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2011年12月

アメリカが珍しく金融規制

SECが珍しく規制を強めるようです。
マドフの事件以来、虎視眈々と怪しいファンドをマークしていたようです。
日本ではすっかり風化していた事件ですが、SECしっかり覚えていたようです。

SECの資産運用取り締まり部門のブルース・カーパティ共同責任者は「ヘッジファンド業界には悪質な不正行為が存在する。われわれはこうした会社を突き止めている」と述べた。表に載っているヘッジファンドは同氏の事務所があるマンハッタン南端の一角を占める。
>>SEC、新コンピューターシステム駆使しヘッジファンドにメス

世界四季報:市場を汚したバーナード・マドフ氏

エンロンで懲りたからなのか、昔から株式市場で四苦八苦してきたからなのか、あの国は市場に対して並々ならぬプライドがあります
プログラム取引は手法の一つとして許しているようですが、粉飾やインサイダーなど詐欺まがいな行為には、常に断固たる態度を取っています。

当初20年と言われていたマドフの禁固刑も、いつの間にか150年に伸びています
ワールドコムバーナード・エバーズ(またバーナード…)も25年間の禁固刑。
粉飾なども金額がでかくなると、普通に2,30年の判決を下し、今後無い様にと市場にアピールします。

WSJ:【情報クリップ】米ホワイトカラー犯罪

日本の金融業界にいる身としては言い難いのですが、やはり米国の市場に対するプライドと努力に対しては恐れ入ります
日本の場合、オリンパスフタバ産業の様な粉飾企業はスルーする割に、どうでもいい所に突っ込みを入れます
都合上どことは言えませんが…。

どうでもいい所は緩く、締める所は締めるのは、とても良い事です。
今回の規制も市場が委縮するのではと言われていますが、常にニュースやインサイダー情報と照らし合わせて、うまく、そして公平にやるでしょう

悪い事は言わないので、日本での株取引はやめた方がいいです。

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業界全体の葬儀のようだった - 言うは易く

昨日太陽光発電の岐路について書きましたが、WSJが追い討ちの如く記事を書いています。
結構悲痛な叫びを出しているようです。

業界の寵児ファースト・ソーラーでさえ、業績悪化とプロジェクト遅延のなか再編に踏み切った。同社のマイク・アハーン会長兼暫定最高経営責任者(CEO)は14日のアナリスト向け会見で、業界が永遠に価格圧力に苦しむだろうと述べた。スティフェルのアナリスト、ジェフ・オズボーン氏はこの会見について、「業界全体の葬儀のようだった」とたとえている。
>>冬の時代に入ったソーラー業界、今後も再編続く

理経済:曲がり角の太陽光発電

ここ最近太陽光発電は新興国優勢。
安い労働力を武器に、大量生産に勤しんでいます。
タタBPからソーラー部門の権益を譲り受けています。

WSJ:タタ・パワー、太陽光エネルギー合弁相手の持ち分買い取りで合意

「期待の太陽光発電!」と言われる事が多いですが、実際には言われるだけで、それに対してお金を出す人はあまり多くいない様です。

言うは易く行うは難しというように、「期待してます!」と言うのは簡単な事ですが、「では、あなたはその言葉に対して、何をしてくれるんですか?」と言うと、往々にして皆尻込みをしてしまいます。

以前、クローズアップ現代で、市民ファンドによる太陽光発電の普及についてやっていました。

クローズアップ現代:私のお金を生かしてください ~市民がつくる新たな金融~
おひさまエネルギーファンド:【メディア】NHK『クローズアップ現代』で当社事業が紹介されました

仕組みとしては太陽光発電の売電ファンドで、作ったエネルギーを電力会社に売る、よくあるタイプのファンドです。

おひさまエネルギーファンド

おひさまエネルギーファンド:「信州・結いの国」のご紹介

さて、問題はなぜファンド形態なのかと言う事。

本当に期待が持てるのなら寄付金でやればよい筈なのに、実際にはお金を拠出させ、年利2%の確定配当を、10年間約束しています。
10年間で2%と言うと、国債並みですね。
しかも配当を出していると言う事は単利なわけですから、下手をすると国債より利回りが低くなります。

業者から言えばAAA格並の金利(配当)で資金調達でき、市民はお金を出しているという"満足感"が得られます。
仕組み的に、株価や基準価格の下落を心配する人はいません
うーん。

