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レオ・シラード

今日、NHKの「出社が楽しい経済学」で「囚人のジレンマ」についてやっていました。
囚人のジレンマとは、「協調」か「裏切り」かの選択になった場合、どちらを選択すればいいのかを考えたものです。

Wikipedia:囚人のジレンマ

細かい説明は私の説明よりも、ウィキや検索をしたほうが懇切丁寧な説明が見られます。
今回お話したいのは、科学者レオ・シラードの話。
私の尊敬する科学者の一人です。

皆さんレオ・シラードという大科学者をご存知でしょうか?
あのアインシュタインとも仲良しで、原爆の作成を促した張本人です。
更に戦後は原子炉の開発も行い、特許も取ったそうです。
相当金持ちだったのでしょうね。

この人は、アインシュタインと仲がいい事からも分かるとおり、科学者としてもかなり有能だったのですが、それ以上にすごいのは政治論やゲーム論に通じた、高度な政治能力と先見性です。

原爆を作る為に必要なのは優れた科学者もさることながら、何より金です。
経営に必要なのは「ヒト・モノ・カネ」であり、このような大事業でも同じです。

シラードは資金の捻出のために、ただ上に研究費をねだるのではなく、ロビー活動などで政治家を絡めとり、かつアインシュタインの知名度を利用して大統領にアクセスし、巨額の資金を捻出させました。
現代の研究費などは文科省に常に御伺いせねばならず、優れた研究の芽であっても実物が出来ないと費用が出ないらしく、現代の大科学者であるはずの西澤潤一氏でさえ、かなり大変で、「ぶっちゃけ出してもらえない」とぼやいていました。

お国柄の違いや時代背景の違いが有るとはいえ、開発費として20億ドル(当時のレートで約2兆円)もの大金を引き出したのはかなりのものです。
今の日本の科学者で、これほどの額を手にできる人は多分いません。

さて、これだけだとただのマッドサイエンティストなのですが、彼の真の実力はこの後に有ります。

彼は原爆の作成後、その使用を政治的な未来予測から使用を拒否しました。
また、使用後はこれまた政治的な先見性から、原爆開発については容認し、如何に使わせないかを考えるべきとしていたそうです。
湯川秀樹など、一般の科学者とは随分対立したようですが、彼は力を持った以上捨てられないのが人間の性だと言う事が分かっていたんですね。

彼の著書である「イルカ放送局」を見ると、お互いの国の都市にお互い合意の下原爆を埋め込み、「繰り返し型の囚人のジレンマ」に持ち込むことを提案しています。

テレビでもやっていた「しっぺ返し戦略(tit for tat)」が開発され、「繰り返し型の囚人のジレンマ」が体系化されたのが1980年との事ですから、彼は17年前に気付いて、更に現実問題にまで応用していたんですね。

囚人のジレンマを初め、ゲーム論はかなり若い学問です。
その学問を専門でもないのに熟知していたシラードはかなりの凄腕だったんですね。

私も科学を学んでいるのですが、そこでよく思うのは政治的な先見性がちょっと薄いと思います。
開発するのも使うのもお金を出すのも人間ですから、よく人間を理解して研究を行わないと折角の功績があらぬ方向に進んでしまうと思います。

その研究が社会に対してどのような影響が与えるか、仮に不本意な使われ方をした場合、どのようすれば現実的に押さえられるかを、もう少し考えてもいいと思います。

イルカ放送 (1963年) (みすず・ぶっくす)
レオ・シラード
みすず書房
1963

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

ちなみに、書籍「シラードの証言」は訳者が悪いのか、シラードの文才が無いのか、あまり面白くないです。

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