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世界シェアの推移 - 現実の壁

この前、日経新聞の出版する、業界地図を買いました。
正直かなりショックな内容です。

日経業界地図 2010年版
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多くの業界比較本は国内シェアしか見ていないのですが、これは3割位は海外シェアや世界の大企業について触れています。
そもそも何故、このグローバル化社会の中で世界レベルの比較本が無いのか疑問なのですが、取り合えずこれで何とかなります。

ショックだったのは、題名にあるとおり世界シェアが凄い勢いで落ちていると言うことです。
以前も述べたとおり、日欧米以外の国のコストレベルや技術水準が上がっているようです。

つまり、今までは日本が「高いけど良いもの」を作ることで世界的な地位を維持していましたが、他国が「安いけど良いもの」を作れるようになっているわけです。
今までは「安かろう悪かろう」だったのに。

理経済:技術の世界水準は確実に上がっている

例えばこちらはロイターが公表した自動車の世界販売台数です。

自動車の世界販売台数

ロイター:特集 自動車産業の未来

欧米系自動車メーカーが大幅に販売台数を落とす中、アジア系メーカーが健闘しております。
特に韓国の現代(ヒュンダイ、現地読みはヒュンデ)自動車は5.0%と大幅に伸びています

買収合併などで、去年の業界地図のデータと今年のものは随分ずれていますが、現代が日系メーカーが抜かれたのは04年頃のようです。
当時、日産の2/3程しかなかった販売台数は1割程上回っています。

日本のお家芸だった太陽電池についても、生産量(エネルギーベース)が伸び悩み、順位を落としています。
日本首位のシャープは、ドイツのQセルズ、米国のファーストソーラー、中国のサンテックパワーについで4位になってしまいました。

理経済:サンテックがソーラーパネル生産首位に
我が家に太陽光発電を:2008年太陽電池生産ランキング

ネットなどでは中韓そのものや製品を蔑むような発言をよく聞きますが、現実はドンドン先に進んでいるようです。
自分達が思っているほど、今の日本は磐石ではありません。
この壁を乗り越えてこそ、次が開けるでしょう。

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コメント

技術の発展が早く、どんな国でも自動車、家電製品、携帯電話などが作れるようになり、これらの最終製品分野では日米欧は中国韓国には勝てません。太陽電池もそうです。ただしその技術革新に貢献しているのは、中国、韓国ではなく、未だに日米欧です。
その利益は最終的に日米欧に流れる仕組みになっています。特に韓国最大の企業のサムスンは50%が外資、現代、LGも同様です。韓国の主要銀行はすべて100%外資です。中国も同様で、法律を変更して、なんとかして外資の利益、技術を自国のものにする事に必死になっています。
日米欧と中韓の産業の方向性は異なります。

投稿: 経済はど素人 | 2012年5月26日 (土) 22時38分

経済はど素人さん
コメントありがとうございます。

仰る通り、人件費の高い先進国では、
新興国の製造業に勝つことはまず無理です。
今後は、キーエンスの特許戦略や米国のIT産業のように、
頭で稼ぐ必要があります。
出資も一種の頭脳戦です。

そのはずなのですが、
どうも日本企業はその辺りの意識が弱いように思えます。

投稿: なる | 2012年5月27日 (日) 00時48分

日本は金融ではそれほど利益を上げていないと聞いていますので、もう少し、金融関係の人材には頑張っていただかなければと思っています。
サムスン工場の設備、素材、特許のほとんど、日本製、スイス製、ドイツ製で、サムスンはそれらを利用して、製品を製造している事はご存知だとおもうのですが?日本は十分に韓国から、利益を上げているはずです。事実、韓国の大きな対日赤字は中央日報、朝鮮日報、東亜日報に頻繁に掲載されています。
また日本の多くの企業がサムスンを特許侵害で訴えている事もご存知だと思います。
現代自動車のエンジンは三菱製です。サムスン、現代、LGの利益のほとんどは、国内にほとんど還元されない為、昨年、李大統領は公然とそれらの企業を批判しています。

投稿: 経済はど素人 | 2012年6月 1日 (金) 20時03分

サムスンのよさを決定の速さというが確かに非常に早いようで、日本企業にもこの速さが欲しい所ですが、何か国民性のようなもので、石橋を叩いて叩いて壊れるまで、決めないというほどのとんでもない国民性が日本人のなかにあるような気がします。金には重さがない為、簡単に大きな資金を動かす事ができますが、きっと日本人にとっては大変なストレスな世界のような気がします。

