セイクレストの決算書 - 実践的会計ゲーム 真実はいつも一つか二つ編
セイクレストの決算書から会計学を勉強するシリーズの最終回です。
有価証券報告書から会計"学"的にわかる事は前回述べたところまでで終わりです。
しかし投資家の視点で見ると、どうしても解せない部分が多くありました。
今回はそこについてもっとググッてみようと思います。
理経済:セイクレストの決算書 - 実践的会計ゲーム 回答編
理経済:セイクレストの決算書 - 実践的会計ゲーム 解答編
さて、決算書を再度見直してみます。
彼らは大量の新株等の発行で、資産の帳尻を合わせているわけですが、発行した新株には買う側の存在が必要不可欠です。
決算書の「5. 経営上の重要な契約等」を見ると、ハンバーストーンと言う会社とカナヤマと言う会社が幅を利かせていることがわかります。
ちなみにこのカナヤマはセイクレストの筆頭株主(47.71%)です。
カナヤマも気になりますが、まずは株式会社ハンバーストーンなる会社を調べてみます。
ネットで検索してもホームページ等はありません。
しかし、あまり良くない噂は多いようです。
注目すべきは彼らが度々提出している大量保有報告書です。
住所を見ると「有限会社UAPマネジメント内」となっており、代表者の名前が「平野和俊」となっています。
税理士の子会社群が株式の異常売買をしていると言うのは、如何にも怪しいですね。
もしかしてこの会社、節税のための所謂ペーパーカンパニーと言うやつではないでしょうか?
企業は個人と比べて税制にかなり幅があります。
例えば携帯電話の料金は通信費として損金扱いになりますし、家(社屋)を建てれば毎年減価償却費で損金を積めます。
その分税金は少なくなります。
利益を要求される上場企業と違い、非上場の企業では利益なんて少ない方がいいのです。
今回の場合も、例えば土地と言う減価しにくいものを購入し、それを新株(売買目的有価証券)と交換します。
株価が下がれば評価損として計上し、下がるところまで下がったら満期保有目的に振り返れば損金が出なくなります。
通常は売買目的から満期保有に振り返ることはできませんが、他の人に時価で売りつけ満期保有として定価で買い付ければ振り替え可能です。
"他の人"とは勿論別のペーパーカンパニーです。
最後は会社を解散し、減価していない資産を売却すればお金はごっそり戻ってきます。
他にも小切手を別のペーパーカンパニーに渡し、あれこれ損益を計上します。
その後、小切手を破り捨てれば現金を失わず損金が積めます。
余った分は裏金にするか備品や社屋、高額保険にすれば利益を繰越せます。
このハンバーストーンは調べれば調べるほど不思議な会社です。
世の中不思議な事が多いですね。
ハンバーストーン
考える株式投資:大量保有報告書 データベース
監査法人や税務署から指摘も来そうなものですが、不思議な事にあまり問題にはなっていないようです。
何かの弱みでもあるんですかね。
お金とか天下りとか。
WEB金融新聞:税理士業界の裏話 ~国税局OB税理士の存在
明誠グループ
真実はよくわかりませんが、経済合理性に欠ける決算書がこうやって作られていたとすれば納得できます。
ペーパーカンパニーなんて本の中の話か大企業だけだと思っていましたが、結構いろいろなところにあるんですね。
一般投資家は置いてけぼりですが。
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コメント
いつも楽しく観ております。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
投稿: 履歴書の添え状 | 2010年8月19日 (木) 14時06分
履歴書の添え状さん、
コメントありがとうございます。
いつもごらん頂ありがとうございます。
私はリピーターの人により便宜を図りたいと、
常々思っています。
今後とも是非よろしくお願いします。
投稿: なる | 2010年8月20日 (金) 00時05分