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最初の貸し手の変貌

FRBの緊急融資制度を利用した企業が公開されました。
米国外の企業が多かったとか、UBSがやたらと借りてたとか、本体が金融機関でない企業も借りてたとか、突っ込み所の多い内容です。

金融危機に際して米連邦準備制度理事会(FRB)が導入した3兆3000億ドル(約280兆円)規模の緊急プログラムの利用が極めて多かった金融機関に、英銀バークレイズやスイスの銀行UBSが入っていたことで、FRBに世界の銀行を救済する責任があるのかとの議論が高まりそうだ。
>>UBSやバークレイズに巨額融資、FRBは世界の「最後の貸し手」

WSJ:【社説】FRBの救済ファイル
ロイター通信:ドル資金市場は崩壊寸前、最後の貸し手FRBが膨大な資金供給へ

ロイターの記事にある通り、景気が怪しくなった辺りからFRBの「最後の貸し手」としての存在感が増してきました

そもそも発券銀行である中央銀行は最初にお金をばら撒く存在であり、いわば最初の貸し手です。
それが最後にも登場して民間の世話をしているということは、民間が末期症状である事に他なりません。

日銀は民間銀行に現金を渡し(というか押し付け)、民間銀行の現金資産を増やします。
民間銀行は日銀に対して負債が増えますが、日銀は利益追求型の組織ではないので、まともに商売している限り突然資金を引き上げたり貸し渋ったりはしません。

しばしばオペレーションを行いますが、あくまで経済(正しくは物価)を安定させるために行っているわけで、民間銀行がいきなり倒産するような酷いオペはしないでしょう。

その結果、民間銀行は更に別の銀行や企業に貸し出し、社会のマネーサプライが増えます。
これが所謂信用創造です。

理経済:何故銀行を救うのか?① - 信用創造の仕組み

発券銀行である中央銀行が最初の貸し手として行動する事で、マネーは雪達磨式にふくらみ経済が回るわけです。

また中央銀行は公定歩合(日本では名称が変わりました)という別の政策も行っています。
これは謂わば"最上位企業の上限金利"で、通常は民間企業間でもこの金利を目安にして貸し出しをします。

民間銀行は、望めば中央銀行からこのレートでお金が借りられます。
中央銀行はこれをいじる事で、間接的に市中の上限金利を下げられます。

例えば公定歩合を上げると各銀行にとっては資金繰りが若干悪化しますから、その分のリスクを顧客に貸出金利の上昇と言う形で価格転嫁(リスク転嫁)します。
逆に下げればその分は顧客へのサービスとして貸出金利が下がるわけです。

仮に民間銀行がカルテルを結んでいたとしても、まともなお金の流れは中央銀行が把握しているわけですから、公取にすぐバレます。
また暫くやっていると民間銀行も行動を先回りするようになり阿吽の呼吸が形成されます。

このようにして中央銀行が最後の貸し手を演じる事で、実際に行動することなく市場を操作できます。

しかし、制度的には公定歩合のレートで銀行は借り入れできるわけですから、景気が悪くなり借金大王になり始めると、民間からは借りられず中央銀行に泣き付く民間銀行が出てきます。
中央銀行は本来舞台俳優として最後の貸し手を演じていただけなのに、いつの間にか本当に貸す破目になっているわけです。

中央銀行が、最後の貸し手としてクローズアップされていると言う事は、お金が循環せず経済が不透明である事の何よりの証明です。

FRBの風貌もすっかり変わってしまいました。
随分色々やったつもりなのでしょうが、最後の貸し手なんて言われているうちは、彼らの政策で景気は良くなっていないという事です。
やり方が間違ってると思うんですがね。

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