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菅首相の第三の道 - 少ない残り時間

テレビを見ていたら、とあるニュースで菅内閣ブレーン小野善康氏が財政について語っていました。
彼の考えは雇用(≒労働?)に視点を置いた、どちらかと言うとマルクス寄りな考えのようです。
別新聞の記事ですが、似たようなインタビューがあったので転載します。

増税分は借金返済に充てるのではなく、雇用創出とその所得支払いにまわすべきだと主張するとともに、税収の使途は、福祉目的税のように限定しないほうがいいとの見解を示した。
>>インタビュー:失業率3%へ消費税上げも=小野・阪大教授

多分失敗するとは思いますが、大量の公共投資も徹底的な市場主義も成功したとは言い難いですから、一度試してみても良いかもしれません。
乗り越えないといけない壁は多そうですが、なんでも挑戦してみるのは肝要です。

私は竹中さん寄りの考え方ですが、小泉改革が諸手を挙げて良かったとは思っていません
優先順位の問題です。

政権運営はブレーンで決まります
彼らが裏で上手く尽力しないと、政権がこけます。
小野さんの活躍に期待します。

理経済:オバマ大統領にして欲しいこと - 取りあえずあいつをクビに…

ただ、改革にかけられる時間はそう多くありません。
基礎的財政収支を2020年までに黒字化!」とか言っていますが、これは言い換えれば2020年までは赤字を垂れ流すという事です。
そんな悠長な事を言っていて大丈夫なのでしょうか?

ご存知の通り、日本の借金は膨大です。
借金時計を見ると天文学的な数字が、物凄い勢いで上昇しています。

財部誠一:借金時計
理経済:カナダの国際比較① - 日本の借金の国際比較

またこういう話をすると、「"ネット"で見ると…」と反論がきますが、少なくとも政府部門は赤字か、殆どギリギリの状態です。

政府部門「債務超過」に 09年末「正味資産」初のマイナス 国と地方を合わせた政府部門の資産から負債を差し引いた「正味資産」 が2009年末に初めてマイナスに転落したもようだ。
>>2ch (本文は日経ネットの電子化で紛失)

また「日本国債は国内で消化されている」という事もあり、金利が異様に低く推移しています。
何かの拍子に上昇すると、財政に強い圧迫をもたらします。

例えば単純に考えて、1000兆円の借金で金利1%なら利子は10兆円で済みますが、3%なら30兆円です。
定額給付金は総額2兆円、一人1万2千円でしたから、大雑把に見て一人年12万円の増税でしょうか。
一家4人なら48万円、無視できるレベルではありません。

こちら↓は08年末の状態です。
政府部門の純資産(正味資産)が下に張り付いています。

国民の資産推移

内閣府:平成20 年度国民経済計算確報(ストック編) PDF
内閣府:平成20年度確報 公表資料

こちら↓は第一生命のレポートです。
少し古いですがよく纏まっており、地方についても言及しています。

国民の資産推移2

第一生命経済研究所:日本国のバランスシート:国富の分析 PDF

最後に日本と諸外国の金利差。
上段左が短期金利、上段右が長期です。
財政が健全なドイツよりも、遥かに有利な金利です。

各国国債の利回り比較

WSJ.com:BP債券から価値流出

金利が低いのは日本国債がほぼ国内のみで消費されているからなのでしょうが、今時海外から他国の国債を売るなんて簡単な事です。

例えば日本で日本円を調達して、東証に上場している国債先物やオプションを売るとか。
価格が下がれば国内の銀行などが売り浴びせをするでしょうから、実質間接的に日本国債を売ったことになります。
保有比率なんて当てにはなりません。

菅政権、というより日本国に残された時間は、思っているほど多くは無さそうです。
私が死ぬまでもつかな?

ところで、菅さんと小野さんは共に東工大のOBだそうです。
以前、用事があって東工大に行ったのですが、食堂のラーメンが微妙だった記憶があります。
理系内閣は果たして何所に行くのでしょうか。

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コメント

第三の道はどうやら、所得再配分を進めることで、消費性向の低い金持ちから、消費性向の高い貧乏人に所得を移転させ、国全体の消費を向上させて景気を拡大する作戦のようですよ。
拡張的財政と大きな政府を主張するケインジアンでもなく、財政規律と小さな政府を主張する新古典派経済学でもないので、第三の道となるようです。

投稿: uncorrelated | 2010年7月 3日 (土) 04時27分

uncorrelatedさん

コメントありがとうございます。

「第三の道」なんてご立派な言葉で語ると、
いかにもすごい事のように聞こえますが、
税の所得再分配機能は随分前から語られていました。

世界各国では毛ねもちのロビー活動や競争力を削ぐとの意見から、
割と早めに脱却方向に傾きました。

一方日本はかなり近年まで高額の所得税や法人税を通じて分配を行っていました。
しかし小泉政権でその定式が崩れました。
管総理は再び振り子を少し戻そうとしているように思います。

経済学者は兎角いろいろな理論を提唱しますが、
結局はこの二つの間を揺れており混合比率を変えているだけなように思えます。

投稿: なる | 2010年7月 8日 (木) 23時35分

所得配分の方法として、労働集約的で効率化が難しい介護サービスなどに雇用を創出することが目新しいところのようです。
労働市場の需給ギャップも解消してしまうこと、大きな政府で財政均衡主義になる点が目新しいんでしょうね。

投稿: uncorrelated | 2010年7月 9日 (金) 22時07分

コメントありがとうございます。

個人的には特別目新しい事は望んでいません。
効率化が難しいため投資が行われない、
所謂市場の失敗が起こっている場所に集中させるのはいいのですが、
それは目新しいのではなく投資先を変えているだけです。

安易に政府が介入すると、政府の撤退が難しくなるという副作用もあります。

一体どうなるんですかね。

投稿: なる | 2010年7月11日 (日) 00時31分

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