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咽元過ぎれば熱さを忘れる③ - 死亡債の価格変動要因

さて、今回は死亡債なるものの本質について考えます。
本当は前回書くつもりだったのですが、長くなってしまって。

理経済:咽元過ぎれば熱さを忘れる - 人間は学習しない動物
理経済:咽元過ぎれば熱さを忘れる② - AIGの悲劇

前回、AIGの過去の事例から、CDSと言う保険商品の顛末について書きました。
CDSはまだ企業倒産が本格的ではなかった時に、既に大幅な下落、信用不安が起こっていました。

私は死亡債でも同様のことが起こると考えています。
即ち死亡率の増減に関わらず、保険会社の財政状態で、死亡債の価格は急変すると言うことです。

人は死んだら何も残りません。
精々骨と皮だけです。
死体そのものに価値なんてありません。

私も祖父や曾祖母の葬儀に立ち会いましたが、死体というものはそれだけで気持が悪いものです。
生前は仲良く遊んだりもしたのですが、通夜で死体の唇を拭いた時は、なんとも言い難い気分になりました。

葬儀が終わり火葬を済ませると、お骨を骨壷に詰めました。
私を含む遺族は故人との思い出があるため、お骨も丁寧に扱いました。
すべての骨を詰めるのも手間なので、2人で1本詰めたら後は火葬場の人に頼んだわけですが、結構ぞんざいにバリバリ入れていました。
箸で砕いてたし…

人の死体そのものに価値なんてありません
少なくとも取引所や証券会社のような仲介業が、売買の仲介をするような事は無いでしょう。
当たり前ですが、故人の身内で無い限り、金銭的な値段は付けられないのです。

投資家が目をつけているのは、あくまで保険金です。
という事は、詰る所保険会社が保険金を払えないとなれば、死亡債の価格はCDS同様乱高下する事になります
AIGの時と同じです。

死亡率が一定でも保険会社の収益が一定とは限りません。
死亡は保険金支払いの引き金でしかないのです

昔から保険業は何らかの形で投資を行っています。
当時は債券が多かったそうですが、最近では結構株式やその他デリバティブにも投資しているようですから、ベア・スターンズ等のようにある日突然「傘下のヘッジファンドがヤバイ」とかで格下げや信用不安に繋がったりする可能性は、大いに有ります。

保険会社の格付は結構甘いようで、全体的に高いです。
ある日AAがいきなりBBになったら、確実に問題になります。

また、状況が不透明になる可能性が高いです。

サブプライム問題では、その一因として対象数の多さが有ります。
一般の会社と違い個々の情報が不足している上に、サブプライム層の世帯数は5000万世帯に上ります。
これを管理するのは大変なことです。

しかし、死亡債の対象となる人の数は、アメリカだけで3億人、EUだけで5億人です。
しかも1人の人が複数の保険に入るなんてザラですから、対象となる保険件数は5000万どころでは済みません。
これを一元管理するなんて不可能です。
格付け機関も悩んでしまい、サブプライムローンの時と同様、甘い格付を付与するでしょう。

また、死亡債と言う名前の性で生命保険の話題しか出ませんが、保険の種類は山ほど有ります。
前述の通り、死亡は引き金でしかないわけですから、別の引き金に挿げ替えてもいいわけです。

ですから、「ガン保険債」とか「成人病債」とか死亡債からの派生商品が大量に出回るでしょう。
こういった商品は、発生率は一定でも、新薬の開発等で変化が有りますから、死亡債と比べて変動し易いでしょう。

こういったものが複雑に絡めば絡むほど、どの保険会社がどれだけ絡んでいるのか不透明になります
一箇所の保険会社の破綻や財政難が、全体に大きく波及するのは免れないでしょう。

結局、世界はたったの一年で、あの大騒動を忘れてしまいました。
本来教訓から学べるはずの事も、すっかり忘れてしまい、再び同じ道を進んでいるようです。

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