« ベスト・グローバル・ブランド2010 | トップページ | 二番底はまだ遠い »

歴史は繰り返す④ - そもそもどういう現象なのか。

シリーズ最終回です。
前回のお話の補足で、そもそも何でああいう業種が流行るのかについてお話します。

理経済:歴史は繰り返す① - 日本の現状
理経済:歴史は繰り返す② - アメリカの場合
理経済:歴史は繰り返す③ - 流行りそうな業種

さて、前回お話した業種には共通点があります。
それは強い人達と弱い人達に向けて商売をしている業種であると言う事です。
中位の人達はビジネスの対象としていない業種です。

例えば派遣会社の場合、単純労働者という低所得者を対象とした一種の転職サイトです。
登録者に自由はありませんし、中堅の職種なんてまず紹介してくれないでしょうが、感情論を抜けば転職サイトであることには変わりありません。
小売も同様です。

米国で起ころうとしている事は、デフレとか二番底という表面的な話ではなく、中間層が抜け落ち、上流と下流の二色にはっきりと分かれようとしている事です。
だから中間層を対象とする、中途半端な値段の高級自動車やブランドバックは売れなくなるのです。

昨今、日本では正社員と非正社員の間で問題になっています。
安定的で高給取りの正社員は既得的であり、彼らの皺寄せを非正社員が不安定、低賃金という形で引き取っています。
その比率も年々非正社員側に偏ってきており、正社員は批判の対象となっています。

しかしよく考えてみたらこれは不思議な事です。
だって正社員と言ったって、生涯年収は多くて3億円位です。
どこぞの政治家のように4億もの献金を受けたりできるわけでもありませんし、お母様から10億円も貰えるわけではありません。
欧米の経営者のように年収10億円とかあるわけでもありません。

3億円なんて、カルロス・ゴーン社長なら4ヶ月の給料にしかなりません。
正社員は本来羨望の対象ではなく、まさしく普通のサラリーマンなのです。
それが減少していると言う事は、前述のように中間層が消えていると言う事と同義なのです。

景気が拡大している時は、こういった歪みが目立ちませんでした。
しかし景気が悪くなり、パイが減少し始めるとこれらが目立ち始めます。
しかも経営側に都合の良い制度とわかれば急拡大します。

日本では一足早くそうなりましたが、米国も景気後退がこの歪みを強調するようになったのだと思います。
米国も、加速度的に中間層が減っていくと思います。

さて、これらの流れはかなり昔から予想され、また過去にも何度かありました。
直近で言われ始めたのはIT革命の辺りからです。
情報が高速で伝わるようになってから、情報を食い物にしていた人々が退場していきました。

身近なところでは、例えば中古のゲーム屋とか。
ネットで安く手に入りますし、市場価格が決まるため、どのお店に行っても値段が大して変わりません。

昔は色々な店を歩き回って安いところやレア(?)ソフトが売っているところを探したものですが、最近は店の数も回る楽しみも減りました。
他にも本屋やトレカ屋、大きい所では商社等何かを仲介する人達が痛手を追っています。

これはIT革命の時に起きた事象ですが、過去にもありました。
代表的なのが産業革命とそれに続く第二次産業革命です。
あの時は工業化に伴って労働者の価値がどんどん下がりました
食事も睡眠も必要な人間より、年中無休で文句も言わない機械の方が良いと思うのは無理からぬ事です。

結果、機械を導入できる資本家はますます富み、労働力しか売れない労働者はますます貧しくなりました。
格差の拡大は明らかで、10歳前後の子供まで狩り出して労働をさせていました。

世界史ノート(近代編):5 資本主義体制の確立

皮肉にも工業化で貧しくなった労働者は、工業化で下落した物価によって助けられる結果となりました。
あまりの酷さに資本論なんて本も出版されました。

この時は世界が資本主義社会主義に分かれ、ドンパチやることで事態が収束しました。
中間層がいないという歪みは思っている以上に深刻なわけで、歪みが出るたびに人間は頭を抱えてきました

仮に資本主義と社会主義に分かれていなくても、中間層のいない国は不況に陥り、悩んでいた事でしょう。
中間層のいない社会はあまりにもアンバランスです。

今回は歪みの解消のために、世界を二分して戦争を行うことは無いでしょう。
その代わり、自国で抜け落ちた中間層を補うために新興国で増え続ける中間層が必要になります。
今重要なのは地域や国家ではなく、中間層をいかに見つけ取り込むかなのです。
グローバリゼーションは、何よりもその為に必要とされているのです。

現在、世界は自国の歪みを支えてくれる新興国に頼り切っています。
逆に言えば自国で自国内の歪みを解消できない事を意味します。
人類は今回の難局をどうやって乗り越えるのでしょうね。

|

« ベスト・グローバル・ブランド2010 | トップページ | 二番底はまだ遠い »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528305/49541736

この記事へのトラックバック一覧です: 歴史は繰り返す④ - そもそもどういう現象なのか。:

« ベスト・グローバル・ブランド2010 | トップページ | 二番底はまだ遠い »