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AIGは潰した方がいい - 双子の赤字問題

AIGの高額給与問題が思いのほか話題になっていて驚いているんですが、この問題だらけの会社はさっさと潰した方が、長い目で見ると利益が多いと思います。
株主なのにこんな事を言うのはなんですが、最近つくづくそう思います。

AIGのような手のかかる企業に構っていられるほどの余裕が、双子の赤字を抱えるアメリカにあるのか、甚だ疑問です。
AIGは他金融機関と比べて極端に公的資金の投入額が非常に大きいです。
まるでカネゴンの如き金食い虫で、国の負担は計り知れません。

世界四季報:日本式の謝罪って

二番目に大きいシティ(C)は500億$なのに対し、AIGは1700億$も貰っています。
CDSを持っていたのが幸い(災い)したためか、著しく損を被っています。
シティも色々オプションがくっついている為、500億というのも額面どおりに受け取ることは出来ませんが、それにしてもAIGの突出は気になります。

理系済:シティに大盤振る舞い

色々調べてみるとAIGが全面的に悪いわけではなく、BIS等の自己資本比率規制が原因という話も有りますし、破綻させるとドミノ式に他銀行が潰れかねないのは分かっているのですが、それでも潰した方が良いと思います。

紺ガエルとの生活 ブログ版日々雑感 最後の空冷ポルシェとともに:金融危機2.0(でもこれからVer1.0に戻ると思うけど)

AIGを見捨てる理由は、今世界が半バブル状態であることから、これを何とか沈静化する必要があるからです。
その為には各国、特にアメリカが経常赤字を縮小させ借金を返していく必要があります。
金食い虫に餌を与え続けられるほどの余裕は無いはずです。

現在、各国は巨額の財政出動、つまり国庫の中身をばら撒くことでこの難局を乗り切ろうとしています。
しかし、国庫の中身は教育費とか年金とか色んなものに使うわけですし、無限に金が湧いて来る訳ではありません。

では足りなくなったらどうするのでしょうか?
簡単です、お札を刷りまくればいいのです。
必要なだけ輪転機を動かせば、お札はどんどん出てきます。

しかし、このお札を刷るのも代償が必要で、刷れば刷るほど国債が積み増されていきます。
お札が湧き出しているのではなく、単に借金しているだけなんですね。
言い換えれば、米国の信用を削ってお札に変えているわけです。

「シティに大盤振る舞い」のエントリーを書いた時は米国の借金は7.35兆$程だったのに、09年には10.8兆$にも達しています。
これに加えてFRBやFreddie MacFannie Maeの借金も、実質的に肩代わりしているわけですから、その額は日本の(実質的な)それより大きいかもしれません。

アメリカは、双子の赤字問題が表面化する頃から兎に角借金をし、世界に米ドルをばら撒いてきました。
このため世界は「大金余り時代」に突入することとなりました。

アメリカは自国に投資を呼び込むことで米国債、米ドルの価値、ひいてはアメリカの信用を支えてもらっていました。
シンガポールやハンガリーなどの小国がやっていることを、アメリカがやっているわけです。
この為つい3年ほど前には、世界的なバブルが懸念されていました。

理系済:アメリカの保護主義懸念について

ところがサブプライム問題が表面化するといつの間にか忘れ去られ、それどころか世界総出で「兎に角、金を増やせ!」と大合唱です。

今までは金利を上げて何とか資金繰りを保っていましたが、様々な偶然(必然?)が重なり、アメリカに限らず気にする必要がなくなりました。
金余りに更に金を供給すると言う暴挙を、今でも、むしろ加速度的に行っているわけです。
株価はメッキリ下がっていますし、銀行が萎縮している為、資金供給と信用収縮の帳尻があっていますが、バブルの火種は相変わらず燻っているわけです。

今は、投資資金が安全資産である各国国債に向かっているので資金繰りは担保されていますが、この流れがいつまで続くのかなんて分かりません
流れが逆流しだしたら、金利を上げざるを得なくなり、場合によってはクラウディングアウトしかねない高金利になるかもしれません。
もしデフォルトを起ころうものなら、最悪ジンバブエのようなインフレが起こりかねません

mixi:すげーインフレ

今、最も問題なのは、AIGでも雇用でもなく、将来的にも資金繰りを確保することです。
AIGが潰れれば短期的には大不況になるでしょうが、それでもアメリカが破綻するよりはきっとマシな展開になるでしょう。
ジム・ロジャーズもこの辺りに言及しています。

ジム・ロジャーズ情報ブログ:倒産させるべきはAIGであり、アメリカでない

最近思うのですが、情報化が進んだ為か、すべての展開が速くなっている様な気がします。

「100年に一度の金融危機」といいますが、80年前の1929年にも世界恐慌は有りました。
人間の一生から考えると20年の差は結構大きいと思います。
また、もっとかかるであろうと思った原油の底打ちも、最近の動向から見るとそろそろなようです。

この調子で行くと、私の目の黒いうち、後50年ぐらいで2度目の「100年に一度の金融危機」が債券市場で起こるような気がしてなりません。
"カネゴンAIG"に構っているほどの余裕は無いと思います。

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