米CIT問題と日本のノンバンク問題 - 総量規制とサラ金難民
米国のノンバンク、CITが破綻の瀬戸際に立たされています。
オバマ政権は、経営難に陥っている米金融サービスのCITグループの対応で大きな賭けに直面している。現在の金融市場と経済は、大規模金融機関の破たんに耐えられるとの見方が背景となっている。
>>焦点:米CITへの支援拒否、オバマ政権にとって大きな賭け
ノンバンクとは所謂サラ金で、クレジットカードなども含まれます。
今日は日本のサラ金の問題から米CITの問題、そして悪化の一途をたどっている日本のサラ金業についての話です。
さて、まず「ノンバンク」とは何かというと、銀行ではない貸金会社です。
銀行は、一般の人から預貯金などの形で資金を集めています。
そしてそれを不動産ローンや企業向けローンの形で貸し出しています。
一方で、ノンバンクには貸金機能は有りますが預金機能はありません(実際には銀行と繋がっている場合が多いです)。
こういった業種をノンバンクと言います。
余談ですが、前述の通り銀行は私達からお金を借りて、それを他人に貸しています。
ですから、私達預貯金者は利子利息というなの貸出金利を受け取っています。
銀行はそれを他者に又貸しすることで貸金業を営んでいます。
私達に対する金利は0.1%位なのに、企業に対する金利は低くても2~3%ですから、この差額×預金総額分だけ儲かります。
確かに倒産リスクは有りますが、日本国債だって1.3%位の利率が有りますから、ぼろい訳ですね。
時々、多額の定期預金をしながら不動産ローンを組んでいる人がいますが、銀行にとってはいい鴨です。
だって、預金金利は精々1%なのに不動産金利は3,4%位なので、毎年約2,3%相当の儲けが転がり込んでくるのです。
しかも、米国のようなノンリコースによる不動産価格下落の影響も受けませんから、まさに殿様商売ですね。
う~ん、おいしい。
さて本題に戻りますが、CITとは米国のノンバンクで主に中小企業との繋がりが深い会社だそうです。
英語のWikipediaがわかり難いと言う方は、こちらを御覧ください。
ファクタリング会社は、個々の商取引のリスクや金利コストを勘案した上で、前述の例ならば、アパレル・メーカーから売掛金を一定のディスカウント(割引)で買い取ります。
ファクタリング会社はその場で、アパレル・メーカーに請求書の代金をディスカウントした分、例えば90%をキャッシュ(現金)で支払います。
>>CITショックに気をつけろ!倒産したなら 米国はクレジット・クランチに逆戻りだ!
ようは請求書の現金化(要手数料)をしてくれる会社です。
日本の場合、銀行による手形の割引や商社などがその役割を果たします。
が、日本の場合大手銀行は中小企業が大嫌いなので、金なんて貸しませんし手形を受け取るのかも怪しいです。
日本ではあまり報道されませんが、好況だった06年でも結構貸し剥しや貸し渋りがあったようです。
なおこういう事を理屈っぽく言う為に、企業貸出の統計など色々有りますが、それよりも現場の話を聞いたほうがいいです。
日本の事業者数は大よそ600万あり、単純に考えれば20人に1人は社長であり、その殆どが中小企業です。
恣意的な情報が入りやすい統計(実は統計とはそういうものです)よりも、実話の方が臨場感が有ります(意外と床屋が詳しいです。銀行は床屋と開業医にしか貸さないとか)。
銀行の態度はケーススタディでも度々出てきます。
今をときめく大企業も、黎明期には随分いじめられたようです。
そんな大手銀行に嫌われる中小企業が、資金繰りをつける為に頼っていたのがサラ金でした。
手形の割引が出来ずとも、現金があれば何とかなるわけです。
アメリカがどうだかは分かりませんが、少なくとも日本の中小企業はサラ金無しではやっていけないほど、資金繰りがキツイようです。
好況な時でさえ貸し剥しにあい、景気の悪くなった今ではメインバンクに会社を潰される所もあるそうです(判例の検索が出来ん…)。
長くなったので続く…
なお、就職活動の時はそんな事一言も語ってくれません。
当たり前ですが。
理経済:米CIT問題と日本のノンバンク問題② - 総量規制とサラ金難民
理経済:米CIT問題と日本のノンバンク問題③ - 総量規制とサラ金難民
理経済:米CIT問題と日本のノンバンク問題④ - 総量規制とサラ金難民
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