技術者の報奨金② - 報奨金より給料を上げろ
先日、中村修二の200億円裁判を肴に技術者の報奨金について述べました。
今日は日本の技術者への褒賞の方法について。
この金額は2000億円稼いだゴールドマン・サックスのCEOもビックリの、巨額報奨金です。
つくづく思うのですが、日本人は欧米人より貪欲だと思います。
皆といる時は空気を読んで欲を隠すのですが、投資等の個人プレイに移ると、途端に強欲になります。
やたらと早く投資資金を回収しようとする為に、仕手株みたいなのが流行りますし、退職金を投資している方々も、配当性向を非常に気にします。
最近就職した関係で、保険関連の人によく絡まれます。
そこで話題になるのは配当のあるタイプで、掛け捨て型や再投資による無配型は全く話題になりません。
聞いてみると、日本では殆ど売れないとか。
本来、自社に自信が有るならば配当性向ゼロにして、設備投資や株式投資に廻すのですが、日本企業では殆どありません。
IRに行くと、やたらと配当性向の高さを謳って来ます。
自信の無さを露呈している事に、気付かないのでしょうかね?
自分の耳で聞きたいならば、今度ビッグサイトで開催されるIRフェアに行ってみると良いでしょう(私は5日に行く予定)。
本当によく言われます。
ちなみにこの方は自信の高さを体現しています。
配当利回りを示すDiv&YieldがN/A(無配)となっています。
Yahoo!finance:Berkshire Hathaway Inc. (BRK-A)
一番問題なのは、その欲に全く気付かず、自覚症状が無いところ。
いやはや。
話が逸れてすいません。
元に戻しますと、日本の報奨金制度についてです。
中村氏の報奨金は大きすぎるにしても、日本の技術者に対する報奨金の低さには、これまた驚きます。
中村氏は当初2万円、ノーベル賞を取った田中耕一氏の特許に対して、1万1千円しか支払われなかったのは酷すぎます(最終的に1000万円になったそうです)。
子供の小遣いじゃないんだから。
いくらなんでもこれでは人材が逃げてしまいます。
彼らには実績があるわけですから、転職しようとすれば引く手数多です。
200億は行き過ぎでも、10億円位はホイホイ出しても罰は当たらないと思います。
島津製作所も、大きな宣伝効果があったんですから、その費用分位渡してもいいと思います。
以前、フラッシュメモリー(USBメモリ等の材料)を作った舛岡富士夫氏が、東芝に対して10億円の報奨金を求めて裁判を起こしました。
結局8700万円に減額されたとのこと。
東芝もケチですね。
彼は現在、シンガポール政府に引き抜かれ、三次元半導体を開発中とか。
明らかな人材流出ですな。
こういう状況を防ぐ為にも、実績に応じてもっと給料を上げるべきだと思います。
巨額の報奨金は会社にとっても大きな負担です。
また、「貰うものは貰ったし、実績もあるんだから転職でもするか」となり得ます。
日本の企業は年功賃金な為、偉大な業績を残しても、出世できるとは限りません。
あるいは競合他社から、年収云千万で引抜があるかもしれません。
彼らは文字通り金の卵です。
うまく繋ぎ止めれば、再び金のなる木の苗を作ってくれるかもしれません。
ですから、如何に彼らをうまく会社につなぎとめるかが重要になります。
この辺りは、欧米の金融機関と同じです。
人間、努力し、実績を残したからにはそれ相応の"見返り"を望むのは、当然の生理現象です。
地位、名声、お金。
形はいろいろ有りますが、いずれにせよ認めていると言うことを態度で示す必要が有ります。
ですから、会社側にも無理が無く、本人にとってもメリットがある給料の大幅上昇をすべきです。
もし「給料より研究費が欲しい」と言うなら、そうしてあげればよいでしょう。
皆でやったから皆同じでは、優秀な人材が逃げてしまいます。
私は物理屋なので、実験などにも参加しましたが、こういう場で実績を残すような人は、大概1人+助手で構成されています。
実績は皆で作ったものでは有りますが、比率的には7割くらいは中心1人、多くて4人程度がやっています。
経営者と同じで「こうやるんだ!」的に、強引に引っ張っていきます。
そのまま沈没する場合も多いのですが。
多分、中心1人を摘み出したら、人数的には殆ど変わらずとも、ろくな物が出来ないでしょう。
是非とも、こういった引っ張っていく優秀な技術者を、確保、そして何より繋ぎ止めて行くよう努力すべきです。
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