカ売れしているそうです。

ヨシダソース:吉田潤喜ストーリー
日本ソース工業会:ソースはいつごろできたの?

番組中ではこれから世界に出して行けそうな食べ物を投稿形式で募集していました。
興味深かったのは「ご飯」つまり白米を海外に出しては?という投稿でした。

パネリストの外国人もウンウン肯いていたのですが、これもアメリカ出身のパネリストが、

美味しいのは認めますが、それは無理です。何故ならアメリカ人は直に計量カップを失くしてしまうから、美味しいご飯を炊けません。

と言っていました。

以前炊飯器と共にプレゼントしたら、カップだけ速攻失くされたそうです。
その後ペットボトルを切り抜いてカップを作ってあげたそうですが、こちらも直に失くしてしまったそうです。

電器屋に行っても、炊飯器は売っているのにカップは売ってもいなければ付いてもいないそうで、未だにお米を上手く炊けないそうです。
確かにこれでは普及しませんね。

アメリカ人は割とアバウトで、細かい事は気にしないようです。
証券会社から送られてくる資料の宛先が、何度訂正しても間違っている辺り、これは国民性なのでしょう。

また郵便番号も無い、住所も間違っているのにちゃんと手紙が届くのも、日本人の国民性なのでしょう。
郵政もこのノウハウ売ったら儲かるんじゃないですかね?

さてそんなアメリカ人ですが、白米の美味しさは好まれそうです。
ご飯にマヨネーズとか、ご飯にステーキとか、結構良さそうです。
と言う訳で、どうやって売ればいいか考えてみました。

(@_@)σずばり!
お米を小分けにし、ペットボトル1本分の水量で上手く炊けるように、お米一袋の量を調整するのです。
そもそも米1合に水180ccなんて日本人が考え出した概念です。
外国人にまでそれを押し付ける必要はありません。

一般に、ご飯の水加減は米1に対し水1.2と言われています。
ですから例えばペットボトル(500ml)の水を基準に考えれば、お米は420g(約3合)でちょうどよくなります。
お米(もちろん無洗米)一袋を420gに切り分け、「これ一袋と、500mlペットボトルの水を一本入れるだけ!」と表紙に大きく書いて売れば、カップを使わずに美味しいご飯が炊けます

水の量の方を調整すれば、飲料水もセットで販売できるかもしれません。
或いはペプシコなど飲料水ビジネスで出遅れている清涼飲料系メーカーを捕まえれば、彼らのお金で広告を打てるかもしれません。
小分けにするので売上は下がりますが、利益率は上げ易いです。

更に500mlで標準化すれば、ペプシコーラご飯とかゲータレードご飯とかも作れます。
私は不味いだろうと思いますが、外国人には外国人の味覚が有りますから、よさげかどうかは現地で調べるしかありません。
リゾットとかパエリアとか煮込みご飯みたいなものもありますから、調理法自体は受け入れられそうですし。

とまあこんな感じのアイデアです。
ヨシダソースみたいにアメリカンドリーム掴めるかな?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

類似画像検索の使い道 おまけ - 正規分布とべき乗分布

類似画像検索使用法の外伝です。
金融工学者と経済物理学者の間で揉めている問題と、類似画像検索がそれに影響されないという事についてです。

理経済:類似画像検索の使い道 - テクニカル分析
理経済:類似画像検索の使い道② - テクニカル分析とモンテカルロ法

揉め事とは何かというと、金融モデルの基盤となるボラティリティの算出方法についてです。
一般に、金融工学では正規分布を、経済物理学ではべき分布を使います
(確か正規分布はベキ分布の一種だったと思います。記憶が曖昧ですいません)

ベキ分布と正規分布

内閣府:平成20年版国民生活白書 正規分布とベキ分布

どちらの分布を使用するかによって、結果が随分変わってきます。
現在の金融工学は主に正規分布を使用しているのですが、現実の市場を見てみると随分と振る舞いが違います。

