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配当金は本当に必要なのか?② - DDMによるアプローチ

前回、機関投資家が配当金をあてにしていない事を書きました。
それにしても、なぜ配当金が必要という認識が世間に広まったのでしょうか

理経済:配当金は本当に必要なのか?①

細かい経緯はよくわかりませんが、大きかったのは1956年に発表された割引配当モデル(Dividend Discount Model , 以下DDM)でしょう。
原文はこちら↓

Myron J. Gordon and Eli Shapiro:Capital Equipment Analysis:The Required Rate of Profit

この論文の(1)式が、現代にまで脈々と受け継がれ、M&Aの際には必ず出てくる方程式です。

Ddm

P:株価、D:配当、k:割引率(論文内では利益率)、t:期間

発表された当時は名前はなかったみたいです。

さて、この式ももちろん重要なのですが、この論文で最も重要なのは株価を配当金で記述できると言う事です。
この式を信じると配当金をいっぱい払っている会社程、株価が高くなる計算になりますし、配当が0なら株価も0と言う事になります。
この為株主の資産を増加させる上で、配当金が重要になってくるわけですね。

実際、古いデータを見ると、アメリカの配当を支払っている企業(有配企業)も、上場企業全体の中で大きな割合を占めていました。
1963~67年で見た場合、米国では71.6%、日本では84.4%と高水準になっています。

アメリカと日本の有配・無配企業率

佐々木・花枝:わが国企業の配当行動のマクロ分析

ところが、貿易摩擦などによる利益率の低下や、MM理論(たぶん次回書きます)の台頭もあって、米国の有配企業の割合は急速に低下しています。
グラフ化すると一目瞭然です。

上場企業に占める有配企業の割合

野間:有配企業比率、日本以外は低下傾向続く

現在、欧米では配当金を払わないのが主流ですが株価は相変わらず形成されています。
そう考えると、影響がないとは言いませんが、配当金が株価を決定しているという考え方には相当無理があると言えます。

一方、日本ではなぜか有配企業率が高いまま。
この辺りはお国柄が出てるんですかね。
あるいは投資教育の充実具合か。

意味も分からずに欧米に追従し配当金が重要視し続けた結果、配当金が必要という神話の様な思想が根付いてしまった様です。
いかんですな~。

理経済:配当金は本当に必要なのか?③ - MM理論
理経済:配当金は本当に必要なのか?④ - シグナリング効果 1
理経済:配当金は本当に必要なのか?⑤ - シグナリング効果2

ちなみにこのDDMモデルを改良したOhlsonモデルと言うものも存在します。
こちらはクリーンサープラス関係を用いて、配当金ではなく将来の利益から株価を算出しようとした理論です。

尤も、現代ではデリバティブのお陰でクリーンサープラス関係自体怪しいものなので、
如何程の正確性があるのかは分かりかねますが。

詳しく知りたい方はこちら↓をご覧ください。

James A. Ohlson:Earnings, Book Values, and Dividends in Equity Valuation

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