ドラえもんの声から見るブランド論
今日久々にドラえもんを見ました。
ドラえもんの声を水田わさびさんが担当している、所謂「新ドラ」です。
大山のぶ代さんの声で慣れた私としては、やはり違和感が有りますし、のぶ代ボイスを聞くとどうしてもドラえもんが言っているように聞こえてしまいます。
今回はドラえもんの声優の世代交代を例にした、「ブランド」の話です。
ネットで調べると、私同様、水田さんの声に違和感を感じる人も多いらしく、随分と非難の声が上がっています。
彼らは何年もの間大山さんの声に慣れ親しんだわけですから、ギャップを気持ちで穴埋めできないのは仕方のないことなのかもしれません。
これは大山のぶ代の声=ドラえもんの声という強いブランド力が形成されてしまった為、ブランドの大きな変更に戸惑いが有るからと考えられます。
しかし、「声」と言うものは不思議なもので、初めはあっていないと思っていても、聞き続けていると慣れてしまい、それが自然になってしまいます。
そもそもキャラクターは実物が現実にいるわけではないので、これが本物の声と言うものはありません。
あくまで主観的なものです。
実際、Wikipediaを見ると、ドラえもんの声優自体は結構何回も変わっています。
以前、「ワンピースのルフィ」や「忍たまのきり丸」でお馴染みの田中真弓さんの話を聞いたことが有るのですが、曰く
「ルフィを初めてやった時、小学校の息子のクラスの3割くらいにあってないと言われた」
だそうです。
今では彼女以外考えられないくらい板に付いていますが、初めはやはり皆イメージとのギャップが多かれ少なかれあったようです。
今の新ドラの声優陣が非難される理由は、声よりもシナリオに問題が有ると思います。
今のシナリオは過去の焼き回しや、漫画の有名なシナリオをほぼそのままアニメ化しているだけです。
依然見たことが有る人は態々見たいとは思わないでしょうし、違和感が有るのならば尚更見ないでしょう。
聞き続ければ違和感は減少するでしょうが、まず継続の段階で躓くでしょう。
ブランドはとても強い力を持ち、リピーターやロイヤルカスタマー(リピート+他者に宣伝)を生みます。
私もラーメンの天下一品に足繁く通いますし、皆さんも幾つかそういうものが有るのではないでしょうか?
しかし、ブランドを劇的に変えると、今度はこのリピーターが文句を言い出したり、買ってくれなくなったりしますから、一気に変えるのは難しいです。
一方、ブランドが有るからといって常に同じものを使い続けると、客も飽きてしまい、自動車のGMのようになります。
ドラえもんの場合、旧声優陣は随分長くやってきており、平均年齢は70歳を越えていますから、新声優への交代は止むを得ないのでしょう。
しかし、ブランド変更に際しては、それを補う為のアフターケアをしっかりしておかないと、折角のリピーターが逃げてしまいます。
何を持ってアフターケアとするかはなかなか難しいですが、一端投入した後はつぶさに顧客を観察し、その反応にあわせた対応が肝要だと思います。
ブランドの構築と共に、このような「ブランドの継続」をよくよく考えないといけないようです。
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コメント
>声という強いブランド力
この切り口は面白かったです。
>「ルフィを初めてやった時、小学校の息子のクラスの3割くらいにあってないと言われた」
たしかに黙読している時に想像した声と違うことはよくありますね。
■【コラム】 ドカンと一発! 若様の「お叱りCD」で気合い注入
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=764848&media_id=44
若本さんのブランド価値は凄いと思う。
投稿: su-Z | 2009年3月 7日 (土) 01時01分
ヒューレットパッカードの元CEO、
カーリー・フィオリーナ氏はブランドについて、
「ブランドとは約束である」
といっていました。
私もかなり近い考えです。
そう考えると、重要なのはブランドの構築であり、
何を土台として構築するかでは無いと思います。
味、サービスは勿論、
ダイヤモンドに至っては硬さを売りにした文言が有りますから、
何がブランドになっても不思議ではないと思います。
投稿: なる | 2009年3月 7日 (土) 16時54分