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2012年4月

武田薬品が勝利 - 追徴課税騒動

武田薬品が税務署の追徴課税を不当としていた審判に勝利したようです。
以前FACTAに載っていて興味があったのですが、ついに武田側の勝利が決まりました。
これにより、税務署は多額の還付加算金を積み増す羽目になったようです。

武田薬品工業は6日、移転価格税制に基づき大阪国税局から受けていた追徴課税処分について、申告漏れと指摘された1223億円のうち約8割に当たる977億円を取り消す決定書を受け取ったと発表した。…(中略)還付加算金を特別利益に116億円計上する
>>武田に571億円還付 国税局、追徴課税取り消し

還付加算金は納付額に年約4%加算される。武田のケースでは、06年7月に約571億円を納付しており、5年が経過した現段階で単純計算すると、加算金だけで100億円を突破する。今後、国税不服審判所から法廷まで行くとして、その期間を最低3年と見積もっても、最終的に武田側に軍配が上がれば“利子”だけで150億円を超える計算だ。「そのときは、武富士事件の悪夢の再来となる」(国税OB)ことは間違いない。
>>武田薬品vs国税「600億円泥沼訴訟」

国税庁は税金を取るのが仕事なわけですが、彼らが仕事熱心であること、税法が極端に複雑であること、しょっちゅう税法が変わる事等が災いし、頻繁にこのような事態が起こります。

FACTAの記事の後ろに方にも書いてある通り、武富士の相続問題で変な課税しちゃったり、ストックオプション課税の方針を変更したせいで、変な追徴課税をしてしまい、大揉めになったりと、どうも払うとか払わないとか以前の所で揉めています。

lalalow:ストックオプション訴訟判決~給与所得ではなく一時所得に
納税協会:ストック・オプション判決に対する市場の反応 PDF

税を納めるのは仕方がないとして、この複雑怪奇で摩訶不思議な税法は何とかならんものなのでしょうかね。

ちなみにこの還付加算金は、通常の法人でも受け取る事が可能です。

税を納めるときは、仮払法人税など、あらかじめ利益を予想し税金を払う場合があります。
この場合、最終的な税額は後にならないとわからないのですが、もし、大目に納税していたとすれば、多かった分は返ってきます。

その際、多かった分×利率×日数分の還付加算金貰えます。
利率は大体年4%と、破格です
お金に余裕のある法人が使う、税の裏技の一種です。
起業を目指す人は覚えておくといいことあるかも。

Astand:還付加算金~その内容と近時の改正~
税理士 西塚事務所:還付加算金とは

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太陽光発電大手のQセルズが破綻

昨日ニュースを見てビックリ。
なんとドイツの太陽光パネル大手、Qセルズ破綻しています。
Qセルズと言えば、2007年に世界一の太陽光発電量を誇った企業なのですが、それが破綻するとは、業界が末期状態なのでしょうか。

Qセルズの破綻は、まだ新しいながらも順調に拡大している太陽光発電業界の代表的な企業が、急速に衰退したことを象徴する例となった。Qセルズは2007年に太陽電池セルの生産で世界首位に立ち、当時の時価総額は約80億ユーロに上った。現在では5000万ユーロにも満たない。
>>Qセルズ、破産法適用を申請

今まではソリンドラゾロンの様な、ベンチャーみたいな会社がバタバタ倒れていただけですが、こちらは完全に大手。
業界構造の変化が見て取れます。
ちなみに日本一のシャープ京セラは彼らより下です。

理経済:太陽光発電では日本の雇用は生まれない

気になるのはスペインです。
スペインは太陽光発電が多い国で、よく「スペインは太陽光でクリーンな国を作った!」と言われ、環境問題の引き合いに出されます。

しかし、スペインで太陽光発電が盛んなのは、クリーンエネルギーが儲かりそうだからやってたわけで、別に環境の事はあまり考えていません
彼らはユーロの後ろ盾により低金利でお金をかけまくり、太陽光に補助金を出しまくっていました。

結果、太陽光発電はバブり、多数の企業が生まれました。
しかし暫くして景気が悪くなると、企業はバタバタ倒れ、スペインは欧州のダメな国に位置するようになりました。
その後のお騒がせ状況は皆さんもご存じのとおりです。

ECO JAPAN:太陽光発電 スペインの教訓―固定価格買い取り制度の光と陰
ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」:スペイン 太陽光発電事業家が破綻しまくり??

