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二項分布の利用法② - 確率分布に分散投資

シリーズ後編です。
まずは解説から。

理経済:二項分布の利用法① - 幼き日の疑問

まず見ていただきたいのはこちら↓のグラフ。
これはその成績が何%の確率で発生するのかを計算したものです。

二項分布1

確率(確率質量関数 )は、nCk・P^k・(1-P)^(n-k)で計算されます。
詳しくはこちらをご覧ください。

高校数学の美しい物語:二項分布の平均と分散の二通りの証明

例えば、5人チームで全員が成功し、平均飛距離2mを出す確率は59%、6人の場合は53%という事を表現しています。

ついでに、5人と6人だけだと劇的な差が見えないので、100人で同様のゲームを行った場合の結果も掲載しています。
その場合、平均距離2mを出す事はほぼ不可能という事になりますが、一方で0mに近い所の確率もほぼ0になります。

平均飛距離1.3mラインだと、6人なら10%ですから、勝てる可能性を捨てる代わりに負けるリスクも抑えられます。
結果、期待値である1.8m(2m×90%)に値が集中しています。

ちなみに、100人組のデータは低確率にへばりついている様に見えますが、これは1点毎に確率が設定しているからです。
100人組は概ね連続分布の様になるので、(厳密ではありませんが)面積が1になる様になりますが、5,6人の場合は離散分布になる為です。

こうやって見ると、6人チームの方が最高値である2mを飛ぶ確率が、5人チームより6ポイント小さく、決して公平とは言えません。
よって前回のゲームが公平化不公平かという問いの答えは「不公平」となります

100点満点のテストで、クラスの半数だけが6点おまけされてたら、私はずるいと思いますね。
私が当時引っかかっていたのはこの部分だった様です。
この差を回避するためにはチームの人数差がほぼなくなる様にする(100対101とか)か、失敗した場合は再度の挑戦を認め、成功率をほぼ100%にするかです。

とは言え、6人組だと低い記録が出難いと言うメリットもあります。
また、6%の差異を大きいと捉えるか小さいと捉えるかは人によるでしょう。

これを投資に例えれば、(厳密ではありませんが)他の銘柄より6%高い確率で上昇すると言う事ですから、十分投資対象になると考えます。
よって2問目の私の回答は「5人チームに賭ける」となります。

子供の頃の疑問はこの様なロジックで解明されました。
スッキリ♪~ヽ( ´ー`)ノ

さて、ではこれがどういう風に投資に役立つかというと、分散投資に役立ちます
投資の格言に「卵は一つのカゴに盛るな」と言うものがありますが、感覚的にはわかるのですが、確率論で見ると一目瞭然です。

例えばこちら↓は成功率が70%の場合です。

二項分布2

成功率が少し下がると、結果が0mとなる様な確率が結構あります。
株式の様なリスクの大きい金融商品の場合は、リスク・失敗確率をコントロール為に分散が有効というわけです。

逆に、社債やソブリン債の様にリスクが小さい・成功確率が高いものの場合、必ずしも分散が有効に機能しなかったり、足を引っ張る結果になる場合があります

かつて、投資王バフェットは「分散投資は、リスクヘッジではなく無知に対するヘッジ」と語っていましたが、あるいはこう言った点を表現したものなのかもしれませんね。
企業を分析しつくし、絶対の成功を確信しているのであれば、分散はむしろ失敗要因です。

証券会社に行くと屡分散しろと言われますが、こう言った確率論的な背景を押さえて聞いた方が、自分にとって分散が有効なのか判断できるでしょう
もし営業マンに国債も分散投資とか言われたら、この辺りについての意見も聞いてみてはいかがでしょうか?

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