不注意からの就職氷河期
今日、2月の有効求人倍率が発表されました。
これによると、2月は0.59倍と03年以来の低水準だそうです。
厚生労働省が31日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は0.59倍と前月を0.08ポイント下回り、2003年2月以来の低水準となった。
>>2月の求人倍率0.59倍、失業率4.4% 雇用情勢一段と厳しく
実際、かなり色々な企業が雇用数を減らしています。
さらに悪化はかなり急激であり、就職氷河期世代ですら今の方が厳しいと述べるくらいです。
日経ネット:就職氷河期世代も「就活は今の方が大変」が3割 産能大調べ
しかし、ここまで急速に悪化するとは考えずとも、この就職氷河期は本当に予想できないものだったのでしょうか?
私にはどうも、企業側の不注意が原因に思えます。
下のグラフをご覧ください。
年平均の有効求人倍率(新規学卒及びパートタイムを除く)
厚生労働省統計表データベースシステムより作成。
~76年移動平均線はダミー。
これを見ると、ここ最近の有効求人倍率は比較的高い水準に有り、移動平均線からも乖離しています。
株と違うとはいえ、グラフを見れば分かるとおり、推移は移動平均線との綱引きで、平均線の上を行けば下落し、下を行けば上昇に転じます。
勘のいい人なら05年くらいには次の展開が予想できたでしょうし、07年には山が崩れかけているのが分かります。
採用氷河期とか言っていましたが、要するにここでも雇用バブルが発生していたんです。
日本の場合、新卒採用でないと就職し辛い傾向がありますから、本来採用する側の企業はもう少し慎重に採用せねば、結局技術の伝承が出来ないだとか年齢構造が歪になるだとか、歪みが出るのは分かりきっています。
90~03年の就職氷河期を経験し、05年頃にもトヨタなどの製造業がテレビで人手が足りないだとか言っていたのに、企業はまた同じミスをしています。
即ち、「景気が絶頂→調子に乗って大量採用→景気悪化→手があまる、人件費が払えない→就職氷河期とリストラの嵐が到来→景気上向く→人が足りなくなり大量採用→最初に戻る」と言う悪循環です。
海外のように雇用が流動的であれば、たとえ就職氷河期世代であっても、景気がよくなれば正規の仕事に就けるという希望も有るのですが、日本のようにガチガチな雇用体系では、生まれた年で差が出てしまいます。
格差が拡大しているのは、派遣がどうとかではなく、この辺が効いていると思います。
夢がなければ内需も拡大しません。
ならばこそ、企業は注意して採用活動をせねばならないのですが、20才そこらの学生が気付くようなことを思いつかないとは、正直人材戦略を間違えているとしか思えません。
同じミスを何度もするのですから、はっきり言えば「馬鹿」です。
今回の就職氷河期の再来は、米国の住宅バブルと同じで、考えのない企業の経営陣が招いた人災だと思います。
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コメント
トラックバックありがとうございます。
これを機会に色々と読ませていただきます。
酔うぞ拝
投稿: 酔うぞ | 2009年4月 1日 (水) 09時05分
勝手にTBしてしまい失礼しました。
これを期に末永いお付き合いのほど、
よろしくお願いします。
投稿: なる | 2009年4月 1日 (水) 22時07分