あなたの会社は何の会社ですか?③ - 本業を考える
シリーズ最終回です。
今回は本業とは何かについて考えてみます。
理経済:あなたの会社は何の会社ですか?① - トヨタと金融業
理経済:あなたの会社は何の会社ですか?② - 複雑な収益構造
前回、現在企業が直面する収益の変化について述べました。
企業の収益構造は大きく変化しており、周囲から見た企業イメージと実際の収益源が異なっている事がしばしばあります。
しかし利益が出るからといって放置しすぎると、結果として"獅子身中の虫"が出る可能性もあります。
破綻したリーマン・ブラザーズも、元々は商店として綿花の売買をする、商社の一種だったそうです。
その後の展開はご存知の通りです。
ではどうすればいいのでしょうか?
結論から言えば、本業を理解しまずはここを特化するのです。
他の業務はすべてサポートであり、いつでも売却できる位の心構えと構造が必要です。
この考え方自体は随分前から議論されており、横文字ではコアコンピタンスと言います。
経営学で有名なドラッカーも「何によって憶えられたいか」を考えろと説き、自身の"本業"について語っています。
こうきしんの「キャリア上空喫茶」:ドラッカーの「何によって憶えられたいか?」
著名投資家のジム・ロジャーズも「一つの卵と駕籠」を例に取り、コアビジネスの重要性を説いています。
米フォード・モーター創業者のヘンリー・フォード氏は自動車生産に専念し、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏も事業の総合多角化はしなかった。富を築くには、1つの籠の中に卵を入れてその籠を注意深く見守る必要がある。その籠が卵を入れる場所としてふさわしいかを確認することも大切だ。
>>ジム・ロジャーズ氏インタビュー、金融危機後の投資術
古くは孫子が「知彼知己者、百戦不殆」と書き記し、自分をよく理解する事の大切さを説いています。
いつの時代でも考える事は同じなんですね。
しかし経済が右肩上がりで、何をしてもそこそこ儲かると、こういう基本をどうしても忘れてしまいます。
そしてそのまま、なし崩し的に今に至るわけです。
では自身の本業をどのように理解すればよいのでしょうか?
業績の精査や創業部門を考えるなど、色々な方法がありますが一番手っ取り早い方法は"社名"をよく見る事です。
例えば日本の"自動車会社"と言えば、トヨタ、ホンダ、日産が有名です。
しかしこれには大きな誤解があります。
なぜならばホンダは自動車会社ではないからです。
彼らの登記社名を正しく書くとそれぞれ、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車です。
ホンダはあくまで工業の会社なのです。
また、日本の証券コードはある程度業種別に纏まっていますが、トヨタと日産は7203,7201なのに、ホンダは7267です。
ホンダのコードの前後は、スズキやヤマハなど車両部品やバイクの会社が並んでいます。
トヨタや日産は生を享けた時から自動車会社でしたが、ホンダはエンジンを生かしたバイクの会社でした。
これは現代でも尾を引いており、トヨタや日産は自動車外の産業に消極的なのに対し、ホンダは既に飛行機を完成させ、航空機ビジネスに参入する意向を示しています。
ホンダは工業のメーカーなのですから、自動車に拘る言われは無い、という事ですね。
このように、本業は何なのかを考える事で自分達の長所と短所、やるべき事とやらなくていい事が見えてきます。
自社についてよくよく考える事は非常に大事なのです。
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