無知ゆえに- 亀井大臣のモラトリアム騒動と金融知識
亀井大臣が今度は不良債権の"隠蔽"工作を考えているようです。
また揉めそうなことを言う人ですね。
亀井静香郵政・金融担当相は5日、金融庁内で記者団に対し、返済猶予制度を申し出た債権について不良債権に分類しない考えを強調した。
>>返済猶予でも不良債権に分類せず=亀井金融担当相
やりすぎも困りますが、往々にして政府に任せすぎると碌な事になりません。
市場にまかせっきりでも駄目ですが、政府にまかせっきりもいい事なんてありません。
基本的にこういうお金のサイクルにはあまり口出ししないで欲しいというのが本音です。
勿論、どんなに銀行がやばくても助ける必要なんてありません(理由は別の回で)。
不良債権という事は、大雑把に言って簿価割れするか貸し倒れするかのどちらかと言うことです。
これを"不良債権化しない"という事は、簿価割れの債権を額面でバランスシートに載せるということですよね、きっと。
銀行の資産が分かり難くなるだけじゃないんでしょうか?
それに、たとえ決算で額面どおりの掲載したとしても、銀行内ではやばいって分かっているわけですから、隠蔽されそう。
しかも外資が自身の負債隠しの為に群がってきそうです。
中小企業の債権が高値で取引されるようになったら要注意です。
尤も、一般人には感知しようがありませんが。
銀行内のインサイダー情報として使われ、マネーゲームの舞台になりそうです。
先日のWBSで中小企業にモラトリアムについてアンケートをとったところ、大よそ3分の2が賛成とのことでした。
母数が少ないので信憑性には欠けますが、概ね彼らは好意的に取っていると考えて間違いないでしょう。
おそらくこの案も支持されると思います。
しかし、日本は金融教育の遅れた国です。
消費者が自分達の利益を優先するあまり、結局落とし穴に落ちたのは一度や二度ではありません。
支持されているからと言って、それが本当に長期的に良いことなのか疑って見るべきです。
理経済:米CIT問題と日本のノンバンク問題② - 総量規制とサラ金難民
話はそれますが、先日年配の知り合いに「もっと(円で)貯金しろ!加ドルなんて貯金にならんぞ!」と怒られました。
理由は「円なら自国通貨だからリスクが無い」からだそうです。
その人は金融や財政にも見地が有り、私も尊敬していたのですが、この言葉には正直驚きました。
残念ながら、日本の中年層は今のスピードについてこられないようです。
このグローバル化の世の中で、為替リスクが無いなんてことはありえません。
というか、「リスクが無い」という言葉自体単なる幻想です。
どんなものにもリスクは存在します。
なぜならば人間は未来を事前に知る事は出来ないからです。
リスクとは未来の不確実さそのものなのです。
日本の場合、一所懸命国民が貯金するものだから、日本国債をどんなに発行しても買い手が存在し、低金利を続けられました。
また郵便貯金を通じ、財政投融資が続けられました。
日本国民が「リスクが無い」と信じ込み、学ぶことを止めてしまったが故に政府の無駄遣いを助長し、現在多額の借金と言う落とし穴に嵌っているわけです。
話がそれましたが、結局最後には個々人が知識を持ち、考えてゆくしかないのだと思います。
市場にも政府にも任せられないなら、自立するしかありません。
このモラトリアム制度も、不良債権不参入も支持されるでしょうが、一時のものです。
無知ゆえに道を外しそうです。
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