類似画像検索の使い道② - テクニカル分析とモンテカルロ法
シリーズ後編です。
前回、類似画像検索にスクリーニングに使えると述べました。
しかし仮に技術が完成し、スクリーニングできるようになったとしても、収益源としては弱いです。
月額2000円程度のプレミア会員料金と、1%もない売買手数料が少しばかり増えるだけです。
市場は小さく、儲けにはなりません。
というわけで別の使い方を提案します。
結論から言えば、「ブラフを見分ける」手法を類似画像検索で実現するのです。
現在、類似画像検索の使い方といえば「あの人は他にどんな色の服を着ているのか」とか「写真で見たあの車はなんと言う車種なのだろ」というようにしか使われていません。
IDEA*IDEA:Google Labsから遂にリリースされた『類似画像検索』がやっぱり使える!
これ等は似たような画像が手元或いはネット上にある時に、それを利用して検索をかけます。
しかし、おそらく1年後位には自分たちが作った画像をアップし、それを起点に検索をするようになると思います。
ちょうど今の検索システムと同じです。
例えばなだらかな山に登りたと思ったら、平たい山をペイントみたいなので書き、それっぽい山を探します。
温泉なら「露天で夕日が見えて」と簡単な図を描くと自動で検索してくれるようなシステムです。
googleが参入しているのは、これを利用し、「この画像に似た画像が検索されたら、あなたのサイトを上位に出します。」という課金システムを作りたいからでしょう。
現在言葉でやっていることを画像でやろうと考えているのだと思います。
話を戻します。
前回のスクリーニング機能を逆手に取り、現在あるチャートから自分達の持つデータベースの中のどの形に似ているかを検索します。
この時、売りサインとするテクニカルが多ければ売り、買いが多ければ買いを推奨する訳です。
これに留まらず、データベースのサンプル数を増やし、モンテカルロ法を使い「過去の事例から考えて買い確率○%、売り確率×%、上昇率の分布はこのくらい」というように台風予報のように予測できるように出来ます。
これを利用し、ファンドや証券会社がトレードを行い、収益を上げるのです。
Osamu's Weblog:Monte Carlo Localization
証券用語辞典:モンテカルロ・シミュレーション
過去のデータから得られたテクニカル指標を、最小二乗法で与えられた直線の傾き、陰陽の割合、極値の回数などで数値化しn次元空間での位置を決めデータベースに入れておきます。
そして検索したいある瞬間のチャートを、同様の手法で数値化し、このn次元空間中の何所に属するかを計算します。
そしてそこから近い点との距離を計算します。
例えば近い点を近い順に50個取り、距離の逆数を取ります。
これをすべて足し、正規化。
各々の特徴を持つグラフの面積を勘定し、テクニカル指標の属性ごとに分類します。
各々の属性の総和÷総面積(=1)が確率になります。
イメージとしてはこんな感じ↓
下手なのは堪忍してください。
変動率も入れておけば、どの程度変動するかもわかります。
多次元であればあるほど、データ数が多ければ多いほどコンピュータに負荷がかかりますが、検索速度も速いですし、0.03秒で判断から注文までこなすコンピュータがあるのですから、規模の大きい会社なら問題ないでしょう。
これを利用すれば、大した経験がない人でもある程度テクニカルで戦えるようになるでしょう。
天気図を読めない人は多いですが、天気予報の台風予報図が分からない人は少ないでしょう?
職人芸的なテクニカル分析も、素人が比較的容易に理解できるようになるのです。
そして各々のファンドの個性はデータベース作りに現れます。
どのチャートを使うか、どう分類するかは職人の手にゆだねられます。
ここが心臓になるわけです。
このデータベースと技術を利用すれば、新人社員の後ろに四六時中トップトレーダーが張り付いているような効能が得られ、全体の底上げに繋がるでしょう。
これが私の考えた類似画像検索の使い道です。
現在はまだ、グラフのようなメリとハリしかないような画像の検索は難しいそうですが、近いうちに可能となるでしょう。
夢は膨らみます。
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