中国と韓国が日本国債を買うメリット① - 中国の環境発電戦略
先日、韓国国債の購入について、あれこれ書きました。
てっきり誹謗中傷の類が飛んでくるかと思いましたが、非常に考えさせられるコメントが飛んできました。
有難いことです。
コメントを下さったこんにちわ(^▽^)/ さん、ありがとうございます。
当ブログはこの手のコメントは大歓迎なので、ご意見のある方は是非書き込みしてください。
さて、どのようなコメントなのかというと、下記のとおり(抜粋)です。
なお、省略した部分についての私の回答は、コメント欄にて記載しております。
…それに、今回の決定は日中韓で国債を相互に持ち合うのだから日本国債を買うより、韓国国債を買うほうが得なのだとすればなんで中国や韓国は損をしてまで日本国債を買ってくれるのか説明がつかないのでは。…
>>韓国国債の現状 こんにちわ(^▽^)/さん コメント
全くその通りです。
日本側の利益に注視し過ぎ、その部分は失念していました。
いやはや精進が足りませんね。
さて、反省はその位にして、中韓の日本国債購入のメリットについて考えてみます。
公式な共同声明を見ると「外貨準備当局による相互の国債への投資を促進し、情報交換を含む協力を一層強化、これにより日中韓の地域経済関係を強める」為にやるとの事ですが、どう見ても建前です。
具体的な事は何も言ってませんし、地域の関係を深めたいなら準FTAなど、条約で対応すれば良い筈です。
と言う事はお互い裏事情があるはずです。
日本のメリットはわかりやすいです。
金利差も一つの理由ですし、分散したいというのも嘘ではないでしょう。
また、財務省は国債の海外保有比率を高めたいと、再三言っておりました。
しかし日本国債は信用格付けや債務残高に比べ、極端に利回りが低く、しかも日本人ばかりが大量に保有している、謂わば持合株状態となっており、世界からは敬遠されがちでした。
その為、日本国債の海外への売れ行きは芳しくなく、官僚達も随分頭を抱えていた事でしょう。
財務省:平成23年度の債務管理政策 PDF
財務省:今後の国債管理政策の課題 PDF 平成18年11月2日
ロイター通信:五十嵐財務副大臣、海外投資家の日本国債投資を容認
日本側としては、外国勢に日本国債を購入してもらいたい立場なんですね。
一方海外勢の目論見はなんなのでしょうか?
はっきり言って外国勢には買う意味が無いので、それなりの日本側の譲歩があったのではと思います。
まずは中国について考えてみます。
こちらも割とわかりやすいです。
考えられるのはエコ発電機関連の輸出です。
特にソーラーパネルや風力発電機は彼らの主力商品となっています。
また、日本は世界に逆行して、高値でこれらのエネルギーを買い漁ると言っているのですから、彼らにとっては魅力的な市場と言えます。
SankeiBiz:独新エネ業界 雇用削減の波 助成カット、太陽光は採用停止
WSJ:日本に期待寄せるソーラー業界
太陽光発電は暖かそうなイメージなのに冬の時代です。
大手メーカーはバタバタ倒れ、中国メーカーに独占されています。
こちら↓は2010年度末の太陽電池セルの生産量ランキングです。
世界業界マップ2012 より作成
一昔前と違い、現在は太陽光パネルに補助金を出す⇒中国の貿易黒字が増えるといった状態です。
電気の買い取り制度は、電気代を通じて中国に流れる仕組みでもあるのですが、不思議とネットでは叩かれません。
3位に食い込んでいるファーストソーラーも、補助金が切れれば今にも破綻しそうな状態です。
まだ年初から4ヶ月しか経っていないのに、株価は50%も下落。
明らかに市場が警戒しています。
Yahoo!Finance:First Solar, Inc. (FSLR)
そんな中で日本の状況は、中国にとって垂涎の的というわけです。
風力発電も状況は変わりません。
今まではGE等の老舗が優位に立っていました。
しかしいつの間にか、シノベルやゴールドウィンド等の中国メーカーが浸食しています。
世界四季報:風力発電機の世界シェアランキング
PLARAD:風力発電建設について
さらに先日、この2社が世界最大の風力発電機メーカー「ヴェスタス」の買収計画を発表しました。
中国企業の寡占は日に日に進んでいます。
しかし、太陽光市場と同じで、この業界もお寒い状態です。
エコエネルギーで技術を蓄積している中国としては、日本政府にガンガン補助金を出していただき、かつ中国製品を差別しないようにしてくれれば良いわけです。
日本が裏でどこまで譲歩しているのかわかりませんが、この辺りは時代の流れもあるので、簡単に合意できそう。
中国へはこの辺をセット販売したのでは、と思います。
なお、尖閣問題などは内容が重すぎるので、話はしていないと思います。
では韓国は?
次回に続く
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