この破綻を切欠に、欧州の太陽光への投資意欲が減退し、スペインの経済に影響を与えるのではないかと不安に思っています。
幸か不幸か、弱い企業は事前にバタバタ潰れてくれていたようなので、大事にはならないと思いますが。
ノリでやると碌なことになりませんな。

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日本の借金を考える② - 見るべきポイント

さて、前回は債権と債務の関係について述べました。
理論的に言えば、債務と債権が、各々どれだけあるかは重要ではありません。

理経済:日本の借金を考える① - 債権と債務

では何が重要なのでしょうか?
まず理論的な見解を示すと、「債権-債務」で計算される自己資本がどうなっているかです。
これがマイナスに転ずる、あるいは0に近くなると不味くなります。
マイナスとは所謂「債務超過」の状態で、破綻寸前(正確ではありませんが)の企業と同じ状態です。

借金はそのまま放置しておくと金利がかかりますし、不動産にせよ動産にせよ、多かれ少なかれ市場の影響を受け、時間とともに価値が変わっていきます。
買った当初は債権と債務が同じくらいだったとしても、状況によって債務超過に陥ることもあるのです。

日本の場合は、一応、債務超過になっていないのですが、それほど余裕があるわけでも無い様です。
ちなみに自己資本の評価についてはいくつか手法があり、各シンクタンクが色々出しています。

日本の国家のバランスシート

日経ビジネス:「国の借金」意味分かって使ってる?
J-CAST:国の債務超過額317兆円 国債発行かさむ
PHP総研:日本の政府部門の財務評価

実際どうなっているのかはわかりませんが、正直債権の毀損や売れない状態はかなりあると思います
例えば、一概に国有地と言っても、高速道路や新幹線を売却するわけにはいきませんから、これらは債権部分からは除外するべきでしょう。

また、国有地は得てしてひも付き、つまり「公共の福祉に供する建物を作りなさい」など、制限が多い場合が結構あります。
そのため、一等地であっても売れないことがしばしばあるとか。
そもそも土地の価格は全国的に下落しているわけですから、その分も再計算してあげないといけません

WBS.log:ワールドビジネスサテライト,8/11,売れない国有地を成長力に
理経済:資産バブルの行き着く先③ - 借金した結果

そう考えると、日本の純資産270兆円も、どこまで信じていいのかは疑問です。
それに自己資本比率4.7%は、普通の企業経営から考えると、相当ヤバいと思うのですが。

さて、一番の問題は理論的な部分ではなく心理的な部分です。
投資は理論よりもむしろ心理的な要素で動くことが多く、同じ事象であっても、気分でコロコロ変わります

例えば、リーマンがレバレッジをかけまくっていたのは、随分前からわかっていた事ですし、ギリシャやスペインがバブっている事は随分前からわかっていました。
しかし、多くの人はその事を"気にせず"、突っ込んでいったわけです。
何かの拍子にそれが表面化し、それが危険であったことに気付くわけです。
なんでもそうですが。

日本でも似たようなことがありました。
度々起きたバブルです。
特に1980年後半のそれは凄かったのはご存知でしょう。
例えば、当時日経平均構成銘柄のPER5,60倍が当たり前でした。

日経225構成銘柄PERの推移

投資十八番:S&P500と日経225の超長期PERの推移から見えてくること
ホンネの資産運用セミナー:バブル相場を振り返る

今から考えればどう考えても割高なのですが、当時はそういう風潮がなく、いろんな人が突っ込んでいき、失敗しました。
好機や危機の目は、結構至る所に出ているのですが、それが目であったと気付くのは、往々にして後になります。

この様に、答えが正しい、正しくないに関わらず、投資家の心情によって評価が大きく変わります
日本が危ないか否かは、借金があるとか無いとかが重要なのではなく、それを見る人々が、どちらに傾いているのかが重要なのです。

いつの時代も、良いという人もいれば悪い人もいます。
最初は水面下で綱引きをし、ある程度均衡しているのですが、その均衡が崩れると、良い方向にも悪い方向にも、物凄い速さで傾きます。
重要なのは、この心理がどう動いているかを正しく読み取る事と言えます。

では具体的にはどうすればいいのでしょうか?
これはかなり難しい問題です。
投資の極意と同じなわけですし。

まあ、無難なのは、上述したような財務諸表をしっかり見て、中身を良く見る事と、専門家の意見を、両論学び、しっかり自分の意見を持つことです。

また、日本人は投資が下手なので、本屋で「儲かる国債」とかその手の本がやたらと平積みされていたり、特定の理論の本をまるで見なくなったら、その逆方向に傾く場合が多いです。
その辺を参考にしてみてください。

いずれにせよ、理論と心理を良く学んでくださいという結論です。

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高田社長の職業観

NHKの視点・論点で、ジャパネットたかた高田社長が、職業観について語っています。
時期的に新人が入ってくるので、そういう特集をしていたようです。

NHK:視点・論点 「職の選択 『今』を大切に全力で取り組む」

普段はテンションの高い高田社長ですが、今回はまじめにローテーションです。
熱い感じのノリは変わらないのですが、ちょっと新鮮です。

内容としては、「なんでも自分のためになる」と言う事。
ジョブスのそれと同じで回り道に見えても、それが役に立つというわけです。

この人の人生は波乱万丈です。
それでいて一代であの規模の会社を作っているのですから、あっぱれです。
テレビだとハイテンションなのでそんな感じはしませんが、色々調べると本にできそうな位です。

また、興味深いのは個人情報が漏えいした時の対応です。
調査を徹底的に行い、毎週のように放送したため、大事にならないばかりか信頼度が増すという事態になりました。
苦労人の経験が活きたんですかね。

今日から社会人になった方は、心して聞いておく事をお勧めします。

ちなみに、大学院には人事部長の方が何人かいるのですが、聞いたところによると、「10人位新人がいれば、1人位は必ず調子が悪くなる」そうです。

環境の激変に耐えられない人が多い様で、「新卒やめて中途にしようかな」との事でした。
う~む。
私の周りにはそんな人はいませんでしたが、やっぱりいるんですかね。
まあ、何でもやってみれば、良い事ありますよ。

あと、社会人になる方、新人社員に悩む方はこちらの資料を読むことをお勧めします。
結構笑えます。
そして考えさせられます。

KBS:なぜ会社を辞めるのか?

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日本の借金を考える① - 債権と債務

以前、日本の借金額について書き、コメントを頂いたのですが、色々あって放置状態でした。
やっと状況が改善したので、返答させていただきます。
コメントとしてはこんな感じ。

世界一の借金大国はアメリカで、世界一の債権大国は日本。ミスリードしないように。

理経済:日本の借金を国際比較 - 世界一の借金大国

確かに、米国の債務は14兆ドルに達しており、日本の借金とどちらが多いのかと、世界1,2位を争う水準に達しています。

米連邦政府の債務

AFPBB:【図解】米連邦政府債務の推移

これらは当然為替の影響を受けるため、放っておいても世界順位は上がったり下がったりします。
円高になれば、日本の借金残高は米ドルベースで増えます

また、そもそも借金とはどこまでを指すのか、という定義によって金額が随分変わります。
例えば日本の借金は1000兆円と言われますが、これは大凡建設国債と特例国債(赤字国債)を足したものです。

赤字国債は法律で、発行を原則的に禁じられていますが、建設国債は、社会インフラ、例えば高速道路や新幹線など、将来利益が出るものに投資される為、発行が可能です
そういう意味では、赤字国債と建設国債を足すというのは、ちょっとおかしいんですね。
しかし、そこに突っ込みを入れる人はあまりいません。
比率としては、大体1:2位ですので、純粋な借金という意味では、GDPの8割位、400兆円程となります。

日本の債務残高の割合

財務相:公債残高の累増

このため、どこまでを「各国政府の債務残高」と考えるかは、意外と面倒です。
国際的な協定があるかどうかは知りませんが、おそらく、大まかには一致していても、細かい部分は各国の裁量に任せていると思います。

100兆円単位で変わるとは思いませんが、日米レベルなら数十兆円程度のブレはあっても不思議ではありません。
正確な意味で、日本の借金が世界一かどうかは、判断が難しい所です。
前回のブログでは、シティの文献を根拠としていますの、シティの目線では、日本は世界一の債務残高という事になります

さて、借金の残高についてはこの位にして、借金(債務)と債権の関係に移ります。
まず重要な点としては、日本が世界一の債権大国か借金大国かを議論するのは、ほとんど意味がありません
なぜならば、この二つの命題は同時に成り立ち得るものであり、むしろ普通であれば同時に成り立っても良いものだからです。

ではなぜ成り立つのか、と言う事を知るためには会計の知識が必要です。
ここでは、ざっくりと債務と債権の関係について説明します。
なお、イメージを持ち易くする為に、厳密な説明は省きます
興味がある方は本屋に行ってください。

ざっくり言うと、債権とは貸し、債務は借りに相当します。
そのため、債務を借金と言う事が屡あります。

一般的な感覚からいえば、貸しと借りは相反するものですが、世の中には人から借りを作り、他の人に貸しを作る人がいます
典型的な例は銀行です。

こちら↓は三菱UFJフィナンシャルグループ貸借対照表です。
本来はら銀行部門を使った方がいいのですが、資料と手間の関係からFGで代用。

三菱UFJFGのBS

SharesBlog:【日経一面企業分析】三菱UFJFG[8306]