こちら↓を御覧ください。

理論別指数変化の図

べノワ・マンデルブロ:禁断の市場

これは、経済物理学の第一人者であるべノワ・マンデルブロが実験に使った擬似グラフです。

2つが本物のチャートで、一つが古典的金融工学による擬似グラフ、もう一つがマンデルブロの作ったベキ分布型擬似グラフです。
どれがどれだか区別が付くか、という実験です。

正解は①(IBM)と③(ドル/マルク)が本物、②が古典金融工学、④がベキ分布型擬似グラフです。
これをボラティリティで見ると②だけ異であることが分かります。

Photo_3

ここで経済物理学者と金融工学者の間で揉めている訳です。
旧来の正規分布ではなく、ベキ分布を使う方がいいのではというのが大勢です。
ただ、銘柄の中には②のチャート以上に安定的な銘柄も多く、本当のところ何所まで正規分布が間違っているのかも悩みどころです。

JT(050123~080123)

ケロッグ(1985~)

さて、この論争の決着ですが、これはよく分かりません。
しかし類似画像検索によるテクニカル分析は、これに左右されません

類似画像検索は市場から得たデータによる、"経験論"を活かす訳ですから、仮にどちらの理論が正しいにせよ間違っているにせよ、それほど影響を受けないでしょう。
こういう点でもメリットがあるんです。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

類似画像検索の使い道② - テクニカル分析とモンテカルロ法

シリーズ後編です。
前回、類似画像検索スクリーニングに使えると述べました。
しかし仮に技術が完成し、スクリーニングできるようになったとしても、収益源としては弱いです。

月額2000円程度のプレミア会員料金と、1%もない売買手数料が少しばかり増えるだけです。
市場は小さく、儲けにはなりません
というわけで別の使い方を提案します。

理経済:類似画像検索の使い道 - テクニカル分析

結論から言えば、「ブラフを見分ける」手法を類似画像検索で実現するのです。
現在、類似画像検索の使い方といえば「あの人は他にどんな色の服を着ているのか」とか「写真で見たあの車はなんと言う車種なのだろ」というようにしか使われていません。

IDEA*IDEA:Google Labsから遂にリリースされた『類似画像検索』がやっぱり使える!

これ等は似たような画像が手元或いはネット上にある時に、それを利用して検索をかけます。
しかし、おそらく1年後位には自分たちが作った画像をアップし、それを起点に検索をするようになると思います。
ちょうど今の検索システムと同じです。

例えばなだらかな山に登りたと思ったら、平たい山をペイントみたいなので書き、それっぽい山を探します。
温泉なら「露天で夕日が見えて」と簡単な図を描くと自動で検索してくれるようなシステムです。

googleが参入しているのは、これを利用し、「この画像に似た画像が検索されたら、あなたのサイトを上位に出します。」という課金システムを作りたいからでしょう。
現在言葉でやっていることを画像でやろうと考えているのだと思います。

話を戻します。
前回のスクリーニング機能を逆手に取り、現在あるチャートから自分達の持つデータベースの中のどの形に似ているかを検索します
この時、売りサインとするテクニカルが多ければ売り、買いが多ければ買いを推奨する訳です。

これに留まらず、データベースのサンプル数を増やし、モンテカルロ法を使い「過去の事例から考えて買い確率○%、売り確率×%、上昇率の分布はこのくらい」というように台風予報のように予測できるように出来ます。
これを利用し、ファンドや証券会社がトレードを行い、収益を上げるのです。

モンテカルロ法

Osamu's Weblog:Monte Carlo Localization
証券用語辞典:モンテカルロ・シミュレーション

過去のデータから得られたテクニカル指標を、最小二乗法で与えられた直線の傾き、陰陽の割合、極値の回数などで数値化しn次元空間での位置を決めデータベースに入れておきます。

そして検索したいある瞬間のチャートを、同様の手法で数値化し、このn次元空間中の何所に属するかを計算します。
そしてそこから近い点との距離を計算します。

例えば近い点を近い順に50個取り、距離の逆数を取ります。
これをすべて足し、正規化。
各々の特徴を持つグラフの面積を勘定し、テクニカル指標の属性ごとに分類します。
各々の属性の総和÷総面積(=1)が確率になります。

