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資産バブルの行き着く先④ - インフレを輸出する

最終回の今回は、金融緩和策のもたらす害についてです。
前回までに説明したように、従来型の金融緩和策は、不況に対してほとんど意味を成しません。

お金は経済の血液ですから、大怪我をしたなら輸血せねばなりません。
しかし、輸血だけして止血や手術をせねば何の解決にもなりません。
輸血した分だけ出血し、いずれ死んでしまうでしょう。

理経済:資産バブルの行き着く先① - FDICまでTARP批判
理経済:資産バブルの行き着く先② - お金をばら撒く理由
理経済:資産バブルの行き着く先③ - 借金した結果

古今東西、多額の財政支出で国の経済が立て直せたなんて話、聞いたことがありません
皆結局最後に緊縮財政と、民の自助努力によって復活しています。
政府は止血と当座の輸血、そして自己回復出来るようそっとサポートしてくれればいいのです。
やれエコポイントだ、やれ中小企業支援だなんていっているうちは景気がよくなることなんてありません。

今話題のグリーンニュディールだって、本家のニューディール政策は失敗だったと述べる学者も数多くいます。
株価も大して反応しませんでした。

ダウ平均(1928~1937年)

Yahoo! Finance:Dow Jones Industrial Average (^DJI)

赤丸の1933年4月頃から政策が本格化しました。
一時的に大きく戻したものの、その後は横ばいでした。
しかもこのような保護主義的政策が、第2次大戦の切欠となったとする意見もある位です。
成功とは言いがたいです。

永井俊哉ドットコム:ニューディールは成功したのか

結局最後には、財政を切り詰めて社会の自己修復機能に頼るしかないのです。

Wikipedia:上杉治憲

さて、こんな失敗政策に頼っているアメリカですが、これはバブル崩壊後の日本にそっくりです。
マーケットではドルキャリートレードの話で持ちきりですが、当時の日本を考えれば、予想するのは難しくありません。

ですから、この事象は随分前から予測されていました。
米国が人為的にドル安政策を推し進めていると言う見方も有るようですが、別に誘導しなくてもドルキャリーは発生したでしょう。
最初に考えた人は独創的かもしれませんが、模倣なら難易度は大きく下がります。

為替王:ドル・キャリートレード
Wikipedia:リバースエンジニアリング

これにより、数年前の円キャリートレードが横行した時のようなことが起こるでしょう。
当時、円は世界に確実に流出していました。
それを資金源に資源や新興株、そして土地へと振分けられました。
中国の人件費が「世界にデフレをばら撒いた」と言われましたが、日本はその金融政策で「世界にインフレをばら撒いた」と言えます。

こちらの図は円キャリートレード全盛期に、一体どれだけの円が世界に流出したかを示しています。

円建て対外債務残高

内閣府:日本経済2006-2007 コラム5-1 円キャリートレード

勿論、実際には銀行だけでなくFXや企業間の借款も有るでしょうし、銀行がレバレッジをかけたりするでしょうから、更に数倍の額にのぼるでしょう。
本当のところはどれだけなのか分かりませんが、少なくとも100兆円位は国外に流出したと思われます。

おそらく、円キャリー同様ドルキャリーは数年続き、ドル安による米国輸出企業の復活と、新興国や資源への資金流入が起きるでしょう。
そして肝心の米国経済は日本と同様、だらだらとした回復を見せつつも、国民の景況感はサッパリ上がらないような状況が起こると思います。

菅副総理は「デフレ宣言」をしていましたが、デフレで済めば御の字と見るべきでしょう。
多分、日本はドルキャリーのとばっちりを食らって、軽いスタグフレーションみたいな状況になるでしょう。

借金に頼った政策は、何一つ良い事を残さないのです。

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