胴元は儲かる④ - 最大の利権者
胴元シリーズ最終回です。
今まで色々な人達が影で笑っている事を書きました。
ただ彼らもまたある土俵の上で勝負をしており、この土俵を作っている存在がいます。
今回は彼らについて語ります。
理経済:胴元は儲かる① - 宝くじの場合
理経済:胴元は儲かる② - 銀行の場合
理経済:胴元は儲かる③ - アップル社の場合
結論から先に言ってしまうと、この黒幕とは国家の事です。
当ブログでも、お金について触れると度々彼らの影がちらついています。
何故かと言えば黒幕だから。
特に経済について語ると、結局はここに行き着くわけです。
そもそもお金とは何なのでしょう?
一言で言えば「国家の借用書」です。
国家の借金とは国債や地方債だけとは限りません。
ちなみに日本の場合紙幣は日銀、硬貨は財務省であり管轄が違いますが、実質的には同じものです。
現に投資家も銀行も、そして皆さんもそんな事気にしていないでしょう?
どちらかに不備が出ればそれはもう片方にも飛び火します。
両方とも同じお金ですから。
国債とお金は制度的に異なるものですが、実質的に同じものです。
紙幣は確かに日銀が出していますが、国が発行した国債を引き取り、その見返りに日本銀行券(=紙幣)を渡しています。
誰が最初に受け取るのかに違いがあるだけで、結局は繋がっています。
本当は引き受けてはいけないのですが、国の許可した範囲(つまり政府に都合のいい額)を引き受けています。
日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条によって原則として禁止されています。…(中略)…ただし、金融調節の結果として保有している国債のうち、償還期限が到来したものについては、「財政法」(第5条ただし書き)の規定に基づいて、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国による借換えに応じています。
>>日本銀行が国債の引受けを行わないのはなぜですか?
よく「中央銀行の独立性」と言われますが、正確には金融政策や業務の独立性が認められているだけで、完全に独立している訳ではありません。
お金も国債も国家の力、もっと言うと信用という根っ子で繋がっています。
国債が暴落するとその国のお金が紙切れになるのはこの為です。
国債も国の借金ですから、これが払えませんという事になると、国家の信用が無くなります。
同じ借金であるその国のお金にも「踏倒されるのでは?」という疑念が浮かぶ訳です。
踏倒されないまでも、増税等で手持ちが少なくなる可能性があります。
恐怖に敏感な人からドンドン逃げていく訳です。
最近この事が意識されたのはギリシャ問題です。
ギリシャの隠れ債務が露呈し、これが元でユーロが暴落しています。
PIIGSの財政問題
アップロード者 samthavasa. - 最新のニュース動画。
よくよく考えると不思議な話です。
ギリシャの財政が駄目で、その借用書である国債が売られるのは分かります。
実は借金魔人だった友人に追加で貸そうとする人はいませんし、催促する人も多いでしょう。
しかし、何故ユーロまで売られるのでしょうか?
ユーロは欧州中央銀行(ECB)で管理しています。
本当に通貨と国債が独立しているのなら、ギリシャ問題とユーロはあまり関係ないように思えます。
なのに実際はユーロ不安に繋がりました。
これは上記のようにギリシャ国債を担保に通貨ユーロを貸し付けていたからです。
ユーロとは(ユーロ)加盟諸国が連盟で発行している借用書なのです。
ですから誰が犯人であれ、連名の借用書に少しでもケチがつくと疑念が疑念を呼び大変な事になるわけです。
このようにお金と国債は繋がっている訳です。
まあこれは異常事態ですから(意外とそうでもありませんが)除外するとして、平常時は国家の胴元としての力は強大なものです。
其処に住む人々はお金というチップを使い、税金という場代を支払って生活しています。
このチップは胴元が勝手に作った、それ自体には全く価値の無いものです。
しかしそのテーブルに座っている人々は、付加価値を担保にチップを手に入れ、チップの増減に一喜一憂します。
そして胴元はチャッカリ両替料と参加料を頂く訳です。
場に居る人々が胴元側の換"金"能力の無さに気付くまでは、いくらでもチップを作れますし、放っておいても皆さんが稼いでくれる為ウハウハです。
独立行政法人などの放漫な経営は、この場代によって支えられています。
イヤー美味しいですね。
天下りした人達もきっと同じ事を考えている事でしょう。
国家こそ最大の利権者なのです。
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