シリーズ後編です。
前回は移民を労働力に繋げる事は、その国の製造コスト等を抑え、競争力を高めるというメリットを書きました。
理経済:ギリシャのデフォルトが心配① - 移民を労働力にするメリット
さて、では何故これらの内容がギリシャの立場の悪化させ、ひいてはデフォルトに繋がるのでしょうか。
それは、北アフリカからの移民受入時の窓口としての価値が下がったからです。
難民のドイツ流入のルートは、概ねギリシャを経由するルートとなっています。
フランスやイタリア等の移民(難民ではない)を受け入れたい国は、移民には一旦ギリシャを中継してもらい、落ち着いてから地中海諸国に散らばってほしいと思っていたのではないでしょうか。
異文化を持つ人々はゆっくり自国に取り込まないと、自国民と軋轢が生まれます
実際ドイツがそれで大変な思いをしました。
フランスやイタリアは、ギリシャと言うクッションを使って、慎重に取り込むつもりだったのでしょう。
そう考えると、先日のギリシャのデフォルト騒動で、支援賛成国と反対国がどの様な利害の下、分かれたのかがわかります。
すなわち、支援額を損金としても、ギリシャを対アフリカ(行く行くは中東諸国も)の窓口とさせる事により、自国に利益があるのか否かと言う事です。
こちら↓は先日のデフォルト騒動の際の賛成国と反対国、中立国です。
賛成国と反対国が、ほぼ北と南、と言うか地中海に面しているか否かで別れている事がわかります。
ギリシャがやばくなったら飛び火しそうなポルトガルでさえ、反対しています。

赤:支援賛成国、青:支援半大国、茶:中立国
大和総研:ギリシャへの最後の審判の日 PDF より作成。
地中海に面していれば、ギリシャから船を使って安価に、そして大量に人が運べますから、出稼ぎ労働者が多かった場合でも、移送は可能となります。
賛成国は、予定のシナリオ通りなら自国への恩恵が大きくなる為、ギリシャに抜けてもらっては困ると思ったのではないでしょうか。
ところが、移民が難民化してしまった事で事態は急変。
国の都合にお構いなく難民が押し寄せて来た為泡を食っているのでしょ。
自国ではうまく取り込めず、ドイツに先を越されているわけです。
ここで最初の話題を思い出してみます。
お題はギリシャの立場だったわけですが、ギリシャ支援国は元々アフリカとの窓口としての役割を期待していたわけです。
しかし、その窓口の機能は、色々あって低下しているのが現状です。
そうなると、支援国から見れば、旨味が少なくなっており、支援額と支援による恩恵を、再度天秤に乗せる事になるでしょう。
恩恵が減っている分支援額は下がり、つられてギリシャのユーロ残留の意義が揺らぐわけです。
先日ギリシャがデフォルトせずユーロに残留した為、一旦この件は収まっていますが、2,3年経って再びデフォルト懸念が台頭するでしょう。
それまでに何があるのかわかりませんが、その時、きっとこの件が各国首脳の頭によぎり、マイナスポイントとなるでしょう。
だから問題を先延ばしすべきではなかったのに…。
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