渋滞を緩和する① - なぜ渋滞が起きるのか
先日、祝日の経済効果について記述しました。
日本の様に有給ではなく祝日休みを頼りにする場合、人が集中しすぎて経済効果が薄らいでしまいます。
この為、政府としては休日を分散させ、効果を最大化したいとの事でした。
理経済:祝日の経済効果① - ゴールデンウィークが増えていた
理経済:祝日の経済効果② - 経済は活性化するのか
しかし、休暇を分散するには法律を変えたり習慣を変えたりと、社会に対する負担が多いため、おいそれとできるものではありません。
そんな悩みが尽きない連休制度ですが、渋滞に関してはなんとかなるかもしれません。
まず、渋滞はどういう時に発生するのでしょうか?
巷では坂道や追越時の速度変化が波及し渋滞していると言われますが、理論を色々見てみると、これらは引き金であって根本原因では無い様です。
NAVERまとめ:「渋滞の先頭って何やってるの?」実は原因はあなたかも!?
名古屋大学の研究によれば渋滞は車間距離が一定以下になると発生するとの事。
坂道や料金所だけでなく、一定程度の車両密度があると、勝手に渋滞が発生します。
こちら↓は実験動画です。
これは1周230mのトラックを何台かの車が、40km/h程度でグルグル回るという実験です。
最初は少ない台数を走らせるのですが、次第に車を増やしていきます。
すると20台では渋滞が起きないのに22,3台になると、突如として渋滞が発生するとの結果が出たそうです。
つまり、理由はどうあれ車間が詰まってしまうと、微妙な速度の揺らぎだけで渋滞が発生してしまうのです。
映像で見るとすごいですね。
また統計物理学からのアプローチもあり、この渋滞と平常時は相転移で記述できると言う理論もあります。
長井亮一 他:多相交通流モデルの交通状態と渋滞転移 PDF
ITmediaニュース:クルマの渋滞はなぜ起こる?
かなりざっくり言うと、水が氷になるのと同じ様に渋滞と平常時が移行しあうという仕組みです。
水は温度(や不純物、圧力)で氷になるか決まりますが、渋滞の場合は車間というわけです。
ではどうすれば緩和できるのでしょうか?
続く…
ちなみに、相転移に際しうまくコントロールすると、エネルギーが高い遷移状態で安定する事があります。
水であれば過冷却水というもので、0℃を下回るのに水状態な水溶液です。
そして衝撃を与えると突然氷になります。
これはエネルギー的にヤジロベエの様な安定状態なので、衝撃でバランスが崩れ一気にエネルギーの低い氷の状態に遷移するためです。
では渋滞はどうなのでしょうか?
おそらくすべての自動車が自動運転車となれば、車間を狭めつつ渋滞しない様な状態が作れるでしょう。
これは皆が速いスピードで多くの人が移動できると言う、皆がハッピーな状態です。
残念ながら、少しでも異分子、すなわち自分で運転をする人がいるとすぐに渋滞になってしまいますが。
Gigazine:自動運転カーが走り出すと交通渋滞が劇的に悪化する
要は自己中がいる所為で渋滞になるわけです。
渋滞がある程度存在する状態が、先日お話したナッシュ均衡になっているわけです。
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 記憶と運動の関係についての疑問② - 運動は記憶に良いのか悪いのか(2016.03.23)
- 記憶と運動の関係についての疑問① - 海馬と大脳皮質(2016.03.15)
- 触媒の高耐久化に成功(2015.11.27)
- 二項分布の利用法② - 確率分布に分散投資(2015.11.12)
- 九州大学が白金の代替触媒を開発(2015.11.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント