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日本の借金を考える② - 見るべきポイント

さて、前回は債権と債務の関係について述べました。
理論的に言えば、債務と債権が、各々どれだけあるかは重要ではありません。

理経済:日本の借金を考える① - 債権と債務

では何が重要なのでしょうか?
まず理論的な見解を示すと、「債権-債務」で計算される自己資本がどうなっているかです。
これがマイナスに転ずる、あるいは0に近くなると不味くなります。
マイナスとは所謂「債務超過」の状態で、破綻寸前(正確ではありませんが)の企業と同じ状態です。

借金はそのまま放置しておくと金利がかかりますし、不動産にせよ動産にせよ、多かれ少なかれ市場の影響を受け、時間とともに価値が変わっていきます。
買った当初は債権と債務が同じくらいだったとしても、状況によって債務超過に陥ることもあるのです。

日本の場合は、一応、債務超過になっていないのですが、それほど余裕があるわけでも無い様です。
ちなみに自己資本の評価についてはいくつか手法があり、各シンクタンクが色々出しています。

日本の国家のバランスシート

日経ビジネス:「国の借金」意味分かって使ってる?
J-CAST:国の債務超過額317兆円 国債発行かさむ
PHP総研:日本の政府部門の財務評価

実際どうなっているのかはわかりませんが、正直債権の毀損や売れない状態はかなりあると思います
例えば、一概に国有地と言っても、高速道路や新幹線を売却するわけにはいきませんから、これらは債権部分からは除外するべきでしょう。

また、国有地は得てしてひも付き、つまり「公共の福祉に供する建物を作りなさい」など、制限が多い場合が結構あります。
そのため、一等地であっても売れないことがしばしばあるとか。
そもそも土地の価格は全国的に下落しているわけですから、その分も再計算してあげないといけません

WBS.log:ワールドビジネスサテライト,8/11,売れない国有地を成長力に
理経済:資産バブルの行き着く先③ - 借金した結果

そう考えると、日本の純資産270兆円も、どこまで信じていいのかは疑問です。
それに自己資本比率4.7%は、普通の企業経営から考えると、相当ヤバいと思うのですが。

さて、一番の問題は理論的な部分ではなく心理的な部分です。
投資は理論よりもむしろ心理的な要素で動くことが多く、同じ事象であっても、気分でコロコロ変わります

例えば、リーマンがレバレッジをかけまくっていたのは、随分前からわかっていた事ですし、ギリシャやスペインがバブっている事は随分前からわかっていました。
しかし、多くの人はその事を"気にせず"、突っ込んでいったわけです。
何かの拍子にそれが表面化し、それが危険であったことに気付くわけです。
なんでもそうですが。

日本でも似たようなことがありました。
度々起きたバブルです。
特に1980年後半のそれは凄かったのはご存知でしょう。
例えば、当時日経平均構成銘柄のPER5,60倍が当たり前でした。

日経225構成銘柄PERの推移

投資十八番:S&P500と日経225の超長期PERの推移から見えてくること
ホンネの資産運用セミナー:バブル相場を振り返る

今から考えればどう考えても割高なのですが、当時はそういう風潮がなく、いろんな人が突っ込んでいき、失敗しました。
好機や危機の目は、結構至る所に出ているのですが、それが目であったと気付くのは、往々にして後になります。

この様に、答えが正しい、正しくないに関わらず、投資家の心情によって評価が大きく変わります
日本が危ないか否かは、借金があるとか無いとかが重要なのではなく、それを見る人々が、どちらに傾いているのかが重要なのです。

いつの時代も、良いという人もいれば悪い人もいます。
最初は水面下で綱引きをし、ある程度均衡しているのですが、その均衡が崩れると、良い方向にも悪い方向にも、物凄い速さで傾きます。
重要なのは、この心理がどう動いているかを正しく読み取る事と言えます。

では具体的にはどうすればいいのでしょうか?
これはかなり難しい問題です。
投資の極意と同じなわけですし。

まあ、無難なのは、上述したような財務諸表をしっかり見て、中身を良く見る事と、専門家の意見を、両論学び、しっかり自分の意見を持つことです。

また、日本人は投資が下手なので、本屋で「儲かる国債」とかその手の本がやたらと平積みされていたり、特定の理論の本をまるで見なくなったら、その逆方向に傾く場合が多いです。
その辺を参考にしてみてください。

いずれにせよ、理論と心理を良く学んでくださいという結論です。

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コメント

 日本単独の数値を見ても比較対照が無いと分析の意味が薄いと思うのですが、そのところはいかがなのでしょうか?

 少なくとも基軸通貨であるドルを有するアメリカとだけでも比較した方が、より納得できるものと思います。

 他に比較するなら完全自国通貨建ての国ぐらいでしょうか。他国通貨建て国債を保有してる国は、比較対照としては論外のような気もしますし。

投稿: ゆーき | 2012年4月 4日 (水) 02時55分

ゆーきさん
コメントありがとうございます。

他国との比較につきましては、
当ブログ内でも何度か行っているため、
今回は割愛しております。
詳細については、この辺りをご参照下さい。

http://rikeizai.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/--68f3.html

http://rikeizai.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/--21b0.html

ついでに言えば、色々な文献やブログを見ると、
他国との比較を行う物はかなりありますが、
日本単独のものは意外とありません。
どこかにいいのがあればいいのですが。

>完全自国通貨建ての国ぐらい
先進国を見る限り、どの国も他国との関わりを持っており、
日本の様な保有比率の国は、先進国にはありません。
日本はいわば、未公開株状態です。

確かに同一条件でなければ完全な比較はできないというのはそうなのですが、
そもそも論として、未公開がいいのかは考えないといけません。

無理に未公開にこだわる方が、
本質を見失うのではと思います。

投稿: なる | 2012年4月 5日 (木) 08時31分

はじめまして、私「面白・便利なエコグッズ」を更新しています、遠山と申します。
いつもブログを拝見させてもらっております^^
もしよろしければ、相互リンクお願い致します。
それでは失礼致します。

投稿: 遠山 | 2012年4月11日 (水) 10時52分

遠山さん
コメントありがとうございます。

相互リンクにお誘いいただき有難いのですが、
少し当ブログの方向性とずれるので、
申し訳ないのですがお断りさせていただきます。

投稿: なる | 2012年5月 4日 (金) 17時59分

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