金融マンの投資事情② - 取引の例外
シリーズ後編です。
金融マンは投資のプロと思われがちですが、自己資金で取引をする事は規制もあって中々難しいのが現状です。
この為、取引をした事が無いとか取引の素人であるという事態が常態化しています。
しかし買う側の心情として、果たして取引経験の乏しい人から買う事を是とするでしょうか?
例えば自動車を買う際に、運転できない・車も持っていないという営業マンから買いたいと思うでしょうか。
私がお客なら、それなりに運転しており、営業マン自身の使ってみて良かった所悪かった所を理解している人の方がいいです。
まして、元本割れや高い信託報酬を払うのですから、なおの事そういった情報を聞きたいのではないかと思います。
では、金融マンが快適に経験を積むにはどうすればいいのでしょうか。
一つの解決策は、規制の例外規定を使う事です。
結論から書きますと、(日本に上場していない)外国株の売買については、売買の許可申請が原則不要となります。
これにより金融マンやその上司の手間が削減できます。
これは日本証券業協会の規程を読み解くとわかります。
ポイントとなる規定は次の通りです。
- 協会員の従業員に関する規則 7条1項
- 定款(日本証券業協会) 3条1項1号
- 金融商品取引法 163条
よくよく条文を読むと、「特定有価証券等以外の有価証券の取引である場合」は例外的に取引できるとあります。
ここで言う特定有価証券(金商法2条1項5、7、9、11号+政令)とは、(内閣に認定された)金融商品取引所(金商法2条16号、80条1項)に上場(金商法163条1項)している会社の株券等を指します。
海外の取引所は日本の内閣から認定されていないので、外国株は規定の範疇外となるわけです。
結果、日本に上場していない外国株は許可申請不要で売買できるわけです。
なお、シティやバンカメなど、日本で上場している銘柄は外国市場の売買でも要申請です。
また、トヨタなどの日本株ADR等も申請が必要となります。
元々この規制はインサイダーや横領を防ぐ為なので、国債や投資信託はこれらの例外規定により売買が概ね自由でした。
外国株はそれらと同様に扱われる事になります。
確かにインサイダーは難しいと思われますから、まああっても不自然ではない気もします。
ただ、外資とかはそれなりに情報が入ってきそうな気もするのですが、どうなんですかね。
申請が面倒で取引していないと言う方は、こういった制度を使ってみてはいかがでしょうか。
投資経験をガッツリ積めるでしょう。
なお、当然の事ながら勤め先の社内規程や注文を受ける側の規程により書面や連絡が必要な場合がありますので、その辺りは確認しないと酷い事になるでしょう。
加えて、許可申請が不要なだけで反対売買等の制限(数ヶ月保有しないといけない)は規制の範疇なので理解が必要です。
また、金融機関の法務部は、年数回の口座残高の確認をせねばならないので、隠れてよからぬ事は出来ないので、悪しからず。
ルールを守って快適な取引を。
投資経験を積んで良い営業を。
レッツ株式投資。
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