イメージとしてはこんな感じ↓
下手なのは堪忍してください。

面積計算のイメージ図

変動率も入れておけば、どの程度変動するかもわかります。
多次元であればあるほど、データ数が多ければ多いほどコンピュータに負荷がかかりますが、検索速度も速いですし、0.03秒で判断から注文までこなすコンピュータがあるのですから、規模の大きい会社なら問題ないでしょう。

これを利用すれば、大した経験がない人でもある程度テクニカルで戦えるようになるでしょう。
天気図を読めない人は多いですが、天気予報の台風予報図が分からない人は少ないでしょう?
職人芸的なテクニカル分析も、素人が比較的容易に理解できるようになるのです。

そして各々のファンドの個性はデータベース作りに現れます。
どのチャートを使うか、どう分類するかは職人の手にゆだねられます。
ここが心臓になるわけです。

このデータベースと技術を利用すれば、新人社員の後ろに四六時中トップトレーダーが張り付いているような効能が得られ、全体の底上げに繋がるでしょう。
これが私の考えた類似画像検索の使い道です。

現在はまだ、グラフのようなメリとハリしかないような画像の検索は難しいそうですが、近いうちに可能となるでしょう。
夢は膨らみます。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

類似画像検索の使い道 - テクニカル分析

以前アイデアを晒すと言いながら、JAL問題で盛り上がってしまいぜんぜん書いていませんでした。
幸い今回のアイデアは何所も手を出していないようなので、まだ大丈夫そうです。

今回のお題は「類似画像検索」の使い道です。
最近まで知らなかったのですが、偶々行ったイベントで見かけ、色々使えそうなので記録していました。

さて類似画像検索とは何かというと、名前通りの検索機能です。
普通は「理経済」という検索ワードに対して、その用語を含むブログやサイト、あるいは画像を検索できます。
一方類似画像検索は検索ワードではなく検索用画像をアップし、それに近い画像を探ってくれる機能です。

TechBlog:1000万画像を1秒以内で検索 VisualSeeker
ネット海:類似画像を使用し写真を自動画像補完するWebサービス

なんか面白そうな技術ではあるのですが、今ひとつ用途がよく分からないというのがユーザーの声です。
と言う訳で、便利な使い道を考えてみました。

それはズバリ、株価等の「テクニカル分析に応用する」です。
投資家の皆々様は日々スクリーニングを使って銘柄探しをしていますが、多くの場合ROEや騰落率など、公式に当てはめれば良いというだけのものです。
チャートを利用した検索はあまり見ません。

最近では株.comがチャートでの分析をしているようですが、「本日のチャート足型」を見る限り、其処まで高度なことをできる訳ではないようです。

テクニカルの手法は随分昔から研究されており、古典的なものだけでも随分あります。

株・個人投資家の喫茶店:テクニカル分析入門

しかし、テクニカルの種類が多い上に対象銘柄も多いです。
分単位で変わる上にブラフも多いので、中々大変です。
複数のシグナルが出いて、しかも買いシグナルと売りシグナルが同時に出ている時はどうすれば良いのか悩みます。

こちら↓は1958年~1962年のダウ平均をテクニカル分析してみた結果です。
もし私が当時取引をしていたなら多分このように売買していたでしょう。

Photo

実際にはこの他にボリンジャーバンドやらRSIやら足分析が入ってきますから、もっと大量の情報を扱わねばなりません。
しかも結構外れます。
私がヘボなだけかもしれませんが。

類似画像検索を利用できた場合、これを簡略化できます。
実際の銘柄数は日本だけで株式3800社、ETF、指数オプションや為替、CFD等様々です。
日本だけで1万種位のチャートがあり、これらを迅速に捌く必要が有ります。

