ノンバンクと囚人のジレンマ
短いエントリーです。
この前話した囚人のジレンマの具体例が都合よく有りましたので、それを書きます。
今日のWBSでSFCG(商工ローン)の破綻についてやっていました。
商工ローンとは企業用のサラ金で、高い金利を取るものの、審査が緩くすぐ現金を貸し付けてくれます。
貸付はしますが、銀行のように預金を集めない為、サラ金共々ノンバンクと言われます。
このSFCGが破綻したことで、中小企業の資金繰りが怪しくなっていると言うニュースでした。
さて、商工ローンはサラ金同様に年30%近い、高い金利で貸し付けるため、グレーゾーン金利の撤廃で過払い金の返還を求められるようになりました。
返還されることが分かると、これまたサラ金同様に多くの中小企業が群がり、今度はSFCGの資金繰りを圧迫しました。
遂には倒産してしまったのですが、これは中小企業にとってはボディーブローのようにじわじわ効いて来るでしょう。
メガバンクは金なんて貸してくれませんから、商工ローンが支えていた短期の資金繰りを、誰も支えてくれる人がいなくなりました。
これにより中小零細企業の倒産はじわじわ増えると思います。
ちょうどこれが囚人のジレンマになっているわけです。
仮にある企業AとBがSFCGに各々100万円(利得は-100万円)の過払い金があるとすると、仮にどちらか一方だけ請求した場合はSFCGも耐えられるので、お金が戻ってきます。
つまり損が無くなり、利得が-100万円→0円になります。
こう考えると、請求したほうが良い訳ですから、AもBも請求します。
しかしこうなるとSFCGも耐えられず、倒産してしまいます。
こうなると今度はAもBもドミノ倒し式に連鎖倒産してしまいます。
この例は2社ですが、これが数百社、数千社となるとその額は膨大です。
結局、全社が過払い金を諦めることが自身を守る唯一の術になるわけです。
倒産するよりは過払い金を諦める方がいいでしょう。
欲を出して「協調」せずに「裏切り」をしたため、皆で仲良く倒産する羽目になりましたとさ。
めでたしめでたし。
・・・この前某テレビ番組で、「小学校に『金儲け』の授業を作るべき!」と言う話が有りましたが、金儲けは兎も角、もっと経済学を学ばせた方がいいんじゃないですかね?
政治家も社長も消費者もです。
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