なぜこんな事になったかと言うと、寄付が集まらなかったからとの事。
残念ながら番組のアーカイブが無いのですが、私の記憶では「説明をしたら絶賛されたが、寄付の話になったら急に帰られた」そうです。

実際にお金を出すとなると「お金ないし」とか、そういう話になり、殆ど貰えなかったそうです。
たまにポンと100万位くれる人もいたそうですが、殆どの人は渋ってしまい、お金が集まらなかったそうです。
そこで、仕方なくファンド形式にしたとか。

世の中では様々な甘言がありますが、それを実際にやるのは大変です。
太陽光発電ならば、CO2問題やクリーンエネルギー問題が争点となりますが、これを推進する人ですらお金は出したがりません
(ちなみに一部の反原発派は東電株を保有しており、いつも撤退を叫んでいました)

ついでに言えば、そもそもエネルギーの消費量を抑えれば、両方の問題は解決します
火力発電も原子力も太陽光も必要ありません。

我が家(一人暮らし)の先月の電気使用量は47kwhでしたが、調べてみたら少な目の様です。
必要ないから使っていないだけなのですが、それで少ないとなると、逆に多く使われ過ぎな気も…。

もう少し工夫すればエネルギー問題ももっと好転するはずなのですが、世の中そうはなりません。
本当、言うは易く行うは難しですね。

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曲がり角の太陽光発電

石油メジャーBPが、太陽光発電事業から撤退するそうです。
てっきり原油事業だけの会社だと思っていたのですが、40年も前からやっていたそうです。

同事業を担うBPソーラーをめぐっては、世界経済の先行き不透明感が根強いため長期的な収益を維持するのが難しくなったという内容の社内メールをマイク・ペトルッチ最高経営責任者(CEO)が送付したと報じられていた。広報担当者は報道内容を認め、「この事業から利益を上げようとしたが苦戦した」と述べた。
>>BP、太陽光発電事業から撤退へ

昨今、太陽光発電はめっきりで、さっぱり儲かっていません。
日本ではヤンヤヤンヤと言われていますが、世界的にみると低迷しており、補助金によって生活しているような状態です。

理経済:太陽光発電では日本の雇用は生まれない

また、同記事によると、ドイツの太陽光発電パネルメーカーのソロン(ゾロン)も破綻したとの事。
太陽光にはお金が回っていないようです。
米国で、まだマシな業績を上げているファーストソーラーも、ロビー活動による補助金の吸い上げで、体裁を保っているようです。

Bloomberg:米ファースト・ソーラー:加州での政治関連支出、BP北米部門上回る

株価の方もめっきりです。
2年間の株価推移は、ファーストソーラーも、中国の太陽光企業サンテックも、全然冴えません。

太陽光発電メーカーの株価②

Yahoo!Finance:First Solar, Inc. (FSLR)

青線:ファーストソーラー 赤線:ダウ平均 緑線:サンテック 黄緑線:IBM 水色線:BP

太陽光発電の技術自体は日進月歩で進歩しています。
例えば、先日は紙とインクの半導体が開発されました
ソーラー発電の要は半導体ですから、これは新たな可能性を指し示しています。

しかし、現実問題として、お金が続かない状況があります。
太陽光発電は分岐点にさしかかているようです。

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言論の自由と義務 - 格付会社の敗北

米国で、格付け機関裁判に負けてしまいました
今まで言論の自由を盾に、格付け機関の影響による価格下落は、「関係ないもの」とされてきました。

しかし、今回の判決は、格付け機関のような認可企業は、大きな発言力を持つが故の責任を認めての事のようです。

ニューメキシコ州アルバカーキ連邦地裁のジェームズO.ブラウニング判事は今月初めに273ページに及ぶ判決文を出し、その中で「広告など一般大衆向けの営利的言論とは異なり、ソーンバーグ関連証券の格付けは特定の集団を対象としている。このように限られた投資家を対象に発行される証券の格付けについては言論の自由条項の適用範囲外とする」と述べている。
>>連邦地裁「格付会社は常に言論の自由で守られるわけではない」

アルバカーキとは、さすがといった感じですね。
あそこは考える事が一段上ですね。

他のメディアでは報道されていませんし、WSJですらちょっとしか載っていません。
まだまだ始まったばかりの話なので、情報が少ないのでしょう。
しかし、これは非常に重要な意味を持ちます。