ちなみに凝りだすとこんな画面↓になります。

3万円からのFX投資生活

幸い、元になる画像は山ほど有ります。
一々アップしなくても大丈夫。
新しいスクリーニングツールとして使えそうです。

ちょっとだけ続く…
理経済:類似画像検索の使い道② - テクニカル分析とモンテカルロ法

追記:
ニコニコに面白いテクニカル動画があったので貼っときます。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

携帯電話のクラウド化 おまけ - 今後の経営戦略について

携帯クラウド化作戦シリーズの番外編です。
カテゴリーは「アイディア」となっていますが、どちらかといえば「企業」や「投資」寄りの内容となります。
クラウド化に伴う企業の変革方法について考えます。

理経済:携帯電話のクラウド化① - 省エネ化を図る
理経済:携帯電話のクラウド化② - 発熱を抑える
理経済:携帯電話のクラウド化③ - 欠点を理解する

この問題を考える上で重要なのは以下の二つです。

  1. 既存の携帯メーカーはその地位を失う

  2. サーバー管理技術やデザイン力、アプリやOSの企画力が大事

両方とも連動していますが、少々意味が違います。
1つ目は携帯端末メーカーの業界内対立であり、2つ目はメーカーとIT企業の業種間対立です。

まずは一つ目です。
クラウド化が起こるとアプリの容量やCPUの影響が少なくなりますから、以前のような高度な技術力は少なくて済みます。

長年一生懸命技術力を溜めた企業よりも、切れた特許や安い人件費を集めた企業が有利になります。
欧米などの老舗メーカーには向かい風、韓国や台湾等の新興国には追い風が吹きます。
IT企業からの請負メーカーもシェアを伸ばしそうです。

二つ目は、メーカーにとっては結構きついでしょう。
アプリやOSは少々畑違いなので技術力が足りません。
こちらも先に投資を拡大していた欧米には不利です。

逆にgoogleやアップル、ヤフーやマイクロソフトなどのIT企業は有利です。
もしかしたら、Kindleで調子に乗ったamazonあたりも参入してくるかもしれません。
Kindleに電話を付けたら、大きなスマートフォンですからね。

あの会社は、たぶん世界一上手にDBを使いこなす会社です。
アマゾンは、最近携帯ストアを展開しているようですが、そのうちPB携帯とか作りそうです。

今まで携帯電話市場は、たった三社で全体の6割強を占めていました。
一部の権力者が、世界を支配していた訳です。

携帯電話出荷台数のシェア

半導体 拡大する中国市場の動きを追跡!:携帯電話 世界出荷台数のメーカシェア
CNET:世界の携帯電話販売台数、2009年第1四半期も減少--スマートフォンは堅調

今後はIT産業や新興メーカーの台頭が目覚しくなるでしょう。
ノキア、ソニーエリクソン、モトローラは劣勢になるでしょう。
強い権力者が消え、市場は戦国時代に突入しています。
小さい戦国武将みたいなメーカーが増え、混乱に乗じた外国からの侵略も増えそうです。

しかし、老舗メーカーも悲観する必要はありません。
これをばねに、もう一段上がるチャンスが有ります。

まず他企業からの参入ですが、おそらくあまりないでしょう。
彼らは外注や提携に走るはずです。
自前で工場を持ち、電話を作ることはないと思います。

理由は利益率です。
IT企業の場合、営業利益率20%、30%なんて会社はザラに有ります。
日本のヤフーなんて、50%近い値をたたき出しています。
一方メーカーは10%いけばよいほうで、ノキアでさえ15%そこらです。
メーカーは工場や人員を多く抱える為、利益率が低いのが一般的です。

IT企業にしてみればお荷物でしかありません。
売上は増えますが、利益率も流動比率も下がるでしょう。

端末を自社で作らずとも、クラウド化はビジネスモデルとして成り立っていますから、無理にリスクを取る理由はありません。
強固な提携や、外注が主になると思います。

一方メーカーは、IT企業を自社に取り込むことで利益率の改善が見込めます。
サーバー技術など、今までになかった血が入り込むことになりますが、座して死を待つよりは遥かに可能性が有ると思います。

