米CIT問題と日本のノンバンク問題④ - 総量規制とサラ金難民
さてさて、2回で終わらせるつもりだったのに、4回まで来てしまったサラ金問題です。
今回は現在水面下で騒がれている、日本の消費者金融総量規制問題です。
理経済:米CIT問題と日本のノンバンク問題 - 総量規制とサラ金難民
理経済:米CIT問題と日本のノンバンク問題② - 総量規制とサラ金難民
理経済:米CIT問題と日本のノンバンク問題③ - 総量規制とサラ金難民
さて、まずは軽くお浚いです。
日本ではグレーゾーン金利という高めの金利を、法律によって押さえ込みました。
これにより日本のサラ金業者は、今まで年30%取れた金利も、わずか20%までしか取れなくなってしまいました。
これにより、「消費者は便利になった!」と思いきや、実際には中小企業や収入の少ない個人が一層苦労する事になり、官製不況と言われる程の不景気を招いてしまいました(↓は新たに見つけた関連記事)。
BPnet:グレーゾーン金利廃止が招いた中小・零細企業の倒産
派遣の給料は翌月からの支払ですから、大変ですね。
彼らは多分借りられません。
さて、こんな感じで上限金利の引き下げられた事で、消費者はかえって痛い思いをする事となりました。
個々人が自己の利益を最大化しようとすることで、結局皆で共倒れと言うのは、決して珍しい話ではありません。
バブルはその典型です。
そんな状態なのに、政府は更なる規制をする事にしました。
それが消費者金融の「総量規制」です。
ここで言う"総量"とは年収を指します。
これは、「年収の3分の1までしか貸してはいけない」という規制です。
上限金利の引き下げで、多くの人が借りられなくなっているのに、この期に及んで規制とは…
全く経済について理解していないですね。
一部の人たちは、早い段階からこの総量規制について、懸念を示しています。
J-CAST:消費者金融借り入れは年収の3分の1 規制導入でヤミ金に走る人が増える?
借金の返済は大丈夫!!:多重債務 サラ金難民
総量規制といえば、昔から結構な劇薬です。
上手くいけば加熱を抑えられるのですが、あまりに効きすぎて患者が死んでしまうこともしばしば。
日本で最も有名な総量規制は、「土地関連融資の抑制について」です。
バブル崩壊の引き金を引き(正確には崩壊を強く助長した物と言えます)、その後日本は長い間沈没する事となり、地価の全国平均は未だに減少中です。
内閣府政策統括官:経済財政分析ディスカッション・ペーパー・シリーズ PDF
(下の方を見ると、リートの利回りなど、結構投資家好みな情報も有ります)
91年以来、日本の地価は一度もプラスに転じた事がないんですね。
そんな劇薬を、再び消費者金融に対して使おうとしています。
土地の時もそうですが、消費者に近い所ほど、本来は細心の注意を払うべきなのですが、どうもそういう配慮がないんですよね。
消費者に直結するような部分では、消費者も敏感に反応します。
消費者庁なんて作る前に、そういうところをまず正さないといけません。
どうしても借りたいと言う時に、誰も借りられないでは経済が滞ってしまいます。
以上、4回に及ぶ長編が終了しました。
う~ん、長い。
題名は米国の話題っぽいのに、主に日本の話となってしまいました。
題名で来た方には本当に申し訳ありません。
しかしつくづく思うのですが、日本人はもっと自国に対して興味を持ち考えるべきだと思います。
アメリカが危機的なのは周知の通りなのですが、日本は恐らくアメリカ以上に危機的な状況です。
当ブログも含め、多くの情報は米国の危機ばかり伝えていますが、まずは日本の事を心配すべきだと思います。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 配慮のしすぎも考え物 - 人吉市の取り組み(2016.10.06)
- 日銀の総括検証 - 手のひら返しが酷い(2016.09.21)
- 銀行外しが着々と進む② - 証券化ビジネスのネット化(2016.09.02)
- 銀行外しが着々と進む① - 債権補償の充実化(2016.08.30)
- 日本の10年国債がマイナス利回りに - 低金利の弊害(2016.03.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント