情報格差の減少 - ニュースサイトの有料化
ロイター通信等ニュースサイト各社は、有料化を模索しているようです。
情報サービス大手トムソン・ロイターのトム・グローサー最高経営責任者(CEO)はCNNの単独取材に応じ、一部のニュースサイトは引き続き無料を維持するだろうとの見通しを示した。
>>「一部のニュースサイトは無料維持」 ロイターCEO予想
以前、ロイターのサイトでもそういったシンポジウムのレポートが書かれていました。
ロイターに掲載された記事が見つからないのですが、朝日新聞のサイトに欠片が有りました。
彼らもかなり苦境なようです。
今回は彼らの苦境の原因と、課金の影響についてです。
asahi.com:再送:新聞・テレビは新ビジネスモデル急務=トムソン・ロイター討論会
私自身、日経NETとかロイターとか散々見ていますが、特に新聞を取ったり彼らにお金は落としていません。
日経ヴェリタスも、CMでネット版と紙媒体の各々の特徴を強調しています。
ヴェリタス創刊時に、「ネットで良質な情報がいくらでも手に入るのに、態々新聞なんて買わない」とアンケートに書いたのが効いたんですかね。
悪い事したな(;;;´Д`)ゝ
しかし実際問題として新聞を見るより詳しい情報が、ブログなどを介して流れることは珍しくありません。
株関係の情報もファイナンスサイトのRSS(?)機能で、すばやく手に入ります。
ゴールドマンの0.03秒が問題になるのも、ある意味今のように情報が早く手に入るからこそなのでしょう。
これは新聞にもテレビにも映画にも言える事ですが、ネットの普及によって随分情報格差が無くなりました。
1人の人が知っていると、ネットを通じて色んな人がその情報を共有できます。
ですから、特化することの優位性が昔より薄れたわけです。
最近調子が悪くなると、自分の症状、特徴からある程度病気を特定し、療法を見ながら様子を見たり、市販薬で済ませたりします。
医者には怒られそうですが、特に病院にも行かなくてもさしたる問題も起こっていません。
ネットの体験談はかなり詳しく、「確かにそんな症状だ」ということが多々有ります。
投資をするとき、私は証券マンの意見をあまり聞きません。
優秀な投資家がブログで色々書いていたり、無償でレポートが公開されているからです。
態々証券会社に行って、高い手数料と口座管理費を払ったりしません。
これ等の職業は免許が必要で、所謂情報の非対称性があった分野です。
情報の非対称性とは、商品(サービス)の売り手と買い手の知識の差(情報格差)のことです。
プロとアマの差の情報版みたいなものです
例えば、医者は薬や病気に詳しいですが患者は知りません。
ですから医者が「この症状はまずいです」と言われると、患者は鵜呑みにし易い。
患者自身はその真意を確かめられるほどの知識が無い為、それに縋るしかないのです。
証券会社のそれは更に顕著です。
この為知識のない人が騙されないように、国や協会は免許を交付し保障をするわけです。
その一方で、医者、弁護士、会計士等々、「ボロい商売」になり易いです。
ちょっと知識があれば自分で何とかできる事も相談に来ますし、言われた事は割と素直に聞いてくれます(医者のくれた薬について議論する人はそういません)。
しかし、ネットによってこの情報格差はドンドン減少しています。
新聞サイトの有料化もこの一環と捉えられます。
もし、ネットが無く情報量が少ないならば、消費者の購入商品候補は新聞やテレビなど、限られた媒体からのみもたらされます。
あとは精々スーパーで見る程度。
そうなると広告を出せば、必然的に買われる確率が高くなり、費用対効果は上がります。
広告主も万々歳、新聞社も広告費が入るで、企業側はハッピーです。
痛い目を見るのは広告費の出せない中小企業(だから下請けが多いんですかね?)や、商品を押し付けられた消費者です。
場合によっては、広告主の都合で真実を捻じ曲げられるかもしれません(トヨタと消費者金融は常習犯)。
しかし、ネットの普及によってこれが少なくなりました。
例えば口コミは、明らかに従来の広告の外側に有ります。
そうなると新聞を見てもらい、広告も見てもらったとしても、買われる可能性はぐっと減ります。
広告の費用対効果は、それに連動して減っていきます。
広告主も当然減ります。
ですから新聞社は別の収入源を探さねばいけないんですね。
情報は重要です。
ロイターなどの情報は深いものも多く、見る価値が有ります。
そうなると課金すると言う考えが出ても不思議ではありません。
しかし、果たして課金しても人が来てくれるでしょうか?
まあ情報にお金を払いたくない人が、広告に出た商品を買うとは思えませんが、アクセス数は大幅に減ると思います。
課金云々より、ビジネスモデルそのものを見直してみたほうが、活路を見出せそうです。
結構難しいですが、マスコミの影響力自体は相変わらず強いので、可能性は十分有ると思います。
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