おそらく、一部の携帯メーカーはネット産業に参入したり、シリコンバレーの中小企業を買いあさる動きが出てくるでしょう。
まだまだ勝機は十分有ります。

結局与えられた環境を、より効果的に活かした人の勝ちな訳です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

携帯電話のクラウド化③ - 欠点を理解する

今まで携帯電話のクラウド化の利点を述べてきました。
携帯電話のクラウド化は、単なるPCクラウド化の拡張というだけでなく、モバイルならではのメリットが有ります。
しかし、これ等にも当然欠陥が有ります。
今回はそんな話。

理経済:携帯電話のクラウド化① - 省エネ化を図る
理経済:携帯電話のクラウド化② - 発熱を抑える

さて、まず大きな欠点はインフラ問題です。
これはPCと同じです。

持ち運びが出来る携帯電話やノートPCの場合、安定的なネット回線が確保できるかは不透明です。
無線LANの場合、アクセスポイントの有無や電波状況の善し悪しで繋がらなかったり回線が細くなってしまったりします。

よくクラウド化のメリットとして、「世界中何所からでもメールが見れ、業務が出来る」と言われますが、これは大嘘です。
回線が繋がらなければ国内でも使えません
地方に行くと、どのキャリアも繋がらない場所もあります。

クラウドはソフトをネット上に置きますから、ネットに繋がらないと端末はただの箱になります
エクセルもワードもゲームも出来ないPCでは使い物になりません。

携帯電話の場合特にその懸念が強く、電話もメールもゲームも出来ない携帯なんて本当にただの箱です。
音楽が聞ければいいのですが、場合によってはそのアプリすら外部に置きますから、使えない可能性があります。

圏外の場所で電話やメールが出来ないのは既存のものも同じですが、アプリの使用も不可になるのはクラウド化にとって大きな足かせです。

第2に省エネ化の度合いがどの程度のものなのか分からないという点です。
確かにゲームを使わないと電池が長持ちしますから、アプリの移管で省エネ化は出来るのでしょうが、逆に通信量が多くなるのでその分を考慮しないといけません。

結局、どれくらい減らせるのかは"やってみないと分からない"としか言えません。
実験が必要です。
幸い発熱は消費電力の2乗に比例して減ります(電圧一定と仮定)ので、結構減ると思います。
電力を3割減らせれば発熱量は半分になりますからね。

また個々の端末が省エネ化できる代わりに、サーバー側の容量アップが必要になります
クラウドの場合、個々の端末が考えなくてよくなりますが、その皺寄せはサーバーにいきます。

サーバーの大容量、高機能化は必須で、ダウンするとその下に付くすべての端末に影響が出ます。
サーバー側はその分のコストは覚悟せねばなりませんし、消費者はサーバーダウンのリスクを考慮せねばなりません。
省エネ化ということで"環境に優しい"とかいうフレーズも出てきそうですが、全体として如何程の省エネ化が出来るかは不透明です。

第3に、既存の携帯メーカーはその地位を失うということです。
前述の通り、クラウド化が進んだ場合携帯電話そのものの技術力より、サーバー管理技術やデザイン力、アプリやOSの企画力が大事になります。

となると、既存の端末メーカーが積み上げた経験はさほど優位性は無くなり、OSメーカーや.com系の会社が台頭します
また、技術的に未熟でもコスト低減技術のある請負型端末メーカーは優位性が出てきます。

今までの図式がリセットされる訳ですね。
マックOSを作っているアップルがiPhoneが話題になっているのもその所為でしょうし、検索サイトのグーグルが、台湾のHTCに携帯製造を外注しているのもそのためでしょう。

世界四季報:鴻海精密工業
ロイター通信:米グーグル、独自の携帯電話端末を来年1月にも販売

既存のメーカーにしたら脅威ですね。
ノキアが落ち目なのはこういった時代の流れがあるのでしょう。

他にも色々有りますが、大まかな所ではこの3つでしょう。
携帯電話市場は、単なる端末市場から脱皮し、日本だけで25兆円もある無線市場へと大きく広がっています。
携帯戦国時代へ突入です。

