金融規制は取引ルールにすべき
最近何かと話題になる金融規制ですが、どうすべきかと言うことへの個人的意見です。
なお、最近の議論で出ているものはこんな感じです。
- 銀行の自己資本規制
- タックスヘイブンやヘッジファンドの監督強化
- デリバティブ取引の集中決済方式の導入
などが言われています。
一ヶ月前、あるルール、規制の復活が議会で議論されることとなりました。
「アップティックルール」です。
米上院のカフマン議員(民主党)とアイザクソン議員(共和党)は(3月)16日、直近の約定価格を下回る水準での空売りを禁じる「アップティックルール」の再導入に向け法案を提出した。カフマン議員がロイターのインタビューで明らかにした。
>>米上院議員、空売り規制「アップティックルール」再導入へ法案提出
要するに、空売りによる集中攻撃を禁止するルールです。
株などのオークション方式の値決めでは、売れば売るほど価格は下がります。
空売りでも実需売りでも、売られたらそれだけ下げ圧力になります。
ヘッジファンドや投資銀行が、金に物を言わせて一気に売り叩くと、バナナのたたき売りが如く、株価は急落します。
寄り付きもしないで、ライブドアのようなナイアガラになる可能性も有ります。
しかし、このアップティックルールがあると、この内の空売りに強いブレーキをかけることになります。
直近より高くないと空売りできない為、自発的な反発を待ってからでないと売れませんから、兎に角空売りすればよいと言うことではなくなります。
さて、この報道の結果がどうなったかと言うと、こうなっています(画像が上手くは入らん・・・)。
大底を打った為かもしれませんが、ルールの提案以降、上昇傾向になっています。
私は、このアップティックルールのような取引手法に制限をかける方法の金融規制が望ましいと思います。
商品開発は常に行われており、どんどん形を変えて、同じような商品が違うラベルで売られています。
ですから商品に規制をかけるのはあまり意味がないでしょう。
例えば自己資本比率の規制を引き上げようとしているようですが、CDSのような商品を、ラベルを変えて発売し、「これがあれば、負債も自己資本に勘定できるようになります」とすれば、自己資本規制は意味をなくすでしょう。
今回のAIGもこれに似たような状況だったようです。
紺ガエルとの生活:「なぜ世界は不況に陥ったのか 集中講義・金融危機と経済学」を読了
またデリバティブの規制についても、例えば買ったり作ったりしたデリバティブを、自前で作ったペーパーカンパニーに押し込み、これの株式を売却すると言う手法を使えば、株の規制は受けても、デリバティブの規制は受けなくなるでしょう(中身が分からないのは株式会社も変わらないと思います)。
結局、法の抜け穴を通って粗悪商品が出回り、経済の実態を覆いつくし、また今回のような事態を引き起こすと思います。
いつの世でも頭の良い人はいるものです。
すべての商品を封印できない以上、商品の規制は必ず穴が出来てしまいます。
一方、取引ルールは時がたっても殆ど変化していません。
現在は主にオークション方式であり、相対であれマーケットメイクであれ、市場の需給によって値が決まります。
金融危機で対比される1929年も、オークション方式で値決めしていました。
80年経っても取引方法は変わっていないんですね。
ですから、私はこの取引ルールに手を加える方が、良くも悪くも影響力が有ると思います。
諸刃の刃ですが、行き過ぎた金融市場を直すと言うのならば、おかしな話でもないでしょう。
ただ、これはかなり奇抜な発想が必要でしょうから、残念ながら私の頭には浮かびません。
しかし、この方向で皆で頭をつき合わせるのが最も合理的に、より長い間事態を沈静化できると思います。
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