日本の起業環境の悪さはVCにも一因があるのかも
世界を見渡すと、Googleやアリババなど、創業年数が浅いにも関わらず世界トップクラスに成長する企業が多く見られます。
たった10年で取引所の順位を覆した、BATSもこれらの仲間に入りますね。
彼らの偉業は猛烈ですが、ある意味では新陳代謝の一環であり自然な流れとも言えます。
翻って日本はというと、大きな新興企業がさっぱり出ず、新陳代謝が悪くなっています。
先般大型上場を果たしたLINEも、時価総額1兆円と、すごく大きいとは言い難いものがあります。
しかもLINEは日本で商売をしていますが、どちらかと言えば韓国系ですから、アメリカンドリームならぬジャパニーズドリームの賜物です。
新陳代謝の一環とは言えないでしょう。
なぜそんな事態が発生するのかという事で、しばしば議論がなされますが、よく聞くのは起業の為の教育体制がない事やベンチャー投資家の数が少ない事です。
サラリーマン上がりなので経営者のラインまで行かないと言う事も聞きますね。
HORIEMON.COM:ホリエモン「起業家向けの投資と教育が足りない!」日本から世界的起業家が現れない理由を激白!
起業したての人やしようとしている人に会うと、「社会貢献が~」とか「夢の実現に向けて~」という話になり、儲けたいという話は少ないと感じます。
良く言えばお金にキレイとも言えますが、気持ちで負けている様にも見えます。
今一つ貪欲さに欠けるのは、文化というか教育環境の問題なのでしょうな。
そんな中、VC(ベンチャーキャピタル)の視点から日本のVCに駄目出しを行っていたコラムがありました。
ベンチャーキャピタリストのジェームズ・ライニー氏がシリコンバレーにいたころは四六時中、出資を求めて売り込む起業家たちに追いかけられていたものだ。しかし、東京に来て様相が一変した。日本の起業家たちはお金のことになると卑屈になり、口にすることさえ消極的という。…(中略)…日本ではベンチャーといっても大企業が関与している場合が多く…(中略)…リスクを取らずに官僚的に判断するきらいがあるという。
>>もっと貪欲に、と米VC-借りる理由を言えない日本の起業家たち
VCと会ったのに資金調達の話をしないという事がまったく理解出来ないのは、私の感覚がずれているからなのでしょうか?
インタビューを受けたライニー氏は「企業VCはしばしばサラリーマン的で、出資が成功しようがしまいが給料には影響ない」と語っていますが、それはむしろ楽観的です。
多分「成功しても給料は増えないが、失敗すると極端な説明責任が発生し、出世にも響く」と言うのが正解です。
だから形式的な提案説明を求めており、失敗の際の言い訳にするのでしょう。
大企業のVCは、どちらかと言うと子会社設立の延長線上あるものですから、対象が特別大きくなる必要もないのでしょう。
子会社だと失敗の際に人の整理等が大変ですが、VCなら資本関係を切るだけで済みますし、良い人材がいたらそこだけピックアップできます。
確かにこれでは大きな新興企業は出来ませんな。
環境の無さには落胆してしまいます。
ただ、これはある意味追い風かも知れません。
日本ではライニー氏は起業家にコンタクトを取っている会いに行っているわけですから、こちらからコンタクトを取った場合、直に合ってくれるかもしれません。
アメリカで同じ事をすると順番待ちしなくてはいけないわけですから、これはむしろ行幸です。
ライバルが少ない方が色々都合がいいので、ものは考えようかも知れませんね。
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