資本主義と社会主義① - お昼ご飯と富裕層
2年半前、サブプライムローン債権の価格下落を切欠に、大手投資銀行(当時)のベアスターンズ傘下のヘッジファンドが実質破綻しました。
これを皮切りに親会社のベアスターンズは破綻。
ロイター通信:米ベアー・スターンズ、傘下ヘッジファンドに15億ドル注入提案
其処から転がり落ちるように世界経済と金融資本主義が揺らぎました。
懐かしいですね。
たった2年しかたっていないというのにまるで10年も前の出来事のようです。
解答のヒントは往々にして過去に有るというのに、たった数年で事件が風化し、教訓が残されないのはかなり問題が有ります。
最近では"行き過ぎた資本主義"を是正しようと、やたらと規制を強めたり、国家の介入による企業の国有化が進んでいます。
資本主義から社会主義へと傾いているのが現状です。
MSN:【主張】GM国有化 保護主義を排した再建を
Bloomberg:政府:日航に最大7000億円の政府保証で調整-2次補正で対応
しかしその一方で、東ドイツやソ連を見れば分かるように、社会主義とは市民一般には豊かさが共有されず、自壊したという苦い経験が有ります。
今シリーズでは、資本主義と社会主義(もっと言うと共産主義)について、なぜ資本主義が勝てたのか、何故社会主義は崩壊したのかについて述べます。
先に述べますが、資本主義は再び強くなり、また崩壊をするでしょう。
これはおそらく1000年経っても改善することは無いでしょう。
さて、そもそも資本主義と社会主義の違いとは何なのでしょうか?
大雑把に言えば、「資本主義は金持ちになるチャンスが多いが格差が激しい、社会主義は格差は少ないが金持ちになるチャンスが少ない」です。
社会主義の定義としてはこのように書かれています。
社会主義(socialism)は、生産手段の社会的所有・管理などによって、平等な社会を実現しようとする思想・運動の総称である。
>>Wikipedia:社会主義
具体例としては、米国のGMは実質国有化され、工場や社屋(生産手段)は国のものとなりました。
一方国有化によりリストラは少なくてすみ、今までの社員は同じように給料が貰え、"平等"に稼げる場になりました。
また、JALも実質的に国有であり、この工場や社屋を利用して雇用を作り、正社員を雇っています。
これによって見かけ上の"平等"を作っています。
これを国中の全企業に適用した状態、思想が社会主義です。
よく、「社会主義は平等で競争の無い社会」という人がいますが、正確な表現ではありません。
社内での階級差や官民での差が有ってもいいわけですし、そのポストに付くために競争も有ります。
資本主義は説明をしなくても何となく分かるでしょう。
これ等の細かい説明は私が語るよりこちらのサイトで詳しく説明されていますので、御覧ください。
問題はなぜ崩壊したのかということです。
多くのブログ等で語られている敗因は皆平等⇒皆貧乏ということです。
これは一面の真理を捉えていると思います。
人間とは欲深く、豊かさを求めるものです。
例えば、皆さんは今日も朝昼晩3食食べたと思いますが、世の中には1日2食、酷い人では何も口に出来ないという人がたくさんいます。
もし、世界中を社会主義的に平等にしようと思ったら、多分1日1食の生活になります。
富裕層とそれ以外の割合は、凡そ2:8と言われ、この2割が全体の富の8割を持っているとされています(パレートの法則)。
おそらく日本人は、世界的に見れば富裕層に入ると思われます。
パレートの法則が正しいとすれば、富裕層である日本人の生活は、今の7割5分くらい減らさねばなりません(0.8M/0.2n=4M/n ,M:資産の総量、n:人数,単純平均=M/n)。
社会実情データ図録:世界各国の貧富の格差(所得水準との相関)
1日一食なんて、私には正直耐えられません。
社会主義で腹いっぱい食べられないのなら、資本主義で勝利を目指したとしても、不思議ではないです。
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