今まで携帯電話のクラウド化の利点を述べてきました。
携帯電話のクラウド化は、単なるPCクラウド化の拡張というだけでなく、モバイルならではのメリットが有ります。
しかし、これ等にも当然欠陥が有ります。
今回はそんな話。
理経済:携帯電話のクラウド化① - 省エネ化を図る
理経済:携帯電話のクラウド化② - 発熱を抑える
さて、まず大きな欠点はインフラ問題です。
これはPCと同じです。
持ち運びが出来る携帯電話やノートPCの場合、安定的なネット回線が確保できるかは不透明です。
無線LANの場合、アクセスポイントの有無や電波状況の善し悪しで繋がらなかったり回線が細くなってしまったりします。
よくクラウド化のメリットとして、「世界中何所からでもメールが見れ、業務が出来る」と言われますが、これは大嘘です。
回線が繋がらなければ国内でも使えません。
地方に行くと、どのキャリアも繋がらない場所もあります。
クラウドはソフトをネット上に置きますから、ネットに繋がらないと端末はただの箱になります。
エクセルもワードもゲームも出来ないPCでは使い物になりません。
携帯電話の場合特にその懸念が強く、電話もメールもゲームも出来ない携帯なんて本当にただの箱です。
音楽が聞ければいいのですが、場合によってはそのアプリすら外部に置きますから、使えない可能性があります。
圏外の場所で電話やメールが出来ないのは既存のものも同じですが、アプリの使用も不可になるのはクラウド化にとって大きな足かせです。
第2に省エネ化の度合いがどの程度のものなのか分からないという点です。
確かにゲームを使わないと電池が長持ちしますから、アプリの移管で省エネ化は出来るのでしょうが、逆に通信量が多くなるのでその分を考慮しないといけません。
結局、どれくらい減らせるのかは"やってみないと分からない"としか言えません。
実験が必要です。
幸い発熱は消費電力の2乗に比例して減ります(電圧一定と仮定)ので、結構減ると思います。
電力を3割減らせれば発熱量は半分になりますからね。
また個々の端末が省エネ化できる代わりに、サーバー側の容量アップが必要になります。
クラウドの場合、個々の端末が考えなくてよくなりますが、その皺寄せはサーバーにいきます。
サーバーの大容量、高機能化は必須で、ダウンするとその下に付くすべての端末に影響が出ます。
サーバー側はその分のコストは覚悟せねばなりませんし、消費者はサーバーダウンのリスクを考慮せねばなりません。
省エネ化ということで"環境に優しい"とかいうフレーズも出てきそうですが、全体として如何程の省エネ化が出来るかは不透明です。
第3に、既存の携帯メーカーはその地位を失うということです。
前述の通り、クラウド化が進んだ場合携帯電話そのものの技術力より、サーバー管理技術やデザイン力、アプリやOSの企画力が大事になります。
となると、既存の端末メーカーが積み上げた経験はさほど優位性は無くなり、OSメーカーや.com系の会社が台頭します。
また、技術的に未熟でもコスト低減技術のある請負型端末メーカーは優位性が出てきます。
今までの図式がリセットされる訳ですね。
マックOSを作っているアップルがiPhoneが話題になっているのもその所為でしょうし、検索サイトのグーグルが、台湾のHTCに携帯製造を外注しているのもそのためでしょう。
世界四季報:鴻海精密工業
ロイター通信:米グーグル、独自の携帯電話端末を来年1月にも販売
既存のメーカーにしたら脅威ですね。
ノキアが落ち目なのはこういった時代の流れがあるのでしょう。
他にも色々有りますが、大まかな所ではこの3つでしょう。
携帯電話市場は、単なる端末市場から脱皮し、日本だけで25兆円もある無線市場へと大きく広がっています。
携帯戦国時代へ突入です。
ダイヤモンドオンライン:2020年に80兆円の無線市場を創出!総務省の電波戦略にかかる期待
総務省:グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース PDF
今は、ちょうどこのパラダイムシフト期にいるのだと思います。
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