胴元は儲かる③ - アップル社の場合
シリーズ3回目です。
今回は今を時めく大企業、アップル社にご登場願います。
理経済:胴元は儲かる① - 宝くじの場合
理経済:胴元は儲かる② - 銀行の場合
アップルと言えばiPhoneやiPodで成功を収め、世界一のIT企業へと躍り出ました。
社長のジョブス氏は一躍時の人となり、ブログやテレビ等、至る所で彼らの名を聞きます。
新しく出したiPadも話題の中心であり、当ブログでも「iPad」の検索で来訪される方が多数います。
世界四季報:アップルの時価総額が20年ぶりにマイクロソフトを抜く
ブログネタ: もう見た? 触った? “iPad”をどう思う?
さてそんなアップル社ですが、彼らは別にiPhoneやiPadを製造している訳ではありません。
作っているのはフォックスコンのような下請け会社(EMS)です。
アップル自体は販売部分やOS、デザインを担当しています。
アップルはサービス部分を担当する事で、高い利益率を誇っています。
業績もうなぎのぼり、借金も無く絵に描いたような優良企業です。
更にここ最近ではコンテンツ市場への参加が目覚しく、高い印税率やコンテンツ作成料を謳い文句に、シェアを広げているようです。
彼らの最終的な目標はコンテンツ産業の支配でしょう。
iPadだろうがiPhoneだろうが媒体自体はどうでもよく、だからこそ製造自体は外注するのです。
コンテンツ市場は140兆円とも言われ、非常に巨大です。
印税率70%を著作者に出しても、余裕で利益が出ます。
そして重要なのは、自分達が頑張らずとも優れたユーザーが良い作品を作ってくれればそれだけで場代分30%が転がり込んでくる事です。
美味しいですね。
ITPlus:全世界のコンテンツ市場、2013年に167兆円規模に 日本は人口増えず低調
ただ余りにも下請けイジメをしすぎた所為か、ぽろぽろと綻びも出ています。
ASCII.jp:iPad人気の影響!? Foxconnで自殺者続出の理由
さてそんなコンテンツ市場の支配を企むアップル社ですが、実はまだまだ後ろに黒幕がいます。
こちら↓の企業の利益推移を御覧ください。
2007年に急激に売上と営業利益が上がっています。
これは米AT&Tの決算です。
日本で言う所のNTTで、電話回線や光ケーブルなどを握っています。
アップルともくっ付いており、iPhoneの契約も結んでいます。
基本的に横ばいの利益なのに、07年に明らかな伸びを示しています。
iPhoneが米国で発売したのは07年6月に米国で発売されました。
それから急激に売上が伸び、アップルは急進しました。
そしてその裏では彼らと契約した通信メジャーが大きな利益を得ている訳です。
携帯データ・サービスの売上高は、スマートフォンおよび3G携帯端末の普及が貢献し、前年同期比57.5%の増加を達成しました。
>>AT&Tが2007年第4四半期の業績を発表 PDF
場を立てた人間はやはり強いんですね。
場の上に乗っかっている人が頑張ってくれれば、その利益は確実に下に落ちてきます。
私がオラクルや食品産業等、縁の下の力持ち型企業を推すのはその為です。
イヤー胴元って儲かりますな。
ところで、iPhoneと言えばソフトバンクです。
上記の理屈から言えば日本のNTTは儲かっているはずなのですが、決算を見るとそれほどではありません。
少なくともAT&T程強烈ではありません。
なぜかと思って調べてみたのですが、どうやらソフトバンク自体、言うほど儲かっていないようです。
随分アップルにロイヤリティー払ってるんでしょうね。
アップルの伸び率とは随分違います。
ソフトバンク:説明会資料 PDF
ソフトバンク:財務ハイライト
06年に大きく伸びているのはボーダフォンを買収したからです。
スマートフォンの伸び率は高いのでまだまだいけそうですが、本家ほどは儲からないようです。
当然その下のNTTもお零れに与れないんですね。
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