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2012年11月

現ソニーの格下げは妥当 - 円高は殆ど関係ない

ついにソニーが投資不適格の烙印を押されました。
押したのは米英系のフィッチです。

かつては世界をリードする家電メーカーだった両社の格下げは、長年の赤字経営で疲弊した財務の改善に取り組むなかで発表された。フィッチはソニーの格付けを「トリプルBマイナス」から「ダブルBマイナス」、パナソニックを「トリプルBマイナス」から「ダブルB」に引き下げた。両社とも見通しは「ネガティブ(弱含み)」だ。
>>フィッチ、ソニーとパナソニックを「投機的」水準に格下げ

投機的と言う事は、年金団体保険会社の大半が、その投資規約上保有できない債券であると言う事です。
格付け会社を信じるか否かに関わらず、重要な一線を越えてしまったのは間違いありません。

理経済:邦銀が格下げ - なぜ格付けが重要なのか

掲示板ではすでに月曜の株価について様々な書き込みがあります。
ちなみに23日のソニーのADRは小幅下落に留まっています。

注目していただきたいのはソニーのCDS価格の動向です。
CDSとはざっくり言えば借入金利の上乗せ分で、値が高いほど金利が高い、つまり破綻しやすいと市場が判断している事になります。

世界四季報:CDSとは
証券用語辞典:クレジットデリバティブとは

信用格付は、元々債権者に関係がある指標なので、株価よりもまずこちらに影響があるでしょう。
現状、CDS価格はジリ高で、すでに340bpを超えています

ソニーのCDS

NYダウ,ナスダック,CDS,円相場のリアルタイムチャート速報と無料動画:ソニーのCDS指数チャート
東京金融取引所:J-CDS

これがどの位ヤバいのかと言うと、2011年4月の東京電力位です。

2011年3月に地震が起き、経営が急激に悪化した東電ですが、2011年4月1日のCDS価格が374bpでした。
東電のCDSは、その後ドンドン上がっていく事になりましたが、ソニーはどうなるのでしょうか?

さて、この格付けについて、そもそも格付け会社が信用できない事や、日銀が通貨発行量を増やさず円安に行かないからと言う様な、ソニー以外の要因の方に問題があるという論調が屡見られます。

しかし、残念ながら今回の格付けはソニー自体に起因するものであり、他者の問題ではありません。
むしろ格付けをもう少し早く、体力のある内に下げていれば、自身の置かれている状況を正しく認識できたのではとさえ思います。
実際体力がある時には下げられませんが。

まず格付け会社についてですが、フィッチのプレスリリース文は下記の通りです。

Fitch believes that continuing weakness in the home entertainment & sound and mobile products & communications segments will offset the relatively stable music and pictures segments and improvement in the devices segment which makes semiconductors and components.
>>Fitch Downgrades Sony to Speculative Grade; Outlook Negative (要会員登録)

上記の内容はソニーの電子デバイス部門の弱さを音楽部門等が相殺するだろうとしています。

ソニーの収益源はすでに電子デバイスでない事を認識しており、そこを何とかしないと一向に復活できないと言う事を指摘しています。
いたって正しい認識です。
ちなみにソニーの営業利益の構成はこちら↓になります。

2011年度のソニーのセグメント別の売上高と営業利益

Tech-On:【決算】ソニーの2011年度は9.6%減収、最終赤字4567億円

一番赤字が大きいCPSに、テレビやPCが分類されます。
この数字を見れば、彼らがなぜ格下げされたのか、ご理解いただけるのではないしょうか?
過去のブランドだけで商売できる時代では無いのです。

次に為替レートですが、ソニーの場合為替の感応度はかなりフラットになっており、ドル円の影響はすでに受けていません。

為替感応度

マネックス:主な企業の想定レートと為替感応度 PDF
SankeiBiz:【株主総会ライブ】ソニー(4)ストリンガー氏の高額報酬 「第三者機関で適切に判断」

ユーロについては1円あたり60億円の増減ですが、CPSの営業赤字が2300億円もある事を考えると、少し為替が動いた程度でどうなるものでもありません。
40円位円安ユーロ高になれば多少は好転するのかもしれませんが、それを期待している経営者は、そもそも資質がありません。

ましてユーロ崩壊とかユーロ圏の景気減速が叫ばれているのに、日銀の力だけで円安にはできないでしょうし、ユーロの景気を日銀が回復させる事もできません

この様に、今回の格下げにおいて、最も大きな原因はソニー自身にあるわけです。
そこを自覚しないと、未来はないでしょう。

そういえば、大学でソニーに就職した先輩がいましたが、大丈夫なんですかね。
従業員も立派な債権者なので、結構格付と関係があったりするのですが。

理経済:市場の声なき声を聞く - JALから学んだこと

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バイナリーオプションの自主規制① - そもそもの経緯

皆様お久しぶりです、なるです。
色々あって暫くブログを放置していたのですが、いつの間にかPV数が月1万を超えていてビックリ。
読者の皆様、本当にありがとうございます。

