縦と横③ - 手を取り合って
今シリーズも3回目です。
どんな企業、どんな業種でもコモディティ化や業種衰退(例えば馬車用の鞭とか)にさらされ、価格競争にさらされるものです。
理経済:縦と横① - 新聞社の収益源
理経済:縦と横② - コモディティ化
後者からの脱却はかなり難しいですが、前者は多くの先人達が知恵を凝らして切り抜けています。
切り抜けられなかった人々は、敗者として市場から追い出されます。
今回は先人の知恵から、コモディティ化し価格競争にさらされている新聞業界へ、復活の為の提言をしたいと思います。
さて、先人達は大きく分けて3つの方法でこれを切り抜けています。
即ち
- 差別化
- 水平統合
- 垂直統合
です。
特に2番と3番について書きます。
1番目の差別化とは、文字通り「他とは違う物」を作る方法です。
例えばオーダーメイドやiPhone等です。
携帯電話は数あれど、iPhone発売時に同じような携帯電話はありませんでした。
こういった"独特な商品やサービス"を差別化された商品とかサービスと言います。
新聞では電気新聞や原子力産業新聞などが有ります。
聖教新聞やしんぶん赤旗も差別化していると言えなくも無いですね。
この手の新聞は地味ながらその道のプロなどに読まれ続けるため、安定的に売れます。
一方、環境適応能力が低い為、その業界そのものが衰退すると、道連れになります。
2番目の水平統合とは、業界の横で合併統合を行うことです。
キリンがサントリーを買収したり、パナソニックが三洋電機を買収するのは水平統合の一貫と言えます。
同業他社を吸収し、その業界でより強い地位に立つことです。
日本ではヤマダ電機が有名です。
さて新聞業界はと言うと、日本ではあまり活発ではありませんが、海外ではここ最近頻繁に起きています。
例えばメディア大手のトムソンが、これまたメディア大手のロイター通信を約2兆円で買収し、トムソンロイターへと進化しました。
CNET Japan:トムソン、ロイターとのビジネス統合に合意
また、最近ではメディア大手ブルームバーグがビジネスウィークを買収しています。
広義で言えばニューズコーポレーションがダウ・ジョーンズを買収することも水平統合の一貫と言えます。
Garbagenews.com:ニューズコーポレーション、ダウ・ジョーンズに買収提案。ダウ社の株価は2倍に急騰
水平統合すると、競合相手が少なくなることになりますから、収益源が小さくなっても分け前の減少を防げます。
またシェアが大きくなる事でブランド価値(認知度)や交渉力の向上が期待できます。
日本だと新聞と言えば日経、毎日、朝日、読売、産経でしょう。
逆にこれらやこの系列以外でどれだけの新聞名が言えるでしょうか?
新聞は免許制では無い為、簡単に出せます。
しかし、その割には案外知らないのではないでしょうか?
これがブランド力(認知度)です。
普通の人は業界すべての知っているわけではありません。
ですから上位の幾つかのみを知っていると言うパターンがほとんどです。
これは他の業種でも同じことが言えます(例えば独立グループで自動車メーカーを20社挙げてください)。
また交渉力も増します。
新聞配達業者や製紙業界に強い発言力を持つようになります。
日本の新聞発行部数は世界でも指折りで、世界ベスト3は読売、朝日、毎日と、日本勢に占められています。
これは「押し紙」と言う手法を使っているからとされ、実際に配達されるのは8割程度だそうです。
Wikipedia:新聞販売店:ノルマ達成と押し紙
J-CAST:新聞の20%以上は配達されない 「押し紙」という新聞社の「暗部」
これが出来るのは新聞各社の圧倒的な交渉力が有るからです。
平たく言えば、金持ちなら貧乏人の足を見る事が出来ると言う事です。
しかし不景気だと皆足が無くなって幽霊になってしまうため、より大きくなって他の金持ちの足を見られるようにならないと、生きていけないわけです。
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