例えば、格付け機関が学校法人の債券に格付けしたり、店頭取引など、非常に内輪な商品の格付けをすることは珍しくありません
サブプライムローンだって、店頭売買などで特定の投資家を渡り歩いた物も多いでしょう。

そうなると、損害賠償になれば、桁違いの金額を請求されかねません。
フィッチでそれならS&Pとかムーディーズとか、もっと酷い事になるでしょう。

さらに問題なのは、銀行や証券などにも被害が及びかねません。
彼らだって免許業ですし、発言力があるのは否定できません。

各企業の個別の意見というディスクレーマーはありますが、格付け機関が槍玉に挙げられるんだったら、金融機関だって可能性はあります
彼らは年中レーティング詐欺をしてますから、自分達の発言力をわかっているのは明らかです。
他の業種だって、とばっちりがあるかもしれません。

そう考えると、この判決の範囲はかなり大きくなります。
まあ、言論の自由は唱えられてきたのに、発言の責任を問われる事が無かった事を考えると、バランスは取れているのかもしれません。
今後の展開に注目です。

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オリンパスの売上高比率 - 内視鏡のシェア2割

皆さんお久しぶりです。
やっと大学院で初めてのテストが終了。
鉛筆オンリーなので、腕が痛いです。

さて、やっぱりというかなんと言うか、世間ではオリンパスの事件が早くも風化し始めています。
上場廃止もなさそう。
政府側が圧力でもかけてるんですかね。
東洋経済国策上場維持と、過激なことまで言っています。

オリンパスと言えば、内視鏡の世界シェア7割とのキャッチコピーで通っており、その辺りが国策に通じているとの事です。

しかし、私の記憶では内視鏡の市場自体それほど大きくなかったはずですし、逆に大きな市場で7割取っているのなら、時価総額数兆円とかあっても不思議ではないはずです。
ウッドフォードさんもNHKも、キノコや化粧クリームなど、内視鏡と全く関係ないものを買収していたと盛んに報じていたので、少し調べてみました。

ちなみに、上記放送の1時間50分位に、日経の記者が、「あんたらはジャーナリストではない」と、ウッドフォードさんに怒られています。
事実関係を調べればすぐにデマとわかるような事を、碌に調べもせずに聞いた事が不味かったようです。
次の日の日経には「○○について強く否定した」と書かれていました。
否定されたのは日本の新聞そのものだと思うのですが。

さて、オリンパスの分野別売上高を細分化してみると、こんな↓感じです。

オリンパスの分野別売上高

オリンパス:財務データダウンロード 分野別売上高より作成

オリンパスの内視鏡世界シェアは7割かもしれませんが、オリンパス内のシェアは2割そこそこのようです。
正直「内視鏡の会社」とは言い難い状況に陥っています。

売上高ベースでみると、情報通信業の方が内視鏡より大きいんですね。
っていうか、オリンパスって情報通信なんてやってたんですね。

オリンパス曰く「携帯電話、光回線の販売や、法人向けソリューション型サービスを通じてユーザーの皆さまに利便性と安心を提供」しているそうです。
要らないでしょう。

ウッドフォードさんのニコ生でのぶらさがり会見では、「中核事業ではないが、赤字でもない」との事で、取り敢えず復帰しても手放さないようです。
文脈から考えると、いい値がつけば売るのでしょうが。

また、オリンパスは売上高1兆円に拘っていたので、内視鏡だけでは限界を感じていたようです。
内視鏡の世界市場は、多く見積もっても5,000億円
2003年の日欧米の2,550億円ですし、中国等の新興国を含めても、4,5千億円が限界でしょう。

内視鏡の市場規模

特許庁:平成17年度 特許出願技術動向調査報告書 内視鏡 PDF

なお、変な買収の代表格である化粧品の市場規模は、日本だけで2兆円を超えます。

化粧品の市場規模ですが、日本メーカーの化粧品販売額は経済産業省の化学工業統計平成22年によると1兆4,219億円とされています。これに外資系メーカーの販売額などを加えると市場全体では2兆2,000~3,000億円程度の規模と推計されています。
>>化粧品・トイレタリー産業について調べるには

内視鏡も一事業として位置付け、技術の会社としたかったのかもしれませんが、明らかに方向性が間違っていたようです。
衛星のレンズとか、海底ケーブル、土管の補修用のレンズ技術とか、やりようはあると思うのですが。
経営者の虚飾が凄まじかったようです。

