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配当金は本当に必要なのか?③ - MM理論

配当金と株価の関係について、前回紹介したDDM以外にMM理論と言うものがあります。
MMとはModiglianiさんとMillerさんの頭文字を取ったものです。

理経済:配当金は本当に必要なのか?①
理経済:配当金は本当に必要なのか?② - DDMによるアプローチ

原文はこちら↓
本人たちの意向なのか、少し修正した論文を立て続けに出しています。

Franco Modigliani and Merton H. Miller:The Cost of Capital, Corporation Finance, and the Theory of Investment
Merton H. Miller and Franco Modigliani:Dividend Policy, Growth, and the Valuation of Shares

彼らの主張は、配当を払っても払わなくても投資家が受け取るトータルリターンは変わらないというもの。

株価と会社の純資産が紐づいているとすれば、

配当金を払う⇒純資産が減る⇒その分株価が下がる

となる為、結果的に投資家が持っている資産の総額は変わりません。

よって配当金は株価にはマイナスの効果があり、トータルリーンには効果がないというわけです。
要は「配当金なんて意味ない!」ということ。

本家の論文では企業価値とキャピタルゲインの観点から数式をガリガリ解いていくと、同じ数式で書ける事から、両者は同じものであると結論付けています。

しかし、この理論にはキツイ前提条件があります。
前提条件としては次の3つが書かれています。

  1. 完全市場である
  2. 投資家は合理的である
  3. 商品は同質である

完全市場とは税金もなく、情報は瞬時に共有され、流動性は常に存在するような理想な状況です。

しかしこの前提だと、世界中の国はタックスヘイブン状態であり、企業の情報は筒抜け状態のためインサイダー情報もなく、銀行は頼めば適正な金利ですぐさま貸し付けてくれるような環境と言う事になります。
およそ現実的ではありません。

投資家が合理的である場合、兎に角1円でも多くの利益を求める状況です。
所謂経済人と言う存在です。
儲けのためなら平気で他人を裏切るような社会です。

人間が非合理的であるか否かの実験として有名なのは、例えば次のような例があります。

あなたと友人は2人で散歩中に1,000円を拾いました。
あなたは友人と、この1,000円をいくらずつ分けますか?

まずネコババするなと言う意見もあるでしょうが、投資家が合理的なら捕まるリスクとネコババで得られるリターンを比較しより有利な方を採るでしょう。
多分ネコババします。

次に配分ですが、多くの場合は500円ずつとか、拾った方が600円と言う様に、配分に差がでないようにするでしょう。

しかし、あなたと友人が経済人なら、あなたに999円、友人に1円という配分を行うでしょう。
そしてお互い納得するはずです。
元々拾ったお金ですから、1円でも手に入るのなら文句がないというわけです。

合理的とは口で言うのは簡単ですが、貫こうとすると難しいですね。
こちらも現実的ではありません。

ちなみに、拾ったお金が1,000円ではなく100兆円とかだたら、多分インフレ率と得られる利益を比較しだす事でしょう。

最後に商品が同質というのは、株も債券もデリバティブも本質的に同じ商品であり、同じような動き、リスク、リターンがもたらされるという前提です。

しかし、株とデリバティブ、商品先物等を同列に扱うのも変だし、差がないなら世に溢れる様々なファンドは何なんだと言う事になります。
日本もアメリカもギリシャも同じに扱うというのも、ちょっと無理がある気がします。

この様にMM理論は理論的には優れているのですが、机上の空論の域を出ないわけです。
現実的に考えれば、配当金は思っているほどの影響力はないものの、それなりに影響がありそうです。

理経済:配当金は本当に必要なのか?④ - シグナリング効果 1
理経済:配当金は本当に必要なのか?⑤ - シグナリング効果2

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