さて、今回は今話題のバイナリーオプションの自主規制の話です。
バイナリーオプション(以下:BO)とは、今流行っている新手の金融商品で、上昇か下落かのどちらかを選択する物です。

円高か円安の2択から選んで数倍の利益も!とても簡単な取引方法として今一番注目されている金融取引がバイナリーオプション(BO)です。数分後・数時間後の為替レート価格が円安か円高になるのか2択で選んで予想するだけです。予想が当たれば、軍資金の数倍の利益を得られる可能性もあります。
>>バイナリーオプション人気ランキングBEST5!

次回書きますが、同じ商品名でもオプションの時間的価値を売買するものと、一種のレンジオプションとして機能するものとの2種類があります
先に仕組みを知りたい方はこちら↓をご覧ください。

貴方の隣のブラックホール デリバティブ 賭博開帳編
東京証券取引所:バーティカル・ブル・スプレッド
フォレックス・マグネイト:日本と海外の『バイナリーオプション』の違い 日本のBOは『バイナリーオプション』と呼べるのか。

かなり古い記事でしかもワラント型なので、現在のBOとは異なりますが、仕組みは同じです。

では今回のお題の規制をするかどうかの議論が持ち上がった経緯を記載します。
なお、ここに書く内容は、情報の海に埋もれてしまっていますが一応ほぼすべて公開情報です。
インサイダー情報ではありません。

様々な因縁が絡んでいるのでどこが発端かは、はっきりとは言えませんが、大きな転機は半年前の2012年5月24日に開かれた商品先物取引分科会に由来します。
この日、東京工業品取引所(以下:トコム)が現在の苦境を脱する為の提案を行いました。

ご存じの通り、日本の金融市場は低迷しております。
最もメジャーな株式取引ですら、売買高の低迷が鮮明です。
ましてマイナーな工業品(金、銀など)なんて全然売買高が膨らみません

しかも、かつて怪しげな業者が跋扈していた為、とてもイメージが悪いです。
最近は随分整備されてきたのですが、市場の流れには勝てないのが現状です。

そこでトコムが思いついたのは、公的取引所でのBOです。
BOは為替のイメージが強いですが、原資産は何でもいいので、金や銀のBOがあっても構いません。

産業構造審議会商品先物取引分科会 平成23年度 第5回:商品先物市場の活性化・健全な発展の方策について(具体的方向についての審議用資料) 4ページ PDF

当人達は一つの提案として書いただけなのでしょうが、これが思わぬ事態に発展します。

翌月の6月19日、共産党参議院議員大門実紀史議員がこの事を国会で取り上げ、「リスクの高い商品に誘導している!」と指摘します。

2012年6月19日財政金融委員会高リスク誘導は問題、年金資産で政府追及

大門議員は元々トコムが嫌いならしく、国会で度々文句を言っています。
今回もその一環だったのでしょう。

さらに翌7月26日、今度はBOを名指しで非難。

バイナリーと呼ばれるオプション取引もやろうと、高速自動売買ですね、今も問題になっていますが、それもやろうと。バイナリーって何かといったら、バイナリーオプションって今FXで大変問題になっておりまして、素人がやれるように、十分後、円高ですか円安ですかと、これだけでどちらかにやると。これはもうあれですよ、投資でも何でもないですよね。丁半ばくちですよ。
>>第180回国会 財政金融委員会 第11号

予てから規制当局には個人投資家から文句の電話が入っていたようで、国会からも文句が来た事で、官僚の皆様方もビビッてしまい規制するしないの議論に発展しました。
最近では文句の電話を電凸と称し、2chの方々が散々やっているようですし、まあこうなります。

ついに規制か?バイナリーオプションが大ピンチ

現在は金融先物取引業協会主導でワーキンググループを立ち上げ、自主規制の内容について議論をしている最中です。
内容を記載した会報は、金先のホームページにその辺りの事が出ていますので、公式情報はそちらをご覧ください。

金融先物取引業協会

ちなみに規制が入る場合、業界内では事前に根回しが来るため、新規参入が事実上規制されます。
だからこれだけ話題になってるのにBOの参入業者が一向に増えません
最近参入したのは、日本の規制なんてお構いなしの外資だけです。

アヴァトレード:アヴァHIGH-LOWの提供開始

結果、意図せず寡占市場になってしまい、皆文句を言いながらも特定の業者で取引せざるを得ません。

自己責任を否定し市場の自由競争を阻害した結果なのですが、議員や電話した人はどこまで予想していたのでしょうか?
まあ世の中そんなものなのですが。

続く…

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