それにしても、事態の収束速度が異常に早いですね。
この手の事象は、ライブドアと同じで、ボディーブローの様にじわじわ効いていきます
単なる1企業の話ではなく、市場の信頼性や、参加者の行動パターンに大きく影響します。

ライブドアの時は、その後新興市場が低迷するきっかけとなり、IPOが激減しました。
さらに市場そのものの持続力がなくなり、全然上がらなくなりました。
あの時は日経平均は17,000円位ですが、今は半値。
リーマンショックやらヨーロッパのショックやらで海外もやられているのに、日本だけ酷い状態。

円高だから?本当にそうでしょうか。
米国も欧州も、一時期通貨高で悩んでいたはずですが。
厳粛な対応を期待します。

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福島にお邪魔しました - 3,4日目 Jヴィレッジ訪問

福島3日目
折角なので広野まで。

理経済:福島にお邪魔しました - 1日目 いわき市観光
理経済:福島にお邪魔しました - 2日目 タンガロイと地元史

朝飯にホテルの軽食を食べ、広野駅行の電車へ。
もう少しちゃんとしたビュッフェを想像していたのですが、ちょっと残念。
まあ味はいいですし、値段相応ってことですかね。

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電車は1時間に1本。
時間によっては1時間半待ちです。
行く時はいいのですが、帰りに気を付けないとやばいことになりそう。

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取り敢えず広野へ。
道中はいい感じの海景色。

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電車に乗る事30分。
広野駅に到着。
天気は晴れていて、絶好のお散歩日和。

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2車線の線路を急ごしらえで1車線にしたようです。
奥に火力発電の煙突が見えます。
知らなかったのですが、Jヴィレッジの隣は火力発電所なんですね。

Jヴィレッジまで1時間。
のどかな風景が広がっています。
ジブリアニメを実写化したような光景です。

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道中唯一のスーパー。
看板からして閉店しているのかと思ったのですが、普通にやっていました。
それどころか、昼時だったためか三菱重工のマイクロバスで横づけ。
大盛況でした。

駐車場では20人位がタバコを吸っていました。

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しばらく行くと、急に道路が良くなります。
どうも発電所が近いらしく、車なんて殆ど走ってないのに3車線。

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車組は高速から直接来るようです。
楽でいいのですが、街の空気に触れられないと考えると、損な移動手段です。
難しいですね。

ちょうどGE・日立組のバスが。
原発会社で見ていないのは東芝だけですが、彼らは相馬の方から攻めてるんですかね。

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広野発電所の隣の作業用施設。
元々Jヴィレッジと同じくサッカーコートだったのですが、全部潰したようです。
人は出払っていたらしく、ほとんどいません。

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大きな橋をわたり、Jヴィレッジの前へ。
楢葉の手前で立ち入り禁止となりました。
写真を撮って引き上げ。

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そこから広野方面に向いて撮った写真。

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橋からの景色。

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写真を見直すと、送電線が走っているのがわかります。
町内は電線も怪しいのですが、送電線はバッチリ走ってます。
都心に電気を送ってるんですね。

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東電の寮。
この辺りは1件屋ばかりで、アパートタイプは東電関係だけ。
人口も少なく、飲食店も3店位しか見かけないのに、住民はどうやって所得を得ているのでしょうか?

何とか2本目の電車に間に合い、悠々とお帰り。
と思いきや、定刻5分前に、"プシュー"。
ドアが閉まってビックリ、逃すと2時間待ちですからね。
後で聞いたら、1車線ナノで一回閉めないといけなかったようです。
ドアに体当たりしてしまいました。

いわきに帰ってお土産を漁りました。
夕食は狙っていたラーメン屋へ。
しかし営業時間内なのに相変わらず閉まっています。
いつやってんだよorz。

3日目終了。

4日目はホテルにさっさと追い出されたので、図書館で新聞チェック。
日経なんて読んでも仕方ないので地元紙を見た所、東電の話題が大きく出ています。
字がでかいので読めなくは無いですが、色々ありそうなので、画質は下げてあります。

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読んで驚いたのですが、40年前の東電副社長は木川田一隆という、福島出身の方でした。
そして当時あの辺りにいた、天野光晴という議員がかなり絡んでいるようです。
日経読むよりよほど面白いですね。

バスに乗り東京へ。
福島3泊4日の旅、とても充実していて、良い旅行でした。
車で行ける範囲なので、皆様も如何でしょうか?

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