ダイヤモンドオンライン:2020年に80兆円の無線市場を創出!総務省の電波戦略にかかる期待
総務省:グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース PDF

携帯電話のパラダイムシフトと市場創造

今は、ちょうどこのパラダイムシフト期にいるのだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

携帯電話のクラウド化② - 発熱を抑える

シリーズ第2回です。
前回クラウド化により携帯の省エネ化が可能となると述べました。
この省エネ化はバッテリー問題を解決できるのみでなく、大きな副産物として発熱を抑えることも可能となります。

理経済:携帯電話のクラウド化① - 省エネ化を図る

実はコンピュータで問題になるのは動力源だけでなく発熱も問題になります。
この二つはセットで発生し、小型化における大いなる壁です

電気抵抗がある物質(ほとんどすべての物質にあります)の場合、電気が流れると発熱します。
これは電子が移動する(=電気が流れる)際に、その物質の分子にボコスコ当たる為熱が発生します。
これをジュール熱と言います。

ジュール熱

大川電子設計製作:ジュール熱

厄介なのは、ジュール熱が電流の2乗に比例して増加する点です。
現在CPUの消費電力は、その高性能化に伴ってドンドン上昇しています。
当然発熱量も増加しています。

CPUの消費電力

日本HP:ITファシリティソリューション
ぼくんちのTV:core i7 920オーバークロック電圧設定表

最近コア2とかクアッドコアとか叫ばれ、一つのPCに複数のCPUを搭載した機種が多いですが、そもそも何故2つも3つもCPUが必要なのでしょうか?

簡単です。
一つのCPUを強化し続けると、発熱が凄すぎてCPUやPCが溶けてしまいます
このため複数に分散することで一つ一つの熱を抑えている訳です。
昔500MHz位のCPU(シンクなし)を、動作中に触ったことがありますが、普通に火傷しました。

世界にはオーバークロッカーなる人々が居り、日々CPUの限界に挑戦しています。
彼らは冷却のために液体窒素を使いますが、其処までしないと周囲が耐えられないのです。

1コアでの最大周波数(市販品)3.8GHzですが、たった2割強のスペックアップをするために、温度を200度も下げないといけないんですね。
これはPCの話ですが、携帯電話でも同じ事が言えます。
クラウドで省エネ化できれば、これ等を抑えることが可能です。

昨今、携帯電話に含まれる金やレアメタルが、都市鉱山として注目を浴びていますが、そもそも何故携帯に金が必要なのかは調べても、あまり引っかかりません。
おそらく曲がり易いのと発熱が抑えられるからだと思います。
金は、銅には劣るものの電気抵抗が少ないですからね。

[ゴーログ] 携帯電話のゴミは金鉱山になる!
世界四季報:都市鉱山(レアメタル金属資源)

省エネ化による必要電力の低減が出来れば、電気抵抗をあまり気にしなくてよい為、希少な素材は必要なくなります。
それどころか、熱が少ない為導線の材質や基板の材質も、気にせずに済むかもしれません。

最近では電気を通す塗料電気を通すゴムなんてものも有りますから、"紙で出来た携帯"とか"スライムみたいな携帯"なんてものが作れるかもしれません。
所有者のオリジナルデザインや既成の概念に囚われないデザインなど、より自由な機種を作ることが可能になるかもしれません

この未来携帯も、「早く出てくれないかな」と本気で思えてしまいます。
出たら10万円でも買うんですけどね。

よく見ると、ソーラーで充電していますが、消費電力が下がれば太陽光だけでも問題ないかもしれませんね。

さて、ここまでクラウド化のメリットを述べましたが、勿論欠点も有ります。
続く…

理経済:携帯電話のクラウド化③ - 欠点を理解する

それにしても、この導電性塗料は革命的な商品ですね。
使い方次第で電機メーカーの勢力図が大きく変わるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

携帯電話のクラウド化① - 省エネ化を図る

今回は携帯電話と携帯サービスについて、新しい提案を致します。
案というのは、題名にあるとおり、携帯電話にクラウドコンピューティング技術を使用することで様々なメリットがあるということです。
今回は省エネ化によるメリットについて述べます。