投稿: 経済はど素人 | 2012年6月 1日 (金) 22時12分

経済はど素人さん
コメントありがとうございます。
お返事が遅れすみません。

韓国は対日赤字が大きく、日本から見れば大得意様です。
そう意味で、彼らの製品が日本製で作られているというのは
十分あるでしょう。

しかし、ならば日本で組み立てて、
「ソニー」とかラベルを付けて出荷すればいいわけです。
でもそうはなりませんし、消費者にとってどこの国の特許かなんて興味ありません。
特許や人件費だけなのかははなはだ疑問です。

ちなみに、最近は円高の進行に伴い、自国内での生産を急いでいるようです。

>国内にほとんど還元されない為
これも前から言われています。
特に現代自動車はよく言われます。
とはいえ、彼らの現状の目的は海外でのブランド化や輸出振興ですから、
目的とはある程度合致してます。

>日本人のなかにあるような気がします
日本流を考えた方がいいとは思いますが、
悠長に言っているほどの時間はないと思います。
日本の「時間の使い方」が下手、とも言えるかもしれません。

投稿: なる | 2012年6月24日 (日) 21時22分

>韓国は対日赤字が大きく、日本から見れば大得意様です。
そう意味で、彼らの製品が日本製で作られているというのは
十分あるでしょう。

ご存知だとは思うのですが、少しだけ例を挙げます。
液晶部品(偏向ガラス、カラーフィルター、光学フィルム、バックライト)
製造装置(光学フィルム原料、露光装置、ステッパー、切削装置、洗浄装置、検査装置)その他もろもろ、部品、素材になどすべて日本製、ドイツ、スイス、アメリカ製です。これらはすべて地道な研究開発が必要な機器、材料類で、基礎科学に直結したものもあります。最終製品とこれら部品、製造装置、材料との間の技術力/開発力には月とスッポン(最終製品の組立)ほどの差が存在します。これらをすべてを作れる国は現在日本だけになっているはずです。一般の新聞、テレビは一般視聴者向けの話題に重点をおいており、このような製造装置の輸出入に関しては興味を示しません。一般の人間が知らないだけです。

>しかし、ならば日本で組み立てて、
「ソニー」とかラベルを付けて出荷すればいいわけです。
でもそうはなりませんし、消費者にとってどこの国の特許かなんて興味ありません。

部品、製造装置ですので、消費者が購入する物品ではありませんので、工場に行かなくてはラベルは見えません。

日米欧露と新興国の間の技術開発の方向性は基本的に異なっています。先進国はそうでないと生きていけないと思います。人件費の安い新興国は基礎技術開発に重きを置かなくても充分に生きていける為、基礎を軽視するのです。韓国はこのままではいづれすべての製造業に関して中国、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムに抜かれます。基礎に重点をおかなければそうなる運命なのです。だから、サムスンはグローバル化をしなくては生きていけないのです。つまり、技術力が無い為、人件費の安い国へ工場を移転するのではないでしょうか?これは中央日報で度々危惧している事項として書かれています。
そして、李明博大統領は日本の中小企業を呼び込むための政策を打ち出しています。ただし、日本の中小企業はどちらかというと東南アジアへシフトしているはずです。理由は日本の大企業が工場を多く持っており、彼らに供給する為です。韓国に日本の製造業の大企業がそれほど多いとは思えないのですが、大統領はどうやって日本の中小企業を呼び込むのかわかりません。(断定的に記述していますが、面倒な為そのように記述しているだけで、決して断定していません。)

投稿: 経済はど素人 | 2012年7月 3日 (火) 02時07分

経済はど素人さん
コメントありがとうございます。

PSの本体には、バッチリ「ソニー」と書いてありますが、
解体すると東芝のメモリとかが、普通に出てきます。
スポットライトが当たる部分のみが認知されるのは、
世の常です。
サムスンがどこの国の部品を使っていたとしても同じ事です。

日本の基礎技術は高いと思いますが、
このままだと彼らに吸われるだけです。
基礎研究だけでなく、
マーケティング戦略のできる人間の育成が必要です。

あまりもたもたしてると、
彼らの技術力も向上していくでしょう。
日本や台湾はそうやって技術力を高めたわけですし。

>日本の中小企業を呼び込む
これはすでに動いています。
彼らはFTAを結びまくり「FTAハブ」を構想しています。

http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2012031327648

FTA等の経済協定のメリットは、
単純な関税だけでなく手続きの簡素化もあります。
体力のない中小企業には有難い話です。

この為、日本の中小企業が欧州に進出する際、
韓国に法人を作り行っている事がちょくちょくあります。
アジアが成長していると言っても、
欧米が安定的で大きな市場である事には変わりありません。
日本がマゴマゴしてると、大きなうねりとなるでしょう。

>決して断定していません
自分の理論があるのでしたら、むしろ断定する事をお勧めします。
無論、それだけの論理とデータと参照が必要ですが。
また、主張が多い場合は自身でブログを作り、
そこで引用→反論をお勧めします。

投稿: なる | 2012年7月 5日 (木) 01時29分

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