政権の混乱 - 縮まる格差
参院選の結果が続々と出ています。
与党大敗、自民が再び票を伸ばしています。
結果がどうなるにせよ問題なのは、またねじれ国会に突入しそうであるという事。
無論連立によって与党が過半数を取ることになると思いますが、重要なのは消去法的に自民党に再び票が流れたという事。
2大政党と言えば聞こえは良いですが、つい1年程前に政権交代が起こったばかりでこの体たらくです。
要するに魅力のある政党が少ないという事ではないでしょうか。
この調子だと次回の参院選や衆院選でも似たような事が起こり、常に与党が過半数割れ、ねじれを解消するためだけに与党が奔走し、結局何も決まらずただただ時間だけが過ぎていくような気がしてなりません。
先日竹中平蔵さんにお会いしました。
そこで彼はリチャード・フロリダの言葉を例に取り、このように言っていました。
日本は今、岐路に立たされています。
尖った(spiky)才能、所得の人間が存在する社会か、平均的(flat)な社会かの選択を迫られています。
もし平均的な社会を望めば、確実に所得は下がります。
私もそう思います。
残念ながらこのグローバリゼーションの中で、今の所得水準を平均的に維持するのは不可能です。
よく「格差が拡大している」という人がいます。
これは確かに事実です。
ジニ係数なども確かに上がっていますし、周りを見ても派遣等の所謂非正規雇用が増えています。
しかし、これはあくまで日本国内での話です。
世界的に見れば、国家的な格差はどんどん縮んでいます。
社会実情データ図録:1人当たりGDPの歴史的推移
日本海学のホームページ:世界の所得格差縮小の可能性
世界には奴隷みたいな人がいっぱいいます。
いくら給料が低いといっても、一日1,2$で生活する彼らよりは遥かに裕福です。
もし世界平均にあわせるなら、年収を3分の1くらいにしないといけません。
インターネットの発達で、情報がすぐに海を渡るようになりました。
経理やコールセンターなど、"誰でもできる"分野はどんどん別の国に流れていきます。
当然余った人は首になり、所得平均自体はどんどん世界平均に近付きます。
結果として国家間の格差が縮まっていくわけです。
グローバル化とは、ありとあらゆる面で国境の意味が極めて薄くなることなのです。
理経済:世界的過疎化(Global Underpopulation)
このような強烈な競争社会の中で、内輪のネタだけで混乱するのはかなり危険です。
立ち止まるのはいいのですが、ボーっとしているとドンドン追い詰められ、選択肢が少なくなっていくでしょう。
たとえ痛みを伴ったとしても、挑戦していく必要があると思います。
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コメント
そのわりのは生活コストあがらず、出ていく税金などお金多いよね。外国にはひどい社会保険制度で、病気になれば破産というような国もある。1週間入院で750万とられるような国ってどうなのかな。
投稿: ななし | 2010年7月15日 (木) 22時50分
ななしさん
コメントありがとうございます。
本当のところどっちがいいのかはよくわかりません。
確かに重病一つで破産というのはどうかと思いますが、
どの制度が良いのかはトータルで見ないと判断できません。
デンマークのように高福祉の変わりにやたらと物価が高かったり、
低福祉の代わりに物価が安く税率も安かったり、
はたまた将来のツケで高福祉を実現する国もあります。
俯瞰して見ると、案外どの国も同じなのかもしれません。
今の状態が本当に払った税金に見合っているのか、
政府ではなく国民がしっかり考えていく必要がありそうです。
投稿: なる | 2010年7月17日 (土) 18時42分