理経済:痒い所に手が届く商品作りを - iPhone3GSを売るために
理経済:クラウドコンピューティングを活用する① - クラウドの欠点

まず、クラウド化の表面的な利点としては、PC同様様々なソフトを外部に置くことで、アプリの共有が可能となります。

パソコンではワードやエクセルでしたが、携帯電話の場合はPDFとかですかね?
最近ではエクセルとかも使えるようですから、こういうところでコストカットが出来るでしょう。
また、逆に携帯には乗せられなかった様なソフトもアプリ化出来るかもしれません。

現在スマートフォンは競争が激化しています。
今後更なる高機能化が予想されますから、アプリの高速配給やマーケティングの観点からも情報が集中し易いクラウドは便利ですね。

さて、そんなクラウド化ですが、重要なのはここからです。
携帯電話のクラウド化で最も恩恵を受けるのは携帯端末そのものです。

携帯電話がサイズを変えずに高機能化するという事は、逆に言えば「PCが小型化している」ような状態とも言えます。
小型化で難題となるのは動力です。
PCのクラウド化と携帯電話のそれで、決定的に違う点はここです。

動力が電池(ここではコンデンサの説明をします)の場合、そのキャパシティは基本、面積に比例します(厳密には電池とコンデンサは違います)
静電容量とはいわば、エネルギーを溜めるコップのようなものです。
大きいほどいっぱい溜められます。
式で表すとこのようになります。

静電容量=誘電率×面積÷電極間の距離

山形大学:静電容量の計算(平板コンデンサモデル)

小型化すると必然的に面積が減りますので、容量も少なくなりがちです。
電極間の距離が縮むのでその分をカバーしてくれますが、ある程度離しておかないとくっついてしまったり容量が下がったりと上手くいきません。

このため小型大容量の電池やコンデンサを作る場合、如何に誘電率の高い素材を使うかで揉めます

例えば、大容量コンデンサの素材であるレアメタルタンタル(Ta)は、需要の増加、供給の低迷、更に資源ブームが追い風となり価格が暴騰。
2000年1Qから4Qにかけて、4倍以上値上がりしました。

Ta鉱石の価格推移

Tech-On!:NEC,Nbを使った固体電解コンデンサを製品化,Taの価格変動に備える
JOGMEC:タンタルの需要・供給・価格動向等 PDF

あまりにも価格が高騰したため、コンゴ共和国では内紛までおきました。
しかも、どうもレアメタルの会社がテロリストに資金援助して、わざと争いを煽っていたらしいという噂まで流れる始末です。
ゴルゴ13のネタ(コルタン狂想曲)にもなったので有名ですね。
最近では代替品としてニオブが出てきましたが、こちらもレアメタルなのであまり代用になりません。

現代世界をどう捉えるか:コンゴ:レアメタル争奪戦の犠牲者

現代のスマートフォン開発では、高機能化に並行して、如何に省エネルギー化と大容量バッテリーを作るかで悩んでいます。
更に低価格化まで迫られる訳ですからもう大変。
今までのように供給の少ないレアメタル等に頼っていると、これ等の影響をもろに受ける上に、原材料費が削減し難い為、どうしても低価格化が難しくなります

クラウドによってソフトを外部に置くということは、演算処理を少なく出来るため、消費電力を少なく出来ます
普通のPCはコンセントと繋がっている為気になりませんが、車にしろエヴァにしろ、うろちょろ動くものはエネルギー源でいつも悩むわけです。

豊田中央研究所:Ta2O5系高誘電率絶縁膜の作製 PDF

消費電力が少なければ、レアメタルの獲得競争から距離を置けるわけです。
さらに消費電力が少なくなるということは発熱も抑えられます。

続く…
理経済:携帯電話のクラウド化② - 発熱を抑える
理経済:携帯電話のクラウド化③ - 欠点を理解する

| | コメント (0) | トラックバック (0)