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劣後債を活用する② - 遊休現預金を活用する

シリーズ後編です。
途中おまけを挟みましたが、三菱商事ハイブリッド債を例にとり、具体的にどの様に劣後債を活用できるのか考えてみます。

理経済:劣後債を活用する① - コーラブル債と劣後債
理経済:劣後債を活用する①+0.5 - 三菱商事のハイブリッド債について

まず確認しておく点は、コーラブル劣後債を発行する事のメリットです。
メリットは主に下記の3点あります。

  1. 格付けなどの際には、一部を資本としてカウントできる点
  2. 発行体が自由に返済時期を決められる
  3. 通常の社債等と比べ、利回りが高い

これを発行体サイドと投資家サイドの視点で見てみましょう。

一つ目は、三菱商事が公言している事であり、普通に社債を発行するよりも自社の信用力に有利に働きます。
既存の株主を傷つける事もないので、三菱商事側にメリットが多くなります。
また、投資家に株券を持たれないという利点もあり、大株主などの議決権比率が変動しません。

二つ目は、発行体にとって都合の良い権利となりますが、見方を変えると投資家にもメリットがあります。
普通の投資家にはあまり関係ないのですが、例えばグループ会社であれば、その現金需要を見て償還する事もできます

そして三つ目は利回り(スプレッド)が通常より高い点です。
発行体にとっては高い金利を払う事になる為、デメリットが大きくなりますが、投資家から見ると、色々特約は付いているものの、収入を増やせます。

また、現預金などが余っている場合、それの運用ができます
溜まった預金を預ける事で通常預金や当座預金よりも高い利回りで運用できるというメリットがあります。

もしグループ内の企業で現金が余っているのなら、これを元に社債を買ってもらえば、グループ内の遊休資産が減って、全体としてはプラスになります

さらに現金を移し変える事で他の債務に対するデフォルト確立を減らす事ができます。
グループ内のある会社では現金が無くて破綻しそうなのに、別の会社は預貯金を無駄に大量に持っているという状況をなくす事ができ、言わば倒産確率の平準化ができるわけですね。
グループ全体としての平均信用力が上がるわけです。

と言うわけで、上記の内容をまとめると、こんな↓感じにこの債券を活用できるのではないでしょうか。

劣後債の活用

ちなみにグループ会社はこちらをご確認ください。

三菱商事は商社なので流通系が強い会社です。
コンビニやレストランなど、BtoC型の会社はキャッシュフローが安定しており潰れにくく、売れている会社では現預金がかなり余ります。

また、クレジットカードなどの未収金もあったりしますが、製造業と違い、まとまった金額のデフォルトは発生しにくいという特徴もあります。
※勿論破綻しかかっている会社は余ってません。

例えば工場だと、数百万円とか数千万円の支払手形が、1社の都合でデフォルトしたりする事があります。
これにより企業だと連鎖倒産があったりするのですが、個人の場合、精々1件数万円程度で数も多いため、期待損失率が安定しています
だから手許に多額の現金を置く必要も無くなり、現金が余るというわけです。

この余った現預金について、利息はほぼつきません。
それでいて収益を生むかと言うと必ずしもそうでもなく、また国内市場の停滞があるため、収益率も下がっています。
例えば、コンビニもそこらじゅうにあるわけで、今更1店舗2店舗増やした所で昔の様な収益は期待できません。

ダブついた現金を、投資に回す事で利益を得られれば、コンビニ等の利益が増し株価の上昇も望めるのですが、そうは言ってもハイリスクな商品には投資できません。
グループ内貸付もできますが、利回りの面で問題があります。

その点、親会社の債券ならば持ちやすいでしょうし、利回りも一定程度確保できるでしょう。
発行する親会社も、株をもたれず資金を調達でき、グループ全体の現金稼働率を上げられ、自身の信用力にも寄与します
これらすべてを達成するにはグループ内貸付や株券の発行では足りないわけです。

まとめるとこんな↓感じです。

劣後債の活用2

本文に書いた以外にもグループ内で示しをあわせる事で、コーラブル条項による繰上償還も可能です。
新株も子会社に買わせる事が無いので、親子関係の変化や持合も回避できます。

一方で、三菱商事は高い利息を払う事となりますが、海外への投資で賄えるかどうかが鍵となります。
また、劣後債なので、親会社が倒れるとグループ会社には通常以上のしわ寄せが行くことになりますから、そこもリスクとして織り込む必要があるでしょう。

この様に、劣後債、できればコーラブル条項付きの社債を活用する事で、新たなリスクは発生するものの、グループ全体の収益力に資する事ができます
うまい事使いこなせると、便利そうなのですが、このアイデアはいかがでしょうか?
現預金が有り余っているグループ企業の親企業の方は、検討してみてはいかがでしょう。

ちなみに、子会社に直接社債を売りつけたりすると優越的地位の濫用とかになりかねない為、法律上の問題をクリアする必要がありますが、今回の様な公募方式とかだと濫用規定の例外項に該当したりするので、やるやらないは兎も角、できるできないだと意外と論点は少なそうですが、どうなんですかね。

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