« 曖昧な態度 - 日航の公的管理 | トップページ | Yahoo!ニュースに紹介された »

縦と横④ - 川上から川下まで

シリーズ最後の今回は、私が最も打開策になると考える思索です。
即ち新聞業界の垂直統合です。
新聞業界がコモディティ化し、価格競争に巻き込まれるのであれば、その流れに逆らわずより低下価格でありながら、無理の無い情報産業となればいいのです。

理経済:縦と横① - 新聞社の収益源
理経済:縦と横② - コモディティ化
理経済:縦と横③ - 手を取り合って

さて、まずは垂直統合と言うことですが、所謂サプライチェーンの構築であり、「川上から川下まで」と言われる構造です。
川下とはより一般消費者に近いところであり、川上とは原料に近い部分です。
また、川上と川下の間を川中と呼び、中間財とも言われます。

言葉で書いてもよく分からないので、自動車を例にとって図示します。

川上から川下まで

自動車が消費者の手に届くまでには、幾つかの段階を必要とします。
最初にヴァーレ等の鉄鉱石会社が鉄の原料である鉄鉱石を採掘します。
これを新日鉄などの製鉄会社が買い取り、原料炭などと混ぜ、鉄を作ります。
そしてこの鉄をリケンなどの自動車部品会社が買い、エンジンや歯車、自動車の外郭等を精製します。
そしてトヨタなどの自動車会社はこれを買い取り組み立て、一つの製品として売り出します。

このように、すべての商品は消費者に届くまでに様々な工程を経ます。
最近テレビでやっている「ザ・逆流リサーチャーズ」を見ると、かなりマイナーな商品の起源もわかって面白いです。

垂直統合とは、これ等を自社ですべて行おうとすることです
すべてで無くとも、例えば製鉄会社が鉄鉱石も掘る等一部分を統合するパターンも有ります。
こうすることでコストを抑え、安くともいい製品を作れます。

一般に、物の値段は会社を跨げば跨ぐほど値段が高くなります
なぜならば、関わった企業が自分達の利益分を商品に上乗せするからです。
日本の粗利益率は約20%ですから、単純に考えると段階を経るごとに25%分上昇します。

財務総合政策研究所:法人企業統計調査 平成21年4~6月 PDF

例えば、鉄鉱石会社が100万円で鉄鉱石を売ったとすると、製鉄業者が125万円(原価100万+取り分25万)で部品会社に売り、これを156.25万円(原価125万+取り分31.25万)で自動車会社が買います。
そして自動車会社が195万円(原価156.25万+取り分38.75万)で消費者に売り渡します。

しかしもし、ある会社が垂直統合をし、鉄鉱石から自動車までこの会社の中だけで作れたら、自動車の値段は125万円で済みます。
勿論人も多いでしょうから、粗利率を50%にして普通より取り分を増やしたとしても、値段は150万円ですから、他の会社より2割以上安く作れます

消費者の出費が少ない分、それだけ雇用は減るわけですが、多くの場合は余ったお金でソーラーパネルを買ったりするので、新たな市場が開けたりします
当然ベンチャー企業の活動が活発化したりします。

一般に垂直統合は比較的景気の良い時に起こるようです
すべてを自社内に抱え込む為、「不況だから買わない」と言う選択肢が無くなります。
自社製品以外にも原料などの固定資産を抱える為、不況には弱いです。

日本ではユニクロを展開する、ファーストリテイリングが有名です。
彼らは小売業なので、SPA(製造小売業)とも言われます。
また、以前小売のイオンが漁師から魚を直接買い取る事を模索していましたが、これも一種の垂直統合と言えます。

産経ニュース:直接取引の天然魚が店頭に イオン、島根の漁協から

海外では宝石のティファニーが有名でしたが、最近では持っていたダイヤモンド鉱山を売却してしまったようです。
他にも製鉄最大手のアルセロール・ミタルが、鉄鉱石世界3位のリオ・ティントを買収しようとした事もあります。
ちなみに額は1600億ドル(当時約17兆円)だそうな。

宝石月夜ばなし:ティファニー、ダイヤ鉱山会社株売却
ロイター通信:アルセロールミタル、リオ買収合戦への参入を検討

さて、では新聞業者にどのように応用するかというと、例えばコンサルタント業やプランナー業に進出する等が有ります。

消費者は、新聞やネットから得た情報を"何かしら"に利用します。
頭の中に置いておくだけではありません。
という事は、情報は川中の商品なのです。
ですから、その"何かしら"を手中に収めることで、低コスト化と新たな収益源の確保出来るのです。

今まではこの中間財だけを売り、そこから先は消費者に「後は勝手にしてね」と言っていました。
また、広告という消費者にとっては「おまけ」をつけることで、別の収益源を確保していました。
今後はおまけはそこそこに、自分達が見つけた中間財を組み上げ、製品として消費者に売るべきだと思います。

例えば、日経ビジネスの人が自動車や不動産の購入時に、相談にのってくれたとしたらどうでしょう?

中古がいいのか新品がいいのかリースがいいのか、はたまた最近出始めた新たなやり方がいいのか教えてくれたりしたら?
お金の工面は銀行から借りればいいのか、私募債を出すべきか現金で買うのか新たな手法が有るのかを教えてくれるとしたら?
十分収入の機会が有ると思います。

また、最大のコンサル業である金融業に進出しても良いかもしれません。
日経新聞社が自社のリサーチや知識に基づく投信の設定や、証券会社と提携し情報を買ってもらう、裏づけを与えるという方法も有ります。
特に投信は、現在では投資信託委託会社も作れるとの事ですから十分可能でしょう。

投資信託の募集・販売は、販売会社(証券会社、登録金融機関など)を経由して行うだけでなく、投資信託委託会社が直接募集することもできる。
>>証券用語辞典:投資信託委託会社とは

無論、今までとは違うリスクを背負う事になります。
しかし、このままでは座して死を待つだけです。
ある程度うって出ることが必要だと思います。

|

« 曖昧な態度 - 日航の公的管理 | トップページ | Yahoo!ニュースに紹介された »

企業」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/528305/46644429

この記事へのトラックバック一覧です: 縦と横④ - 川上から川下まで:

« 曖昧な態度 - 日航の公的管理 | トップページ | Yahoo!ニュースに紹介された »