これの図の左側、青枠で囲った部分が債権、つまり貸しになります。
一方で右側の赤枠で囲った部分が債務、ざっくり言うと借金になります。

こうやって見ると、三菱UFJは180兆円もの借金を行い、200兆円の債権を持っていることになります。
日本国内でここまで借金がある会社は、郵政位しかないでしょう。
三菱UFJFGは日本最大級の借金企業であり、債権企業でもあるわけです。

個人でも、家を借金して買う事がありますが、あれと同じ状態なわけです。
借金をして家を買う場合、不動産という債権を保有する代わりに、巨額の借金を負うわけです。

ここまでわかれば、「日本が世界一の債権大国か借金大国かを議論するのは、ほとんど意味がない」という事がわかります。
日本が作り上げた借金、つまり債務はどこに行ったのでしょうか?
銀行と同じで、何らかの債権となるわけです。

それは人であり、インフラであり、社会保障です。
借金が増えたからと言って、必ずしも形がなくなってしまうとは限りません
それが海外に振り分けられれば、海外に対する債権として計上される事になります。

特に日本は介入などをしまくっており、アメリカを中心に、外国に対する債権が多数あります。
借金が多くなれば、殆どの場合、債権残高も増えてくるため、債権大国にも成り易いわけです。
よって、意味がないと言う命題が証明出来ました。

では、日本の借金問題を考える上で何が重要なのでしょうか。
続く…

理経済:日本の借金を考える② - 見るべきポイント

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青森放浪記 - 5日目 最終日

青森旅行最終日。
帰りもバスなのですが、乗る時間が遅いので観光も兼ねて八戸から乗車しました。

理経済:青森放浪記 - 1日目 六ヶ所村にて
理経済:青森放浪記 - 2日目 津軽へGO
理経済:青森放浪記 - 3日目 青森市街散策
理経済:青森放浪記 - 4日目 東通村訪問

まず八戸に行くわけですが、距離も短いので新幹線で行くことにしました。
新青森へは普通列車の筈なのですが、見てくれは特急です。
特急料金は発生しません。

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新幹線はちょっと奮発してグリーン。
距離が短いとそれほど高くはならないので、話のタネに乗ってみました。
グリーンの中はこんな感じ。

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暫くすると乗務員が来て無料ジュースを配ってくれます。
電源も完備しており、PCやPSPが使い放題です。

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しばらくして八戸に到着。
時間を読み間違えた+大雪のため、着いた時には真っ暗。
取り敢えずとろろ丼+せんべい汁定食を食べて待つことに。

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せんべい汁は汁がおいしいです。
せんべいは、へなった部分がおいしいのですが、その構造からか中央部分に芯が残ってしまい、ちょっと微妙かも。
もう少し細かく砕いた方がおいしかったかもしれません。

駅の1階が図書館で、しかも結構遅くまで開いていたので、地元の新聞などを読みます。
デイリー東北を見ると、相変わらずの核関連の税金の話題が多く出ています。
予算を作る時期に加え、福島の事故もあるので、ピリピリしています。
こういうのを見ると、やはり地方と都心の温度差を感じてしまいます。

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理経済:福島にお邪魔しました - 3,4日目 Jヴィレッジ訪問

バスが来たので、また8時間ほど揺られて帰宅。
青森旅行終了です。

今回の旅行でも、青森の雇用の少なさはよくわかりました。
コンビニに「アルバイト募集」の張り紙が無い(そもそもコンビニもない)のはかなり意外でした。
勿論、駅前等にはあるのですが、少し外れるとさっぱりです。
マンションがない、スーパーが遠いなどからわかるように、根本的に人口密度が低いのです。

時々言われるように、彼らの努力が足りないというのも、強ち間違ってはいない気もします。

例えば、青森は観光に力を入れていたようですが、バスの便などが土日祝祭日に減るとか、殆どの文言が日本語のみで表記されているとか。
しかし、都心は原材料を地方から輸入して栄え、地方は原材料を安く買いたたかれる、都心の加工貿易の構造がこういう現象を生み出している一因と言う事も、忘れるべきではありません。

それでいて何かあったら「お前らの所為だ」とか、「やっぱりこんなもの買わなければよかった」では、やはりちょっと不自然な気がします。
地域独自の収入源を手に入れるのは、本当に大変なことだと、つくづく実感した旅行でした。

NHK:視点・論点 「"忘却"への抗い」 社会学者 開沼 博

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