静かなるキャピタルフライト おまけ - 意外に知らない日本
先日、日本の資金が今後ドンドン外へ出て行くだろうと述べました。
しかも性質の悪いことに、今の米国のような派手なものでは無く、ほとんど誰にも気付かれぬまま、ゆっくりゆっくり進行していきます。
理経済:静かなるキャピタルフライト① - 歴史のおさらい
理経済:静かなるキャピタルフライト② - 何が"静か"なのか
最近俄かに新興国株が下落しています。
予想通り、日本人が大量に買い込んだ中国株は下がり気味。
以前上海総合が6000ポイントくらいだった時にも似たようなことが有り、その時に買った人は未だに塩漬けにしているそうです。
おそらく今回も似たようなことになるでしょう。
そう考えると、これ等は株価が戻るまで日本の外側に行く事になります。
これもキャピタルフライトと言うんですかね?
結局円売り元買いしているわけで、株価が戻れば円買いになるかもしれませんが、上がらなければそのままです。
投資下手が仇になってますな。
さてそんな日本ですが、相変わらず多くの人は一所懸命銀行預金をしています。
元本保証ならまだ個人向け国債の方がマシなのですが、当事者意識がないのか、リテラシーが無いのか、何か信念でもあるのか、一向にやめようとしません。
Bloomberg:債券は堅調、株安・好需給で5年金利は4年ぶり低水準-2年入札無難
いつも不思議で不思議でならないのですが、この国では何かにつけて実感のわかない言葉や報道がなされることが多いです。
例えば、日本は借金大国であるというのですが、特に政治が動くわけでもなければ国民が動くわけでもありません。
今回は番外編として、もっと日本のことを知ろうと言う話です。
選挙酣の今日この頃、テレビでも街頭演説でも「無駄遣いを無くします、国家公務員の削減をします」と言っています。
国民も感化されてか、無駄遣いを無くそうと言っています。
それ自体は良いことなのですが、「では何が無駄遣いなのですか?」という素朴な疑問に明確に回答できる人、政治家が何人いるのでしょうか?
公務員の削減にしても、日本の国家公務員の数は33万人ですから、仮にすべて無駄遣いであるとし、彼らが年600万円受け取っているとして、全員首にしても約2兆円の削減にしかなりません。
額は大きいのですが、これだけの無駄遣いで800兆円などというべらぼうな借金が積める訳ありません。
為替王:歴代内閣と国の借金の推移、2009年末は900兆円突破! 財政危機でどんな影響がありますか?
理経済:米国債の推移 (ちょっとデータが古いです)
天下りも同様で、確かに無駄遣いで減らしていかねばならないのですが、それが本題に座っているようでは、借金の返済は無理でしょうし増税も避けられないでしょう。
しかし、相変わらず物知り顔の政治家やマスコミや人々は後を絶えません。
私もその1人なのですが。
無駄遣いは確かに有ります。
地方に行けば、明らかに人口に合わない駅や駐車場、ビルがあり、1日数便、しかもジャンボではなく200人乗りの飛行機しか止まらない空港、1時間に10台くらいしか車が通らないのに、片側2車線計4車線の立派な道路、隣は空き家でオフィスも入っていないのに、自分だけは立派に聳える美術館等等、挙げたら限がありません。
まあ、最近では秋葉原ですら空きテナントが目立つようになりましたから、不況だからと言うのも有るのでしょうが、それを差し引いてもやりすぎ感が有ります。
地方の人たちがネットを通じて、至る所で情報発信しているのですが、テレビも政治家もスルーです。
借金も無駄遣いも、皆どこか他人事みたいな雰囲気が有ります。
その上本当に問題視すべき他の事項もスルーです。
例えば郵政民営化の最大の争点は財政投融資であったはずなのに、小泉さんがいなくなると、とたんに利便性がどうのとか概観がどうのとか、わけの分からない話が頭をもたげています。
他にも"みんなの党"のみが指摘している外為特別会計も、あまり話題になりません。
私もこちらは知りませんでした。
こうやって見ると、意外と自分の国の事ですらよく知らないんだなと痛感します。
海外投資をしている私が言うのもなんですが、案外足場のことを知らないようです。
選挙の夏、政権選択の夏とか言われていますが、それ以前に、日本に住む人はもっと日本のことを理解することから始めた方が良さそうです。
そしてもっと日本に対して真剣になるべきだと思います。
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コメント
国家公務員は約24万人の自衛隊も含めて約90万人だが
地方公務員はその3倍の約310万人
地方公務員の人件費は年間31兆円で地方の税収は32兆円
という話もあります。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ginou_kyuyo/pdf/080414_1_si2.pdf
公務員の人件費は、本当はどのくらいなんでしょうね。
投稿: kaz | 2010年6月24日 (木) 21時25分
kazさん、コメント有難うございます。
仰る通り、この記事の議論では地方公務員の存在が抜けています。
ごめんなさい。
公務員の実態は意外とよく分かりません。
地方、国家公務員以外にも、
第3セクターや郵政などの半公社もあります。
郵政は相変わらずキャリア組制度があるとか。
またJTや国際帝石など明らかに国の影響力が強い会社も多数あります。
実質国家が抱えている人々の人件費がどれ程なのかはサッパリ分かりません。
考えれば考えるほど不安が募るばかりです。
投稿: なる | 2010年6月24日 (木) 23時45分