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配当金は本当に必要なのか?④ - シグナリング効果 1

ここまで配当金と株価の関係を考えた場合にどのような事が考えられるのか見てきました。
ここで少し見方を変え、配当金が与える影響について心理的にどのような影響を与えるのか考えてみます。

理経済:配当金は本当に必要なのか?①
理経済:配当金は本当に必要なのか?② - DDMによるアプローチ
理経済:配当金は本当に必要なのか?③ - MM理論

配当金を支払う効果として、投資家や債権者の様な関係者(ステークホルダー)に対して、ある種の情報提供を行う効果(シグナリング)があります。
具体的には次の3つがあります。

  1. 情報の非対称性の軽減
  2. エージェンシー問題の緩和
  3. 破綻確率の低さをアピール

他にも色々有ります。
細かいものについてはこの辺りの論文をご参照ください。

Naceur, Goaied and Belanes:On the determinants and dynamics of dividend policy

情報の非対称性とは、例えば医者と患者の関係が挙げられます。
医者は医術の知識がありますが、患者は知識がありません。
病状も薬の処方も、患者側は医者のいいなりと言うわけです。
患者も医者に意見する事はないでしょう。

これは投資家と経営者の関係にも言えます。
経営者は会社の内部情報を知っている為、経営状態を隠して粉飾やインサイダーを行えますが、投資家は企業の情報が少ない為、見破るのは困難です。

投資家は経営者や監査法人が小出しにする情報を見ながら判断しなければいけません。
経営者は配当を出す事により、自分達の財務内容に自信がある事をアピールでき、投資家はその自信を実感できるというわけです。

エージェンシー問題とは、「行為主体Aが、自らの利益のための労務の実施を、他の行為主体Bに委任すること」です。
よくわかりませんね。

ざっくり言えば、要するに皆自分の為に働いていると言う事です。
経営者は会社や株主の為ではなく、自身の報酬の為に働いていますし、従業員も自身や自身の家族の為に働いています。
投資家も然りです。
だからこそ皆、会社がやばくなったりすると、平気で訴訟したり経営者を罵ったりするわけです。

これを緩和する為に、例えば経営者に株券を渡します。
これにより配当を支払えば自身の利益として還元される事になる為、利益に貢献する様に働くだろうというわけです。

長くなったので続く…
理経済:配当金は本当に必要なのか?⑤ - シグナリング効果2

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